しあわせに暮らせる地域づくり 総合情報誌ふじのくに

〜豊かで持続可能な10年後の社会に向けて〜ふじのくにDX本格発進

2022(令和4)年7月

人づくりを通じて、新しい地域のあり方を創生する静岡県。富国有徳の精神で切り開く明るい未来の背景には、人と地域が生み出す革新力がある。
今回は、未来の豊かな静岡を創る施策として注目が高まる、ふじのくにDX推進計画の取り組みを紹介する。

未来起点の発想で変革を起こす

コロナ禍をきっかけにデジタル化が加速する中、県はこれまで進めてきたICT利活用政策からの脱却を図り、令和4年3月、「ふじのくにDX推進計画」を策定・始動させた。

 「ふじのくにDX推進計画」が目指すのは、「いつでもどこにいても必要なものやサービスを受けられる、豊かで持続可能な社会」。10年後の目指す姿を設定した上で、未来からのバックキャストで計画を策定した。本計画は目指す姿の実現に向けた第1期に位置付ける。基本理念に基づいて三つのフィールド(県庁、市町、地域社会)で政策を展開し、社会変革を推進する。

誰にも優しいデジタル化へ

計画の中でも主眼を置いているのが、デジタルに不慣れな人を取り残さないデジタルデバイド対策だ。誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現を目指す。

具体的には、県所管団体等を対象に講習会を開催し、デジタルに関する基礎的な知識やスマートフォンなど情報機器の使い方等の習得を通じて、地域における身近な相談役「ふじのくにデジタルサポーター」として活躍できる人材を育成する。令和7年度までの4年間で1,200人のサポーターを育成し、デジタルに不慣れな人を地域で支える体制を整える計画だ。

行政のデジタル化の推進

県は、市町DXの推進を支援するため、市町の基幹系情報システムの標準化・共通化について、支援窓口の設置やアドバイザー派遣等によるアウトリーチ型支援を展開する。
また、今後、地域社会や市町を含めた県全体のDXを推進する上で、県職員のデジタルリテラシーは必須だ。デジタルの基礎知識はもちろん、業務への生かし方を皆が身に付けることができるよう、今年度から人材育成を進める。各部局に施策を企画できるリーダー的な職員が増えれば、より良い施策を計画し、実行できる。

本計画では、AIやIoTなどを活用して自宅で健康管理ができたり、待ち時間や混雑などのストレスなく移動して観光を楽しめるなど、魅力的な未来を描いている。それは、静岡県の豊かな自然環境による快適性と、デジタルがもたらす利便性が共存する、未来の「ふじのくに」の理想郷だ。

ふじのくにDX推進計画の詳細はこちら

【事例1】「VIRTUAL SHIZUOKA」~3次元点群データ活用~

3次元点群データを災害復旧へ活用

平成28年度から3次元点群データの取得を始め、令和3年度末までに県内のほぼ全域で取得が完了し、オープンデータ化した。このデータの利活用が注目されるきっかけの一つとなったのは、令和3年7月に発生した熱海市伊豆山地区土石流災害だ。発災時には、既に伊豆半島東部のデータを取得していたため、過去や被災後のデータと比較することで、速やかに盛土の位置や崩壊土量を把握することができた。また、残存している盛土を把握して、崩壊の予兆を感知するセンサーを取り付けるなどの監視体制を構築したことで、盛土の下流側において安全に復旧活動を継続することができた。

被災後の写真
点群データの比較により盛土の位置や崩壊土量等を把握

「VIRTUAL SHIZUOKA」の説明はこちら

【事例2】ICTを活用した日本最大級の水田水管理システム

ICTで農業改革

水田にセンサーと自動給水栓を設置。スマホなどで水位などをモニタリングしながら、遠隔操作や自動制御できるシステムを開発した。これにより、水管理時間を約7割節減。節減された時間で経営規模の拡大や品質向上を目指す。令和7年度までに350haの水田へのシステム普及を目指し、昨年度からお試し利用制度をスタートさせた。
これまでにシステムを使用した農家からは、「遠方の田回りの時間が減少した」、「適性な水位が守られる」、「他の作業に時間を活用できた」との声も寄せられている。

チャート

水田センサーが水位や水温を測り、基地局を経由してクラウドにデータを送信。農家はスマホなどで遠隔から水位などをチェックするとともに、給水バルブを遠隔・自動で制御できる。

水田水管理システム農家によるレビューはこちら

【事例3】観光デジタル情報プラットフォーム

「今だけ、ここだけ、あなただけ」の観光情報をアプリで提供

観光デジタル情報プラットフォームは、観光スポットや飲食店情報など約10,000件の観光情報を集積し、オープンデータ化を進めることで、連携したサイトやアプリでの情報の活用が可能(例:静岡県観光公式サイト「ハローナビしずおか」等)。さらに閲覧データ等、個人情報を除く旅行者データを分析し、共有することで、新商品の開発等のマーケティングやプロモーションに活用できる。

令和2年3月には、静岡県公式観光アプリTIPSティップス)」の配信を開始。旅行者の属性や趣向、位置などに合わせて最適な情報を提供している。令和3年度末時点でダウンロード数約3,000件、令和7年度末までに50,000件を目指す。

チャート

観光アプリ「TIPS」は、必要最低限のプロフィールなどを登録することで、位置や嗜好に応じて「あなたへのおすすめ観光スポット」が表示され、旅行者は探さなくても欲しい情報が手に入る。今後も随時機能を向上させる予定。

アプリのダウンロードはこちらから

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