フカボリ
次世代に県立美術館をつなぐために~クラウドファンディング~
2024年10月17日
こんにちは、メディチャン学生特派員の髙塚です。皆さんは県立美術館に行ったことがありますか?私は、今回の取材をきっかけに初めて美術館を訪れました。思っていた以上に素晴らしい場所で、一度は足を運んで欲しい場所です。これからだんだんと外も涼しくなり、芸術の秋と呼ばれる季節がやってきます。今回は芸術の秋にちなんで県立美術館の魅力と、今、取り組んでいるクラウドファンディングへの想いを伺って来ました。
目次
1.県立美術館について知ろう!!
静岡県立美術館は、県議会100年記念事業の一環として1986年4月に開館しました。『開かれた美術館』を目指し、企画展や収蔵品展はもとより、講演会、講座、シンポジウムなども豊富に開催しています。
1994年3月には新館としてロダン館がオープンしました。ここではロダン《地獄の門》を中心とする32体の彫刻を、明るい大空間を散策しながら鑑賞することができます。また、地獄の門の彫刻は、日本では2点しかないそうです。さらに、皆さんがご存知であろう『考える人』の彫刻も置いてあります。ロダン館は、光が差し込みやすい形の建物であるため、自然採光を利用した空間で見てもらえるようになっています。
県立美術館は、17世紀以降の東西の風景画や富士山を描いた作品、ロダンと近代の彫刻、県内ゆかりの作品、20世紀以降の現代美術など、幅広くコレクションしています。
風景画は、横山大観と伊藤若冲(じゃくちゅう)の有名な作品を展示しています。伊藤若冲の有名作品の一つである《樹花鳥獣図屛風》がこの県立美術館にありますが、作品保存のため年中展示することができないので、期間限定での展示のタイミングで見に行ってみてください。(※来年1月24日(金)から3月23日(日)まで展示するそうです。お見逃し無く!)
県立美術館は、普段の生活では体験することができない時間を過ごすことができ、心も豊かになります。私自身も、さまざまな彫刻や展示を見たことで、心が癒されたり、想像力が働いたりなど、居心地のよい落ち着いた時間を過ごすことができました。さらに、幅広いコレクションがあるここでは、芸術作品の多様性を感じることができるでしょう。
2.クラウドファンディングって一体何?
クラウドファンディングとは、資金を調達したい人や団体・組織がプロジェクトを公開し、不特定多数が支援を行うシステムのことです。
今、県立美術館では、「次世代へつなぐ!アートとみどりの散歩道 再生プロジェクト」という名称でクラウドファンディングを行っています。お客様のご意見に背中を押されて、アートと緑の散歩道「彫刻プロムナード」再生のためのクラウドファンディングの実施を決意したそうです。これまでも美術館は、継続的に「彫刻プロムナード」の環境整備や作品の修復に取り組んできました。しかし、近年、限られた予算内での修繕をすることが困難になり、草木の手入れも行き届かなくなっています。
こちらの写真は、清水九兵衛の《地簪》という作品です。表面の塗料は多くの部分ではく離し、アルミ素地部分にも白さびが発生しています。実際の色は、もっと明るい「京都レッド」という色でした。
こちらは、トニー・スミスの《アマリリス》という作品です。近年、塗装の劣化が加速度的に進行し、退色により作品の色調は黒からグレーに変わりました。また、作品下方は腐食が進行しています。単純な形態の構成が際立つこの作品は、彫刻プロムナードにおける要です。
期間と目標金額
8月2日(金)~10月30日(水)の期間で目標金額は1000万円です。現在の寄付金額は、およそ700万で、目標までもう一息です。1人2000円から寄附することができます。
寄付金の使い道
トニー・スミス《アマリリス》の修復費 約360万円
清水九兵衛《地簪》の修復費 約240万円
その他植栽やベンチなどの整備 約400万円
3.支援者へのメリットや支援の方法
このクラウドファンディングは、静岡県にお住まいの方でも、ふるさと納税制度を利用して寄付を行うことができます。個人の方の場合、一定の限度内で寄付を行うと、寄付金のうち2000円を超える部分について、所得税や住民税の還付・控除を受けられます。ぜひ、「ふるさと納税で応援」ボタンから御寄附ください。
また、静岡県外在住の方には、返礼品も御用意されています。数量限定のオリジナルグッズをはじめ、高額寄附者の方には、当館一番人気の貴重な作品・伊藤若冲の《樹花鳥獣図屛風》の特別鑑賞会もあり、県立美術館ならではのプランを寄附金額に応じて選ぶことができます。
注意:ふるさと納税の制度上、静岡県にお住まいの方は返礼品を受けとることができません。
寄付してくださった方からの応援メッセージとして
・県民の「財産」を守るために協力します。
・アマリリスの修復よろしくお願いします。
・美しいプロムナードを次世代につなげたい。
・応援しています。
・四季折々の表情を見せてくれる道。微力ながら応援しております。
など、温かい応援の言葉が届いていました。
クラウドファンディングには、インターネットから申し込むことができます。インターネットでのお振込みが困難な方は、県立美術館から郵便局の払込取扱票をお送りするのでお問い合わせください(電話番号054-263-5755)。
次世代へつなぐ!静岡県立美術館 アートとみどりの散歩道 再生プロジェクト|ふるさと納税のガバメントクラウドファンディングは「ふるさとチョイス」 (furusato-tax.jp)
4.これからの展望について聞いてみよう!
最後に、県立美術館企画総務課の三輪さんに、これからの展望をお聞きしました。
ークラウドファンディング成功後の計画はありますか?
クラウドファンディング成功後は、彫刻の修復や植栽の整備などを行い、いつまでも皆さまに愛される魅力ある憩いの場にしたいです。また、ギャラリーツアーを開催し、対話型鑑賞をしていきたいです。
ー静岡県立美術館の将来のビジョンと目標を教えてください。
もっと多くの人に美術館に親しんでもらいたいです。世代関係なく、若い人でも気軽に足を運んでいただけるような空間づくりをしていき、美術に触れる良さを知ってほしいです。美術に触れるとほんわかしたり、心が豊かになったりなど非日常体験を味わうことができます。また、これからはよりもっとさまざまな人に来ていただき、プロムナードを歩いてみたり、豊富なプログラムや展覧会を体験したりなど、一人一人、さまざまな楽しみ方をできるような場所にしていきたいです。
ー静岡県立美術館に興味を持っている人に向けてお願いします。
より多くの人に楽しんでいただくためにさまざまな展示やプログラムを実施しております。現在は、「《地獄の門》ができるまで」という常設展を開催しています。また、「無言館と、かつてありし信濃デッサン館-窪島誠一郎の眼-」という企画展も開催中です。
さらに、11月1日~11月4日の期間はロダンウィークとして、ロダン館と収蔵品展が無料となっています。期間中は他にも、丘の上ロダンマルシェやミニ考える人づくり体験やコンサートを実施する予定です。このようにさまざまな企画展やプログラムなどを用意しているので、気軽に訪れてほしいです。
取材を終えて
静岡県立美術館を後世の人々につないでいくために、今回のクラウドファンディングの実施をきっかけに、より多くの人にこの県立美術館を知ってほしいと思いました。一度も訪れたことがない人や興味を持っている人はぜひ、一度足を運んで欲しいです。「行ってよかった」と思える価値を感じることができます。また、定期的に体験会なども開催されているので、ぜひ参加してみてください。
―――↓問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032