フカボリ
こどもたちが主役!?「(仮称)静岡県こども計画」ってなあに?
2024年11月22日
※大人だけでなくこどもたちにも読んでいただくことを意識して、全ての漢字にふりがなを振ることにいたしました。
こんにちは、メディアチャンネル学生特派員の海野です。
みなさんは「(仮称)静岡県こども計画」について知っていますか?
令和5年4月に施行された「こども基本法」や、国が発表した「こども大綱」という法律や方針をもとに、静岡県では令和6年度中に「(仮称)静岡県こども計画」という計画を作ろうとしています。この計画は「すべてのこども・若者の“こえ”をまんなかに、誰もが自分らしく幸せに生きることができる社会の実現」を基本理念に、静岡県に住むみなさんを赤ちゃんから大人になるまで支えていくための計画です。
取材をした私も最近まで「こども基本法」や「(仮称)静岡県こども計画」の存在を知りませんでした。今回は静岡県こども未来課の職員さんに「(仮称)静岡県こども計画」についてくわしく教えてもらいました。この計画ができると私たちの生活にどのような影響を与えるのかやオンラインプラットフォーム「こえのもり しずおか」で集まった意見についてなどたくさん質問をしてきました!
「(仮称)静岡県こども計画」は静岡県に住む赤ちゃんからお年寄りまでみんなが関わる大きな計画です。この記事は小学生~大人までみんなが読みやすいようになっています。ぜひ家族みなさんで読んで、この計画について話してみてくださいね。
もくじ
2.オンラインプラットフォーム「こえのもり しずおか」ってなに?
1.「(仮称)静岡県こども計画」ってどんな計画?
はじめに「(仮称)静岡県こども計画」がどのような計画なのかを県こども未来課の職員さんにくわしく教えてもらいました。
―「(仮称)静岡県こども計画」はどのような計画ですか?
国の作った「こども基本法」や「こども大綱」をもとにして作られる計画のことです。こどもや若者が自分らしく幸せに生活して成長していくために必要ないろいろな活動や取り組みをみんなで考えて作っていきます。
―どうしてこの計画を作るのですか?
令和5年4月に「こども基本法」という法律が施行されました。この法律の第10条で「都道府県は、こども大綱をもとにこども計画を作ること」と決められています。これに基づき、静岡県でもこども計画を作ることになりました。
―国が作った「こども基本法」「こども大綱」とはどのような法律や方針ですか?
これまでにもこどものための法律はたくさんありましたが、「こども基本法」は今までとは異なる法律です。今までの法律は「こどもは守られる存在」としてきました。しかし、「こども基本法」は「こどもの権利を大事にして、こどもの意見を聞きながら、こどもに関わる決まり事を作りましょう」という「こどもを権利の主体」とした法律です。この法律の施行後に、国はこどもや若者が主役の「こどもまんなか社会」の実現に向けた取り組みを書いた「こども大綱」を発表し、「(仮称)静岡県こども計画」は「こども大綱」を参考にしながら作っています。
―この計画が作られるこどもたちにどのような影響がありますか?
この計画は「こどもの権利を中心に考えていきましょう」、「こどもの声を計画に反映させましょう」という点でこれまでの計画と異なります。今後はこどもたちが意見を言える場が増えたり、そこで出た意見がさまざまな取り組みに取り入れられていくことが期待されます。
2.オンラインプラットフォーム「こえのもり しずおか」ってなに?
オンラインプラットフォーム「こえのもり しずおか」は今年の7月に立ち上げられました。「こえのもり しずおか」について質問しました。
―「こえのもり しずおか」とはどのようなものですか?
こどもや若者から意見を聞くために作ったWEBサイトです。静岡県内の小学生から29歳までの若者が意見を書き込むことができます。「(仮称)静岡県こども計画」を作る上で、こどもたちの意見を聞くことが大切です。意見を聞く場の一つとして「こえのもり しずおか」を作りました。静岡県は東西に広いので、実際に会って話を聞こうとすると少し大変です。このようなWEBサイトなら距離や時間に関係なく意見を書いてもらえます。
―第1回(7月16日から8月30日)の募集でどのような意見が集まりましたか?
第1回はあらかじめ質問を決めて、みなさんに答えてもらいました。その中で、「大人や社会が意見を聞いてくれますか?」という質問に「思わない」と答える方が多くいらっしゃいました。こどもたちからしたら「大人たちは意見を聞いてくれない」という気持ちを持っていることが分かりました。また、「どのような課題が身近にありますか?」という質問に「いじめ、自殺、児童虐待、こどもの居場所、不当な差別・偏見、こどもの貧困」という6つに意見が集まりました。「(仮称)静岡県こども計画」では、この6つを大切な課題としていろいろな取り組みを考えていきます。他にもたくさんの意見をもらいましたが、こどもたちからもらった意見にはすべて目を通し、意見をくれたこどもたちにお返事をする予定です。
―出産・子育てなどをしたことのないこどもや若者に「どのようなことをしてほしいですか」と聞いてもどのようなことを必要としているのかわからないのではないでしょうか?もう少し意見を聞く年齢を上げてもいいのではないでしょうか?
たしかに経験した人でないと本当に必要なことはわからないと思います。「こえのもり しずおか」や「(仮称)静岡県こども計画」の対象はこどもや若者ではありますが、この計画に関わるのはこどもからお年寄りまで全世代です。「こえのもり しずおか」では、意見を投稿できる年齢を29歳までとしており、実際に子育てをしているお母さん・お父さんからも意見をもらっています。ただ、赤ちゃんや障害のある子など、意見を聞こうと思っても聞くことが難しいこともあります。その場合は、意見をいうことが難しいこどもたちの周りにいる大人から意見を聞くように工夫をしています。
―これから計画を作っていく中で、みんながいろいろな意見を出していくことは大切だと思います。しかし、もっと大切なのは実際に経験している人の意見を聞くことの方が大事ではないでしょうか?
意見を聞いていくと、大多数の意見ばかり注目し、少数の意見を見逃してしまう不安があります。少数の意見であっても大切な意見にかわりありません。例えば、障害があると「こえのもり しずおか」で自分の意見を書くことは難しい場合もあります。障害がある人やその方たちの支援をされている人の意見を聞く場として、昨年は、県の職員が特別支援学校に意見を聞きに行きました。また課題の一つとして外国人の方の意見を聞くということがあります。県の西部にはブラジル人の方が多くいらっしゃいます。そういった母国語が日本語ではない方の意見というのもしっかりと聞いていかなければと思っています。県の多文化共生課や国際交流協会と協力して意見を聞く場を準備しています。これからもこうした取り組みで少数の意見を聞き逃さないようにしていきたいです。
3.「こえのもり しずおか」で集まった意見について深掘り!
「こえのもり しずおか」にはみなさんからたくさんの意見が集まりました。「こえのもり しずおか」では意見を書くことができるだけではなく、みなさんから寄せられた意見を見ることもできます。寄せられた意見の中で特に私が気になったものについて職員さんに深掘りして聞いてみました。
―回答してくれた人の約60%が小学生だったと聞きました。これから高校生以上の声を聞くためにどのようなことをしていきたいですか?
小学生から高校生までは学校と協力すればある程度の意見を集めることができます。しかし、それ以上の大学生や大人となるとなかなか難しいところがあります。大学生へ知ってもらうための活動でいうと、SNS(県のLINEやX、Instagram、Facebook)や広報紙を活用して発信しています。今回の取材もこどもだけでなく大人たちにも興味関心を持ってもらいたいという狙いがあります。まだ実行に移せていませんが、大学の授業に参加するという方法もあります。大学生と話す機会があり、その中で「こえのもり しずおか」を大学生に知ってもらう方法を聞いたところ、大学の先生の中には県の職員を招いて授業をすることがあり、その授業では、県の職員が県のことについてくわしく話をして、県についてみんなで話し合ったりするそうです。大学の先生たちに話をして、授業に参加させてもらうというのもいい案だなと思っています。他にも、大学の中にチラシを置く、ポスターを貼るなど少しずつですがそういった活動をしていこうと考えています。
―集まった意見の上位5つが「いじめ、自殺、児童虐待、居場所のない子ども、不当な差別・偏見」であったのは回答してくれた人の多くが小学生だったからなのではないでしょうか?答えてくれる年齢が変わったら集まる意見も変わるのではないでしょうか?
分析をしてみたのですが、こどもたちの意見と大学生以上の意見もほとんど同じでした。違いとしては、こどもたちは「自殺」を選ぶ方が多かったですが、大学生以上は「ヤングケアラー」を選んでいる方が多かったです。
―「居場所のないこども」について
正直なところ居場所を作ったことでこどもたちの悩みは解決されるのでしょうか?居場所ができることはこどもたちの心のよりどころにはなると思います。しかし、最終的にはそれぞれの「おうちの問題」とされてしまうことがあると思います。
すごく難しいことではあると思います。ですが、家庭の問題だからこそ居場所のないこどもたちに居場所を作ってあげることが問題解決の第一歩になると考えています。寂しい思い、辛い思いをしているこどもたちに居場所を作ってあげるとそこに来るこどもたちや大人との関わりが生まれると思います。そうすると独りで抱え込まずに、周りの人に悩みを相談する機会にもなります。「家庭の問題だから他の家のことに口を出すな」というふうになることもあると思いますが、だからこそ本人たちは苦しくなってしまいます。まず、辛いとき、苦しいときは他の人に相談できるということを知ってもらうことが大切だと考えます。そういった意味でも居場所を作って、こどもたちを独りにしないことが大切です。
4.これから「(仮称)静岡県こども計画」はどうなるの?
―これから「(仮称)静岡県こども計画」をどのようなものにしていきたいですか?
「すべてのこども・若者の“こえ”をまんなかに、誰もが自分らしく幸せに生きることができる社会の実現」が基本理念に決まったので、この基本理念を実現するために県の職員全員で取り組みを充実させていきたいです。その中でしっかりとこどもたちの意見を取り組みに反映させていく、意見を大切にしていくという仕組みを形にしていきたいです。今まではみなさんからの意見を取り入れていく取り組みが少なかったので、戸惑うこともあります。しかし、すべてのこども・若者たちが幸せに生きることができる社会の実現のため、静岡県としてできることを進めていきます。
―「こえのもり しずおか」以外でも私たちが意見を言う機会、聞く機会というのはありますか?
第2回の意見募集は10月21日から11月15日まで行っています。それとは別にオンラインや対面でのワークショップも行っています。また、子育て支援団体や児童養護施設、特別支援学校などには直接県の職員が足を運んでいき、意見を聞く機会を増やしていければいいなと思っています。他にも静岡県庁の各部局でこどもの意見を聞くようなイベント、取り組みが増えるよう働きかけていきます。
―これまで国や県は多くのこどもや若者、子育て世代を対象にした支援を行ってきましたが、「こども基本法」や「(仮称)静岡県こども計画」が作られたことで今まで以上にこどもや若者の意見を取り入れやすい環境になりました。これから静岡県としてはどのレベルでの支援を行っていきたいですか?
個々の支援のレベルというのはお答えするのが難しいですが、やはり静岡県として、まずこどもたちを一方的に守られる側ではなく、権利の中心だというように考え直し、本当に求められているというものを話し合いながら決めていき、必要な支援や取り組みを進めていきたいです。
ー最後に―
今回は静岡県こども未来課の職員さんに「こども基本法」や「(仮称)静岡県こども計画」についてたくさん教えてもらいました。この計画はこどもや若者のが中心となっていきます。この取材を通して私も「こえのもり しずおか」などを使って自分の声を静岡県に伝えていきたいなと思いました。学校のことでもご家庭でのことでもどんなことでも大丈夫です。「こんなことでもいいのかな?」と思わず、ちょっとしたことでもいいのでみなさんも自分の声を静岡県に伝えてみませんか?みなさんの「ちょっとした声」が自分たちの生活や静岡県が良くなることに繋がっていくと思いますよ!
「こえのもり しずおか」に興味を持った方は下のリンクをのぞいてみてください!
https://www.pref.shizuoka.jp/kodomokyoiku/kodomokosodate/1040724/1064563.html
県民だより11月号でも特集されていますので、こちらも合わせてご覧ください。
https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1061761/1066850/1066857.html