県政TOPICS 総合情報誌ふじのくに

パラスポーツのチカラで静岡を元気に!県民や企業、行政が共に力を合わせ、「人生の豊かさ」をつくっていく

2025(令和7)年1月

約20年前に出会ったパラスポーツは、若山さんの人生を豊かに彩った。
パリ2024パラリンピックでは悲願の金メダルを獲得。
チームパラスポしずおかの環境整備ワーキンググループのメンバーも務める若山さんに、

本県のパラスポーツの取り組みへの期待を語っていただいた。

車いすラグビー日本代表
若山 英史 氏
[取材・撮影:2024年12月5日(授与式の写真は除く)]

—パリ2024パラリンピックでの金メダル獲得おめでとうございます。悲願の金メダルを獲得したお気持ちを聞かせてください。

若山氏

若山氏:前々回のリオ、前回の東京では金メダルにまでつなぐことができなくて…。いつも準決勝までは進むのですが、そこで勝ち切れませんでした。じゃあ、何が足りなかったのかとチームメンバーみんなで考えて、突き詰めてやってきたことが、今回の金メダルにつながったのかなと思います。ずっと目指してきた金メダルなので、すごくうれしいです。いまだにさまざまなところで取り上げてもらえたり、表彰していただいたりといろいろとつながっていて、そのたびに喜びをかみしめています。

—東京大会の「振り返り」も成果につながったと。

若山氏

若山氏:東京からの3年間は、メンバーの中にもさまざまな転機がありました。リオ後から長くチームを率いてくれていたケビン・オアーヘッドコーチが2023年に退かれることになりました。新しくヘッドコーチに就任された方は日本代表のコーチ歴が浅かったので、選手も模索しながらアクションを起こし、コーチ陣とさまざまな意見を擦り合わせて取り組んだ結果が金メダルにつながったのではないかと思います。東京からメンバーがほとんど変わらない中、「信頼関係があるから大丈夫」と甘んじていたら、今までと同じ結果だったでしょう。でも、一歩上に上がるために必要なこととして、コミュニケーションを深めていきました。

—パリ大会では日本選手団全体で41個のメダルを獲得し、日本中に勇気や感動を与えてくれました。改めて、車いすラグビーやパラスポーツの魅力を教えてください。

若山氏

若山氏:例えば、車いすラグビーでは迫力あるタックルも魅力の一つですし、障害の程度が異なるメンバーがチームを組むため、連携してトライを目指すには互いの理解がなければ成立しないので、チームワークにも注目していただけるとより楽しめると思います。私自身パラスポーツは見るのもするのも好きですし、ボッチャなどは用具も手軽に手に入り、取り組みやすいと思います。日本代表の杉村英孝選手とイベントで一緒にプレーしたりもしました。始めるきっかけが難しそうに見えますが、誰もが参加できることがパラスポーツの魅力だと感じます。

県民栄誉賞授与式の様子

—若山選手は県内の各学校で講演を行うなど「静岡県障害者スポーツ応援隊」の活動をされていますが、活動を通じてどのようなことを感じてほしいですか。

若山氏

若山氏:僕は、車いすラグビーという人生の柱となるものに出会えたことで、世界が広がりました。だから、スポーツや体を動かす機会がいろいろな人に平等にあるんだということを感じてもらいたいですね。僕がそうだったように、スポーツを通じていろいろな人と出会うことで生活の基盤であったり、仕事であったりと、何かにつながっていくことができれば、人生を豊かにするきっかけになると思います。応援隊の活動は、パラスポーツを知ってもらう一つの機会に過ぎませんが、体験してくれた子どもたちが、「今日こんなパラスポーツを体験をしたよ」と家族に話すことで、また一つつながり、そこからさらに広がりを見せていくことが、この活動の目指すところだと思います。

—県はパラスポーツを通じて誰もが健康に暮らせる共生社会を目指し、2023年8月に「チームパラスポしずおか」を立ち上げ、若山選手も参画しているワーキンググループなどを開催しています。選手としてどのように感じていますか。

若山氏

若山氏:すごく良いことだと思います。パラスポーツでこのような活動に取り組んでいる県は他に聞いたことがなかったのですが、行政だけでなく企業や団体など多くの皆さんがパラスポーツへの積極的な関わりや競技の普及、強化育成をすごく真剣に考えてくださったことが、官民連携での立ち上げにつながったのだと思います。また、その活動に関わる者としてお声を掛けていただけたことにも感謝しています。
立ち上げから参加し、パラスポーツの環境整備のための検討に関わっていますが、一緒に携わっている方たちもすごく熱い思いを持って取り組んでいますし、静岡市や浜松市など行政の方からもさまざまな意見をいただいて、皆さんの熱量の高さを感じています。

—今関わっている立場から、今後の「チームパラスポしずおか」に期待していることは何ですか。

若山氏

若山氏:最近の県内の動きとしては、「IAIパラスポーツパーク」(静岡市清水区)が完成したと聞いています。これからも地域でパラスポーツができる環境が整って、普及や強化につながっていくことを期待しています。よく、「実際に試合を見てみたい」と言われるのですが、県内に車いすラグビーのチームがないと、試合の機会がないんです。だから静岡や東海地区でも良いのでチームができて、県内で車いすラグビーの試合を見る機会を提供できたら飛躍的に普及すると思います。また、障害のある子どもたちが世界を目指すという目標を持つきっかけにつながると思います。

—選手として、応援隊として、そして「チームパラスポしずおか」のメンバーとしても若山さんの活躍に期待しています。最後に県民の皆さまへメッセージをお願いします。

若山氏

若山氏:「チームパラスポしずおか」が発足して1年ほどたちますが、官民連携の取り組みなので、皆さんの協力や支援なしでは進まないこともあると思います。さまざまな形でパラスポーツやスポーツを広めていく活動にご賛同いただけたらうれしいです。そのために、まずはコンソーシアムを知っていただけたら幸いです。一緒に手を取り合って、スポーツで静岡を盛り上げていきましょう。

県障害者スポーツ応援隊として車いすラグビー教室を開催した時の様子。競技の説明をはじめ、ラグ車乗車・タックル体験などを通じて子どもたちにパラスポーツの魅力を伝えました。(2024年12月、県立吉田特別支援学校駿遠分教室にて)

プロフィール

若山 英史 氏
日本の車いすラグビー選手。沼津市出身。静岡銀行/CENTERPOLE所属。19歳の頃に、プールでの事故でけい椎を損傷。リハビリ施設で車いすラグビーを始める。2012年ロンドンパラリンピックで日本代表に選出され、4位入賞。2016年リオデジャネイロパラリンピック、2021年東京2020パラリンピックで、2大会連続銅メダルを獲得。2024年パリパラリンピックで全戦全勝し、日本初の金メダルを獲得。同年に紫綬褒章、静岡県県民栄誉賞、沼津市民栄誉賞を授与される。

チームパラスポしずおか(正式名称:ふじのくにパラスポーツ推進コンソーシアム)

パラスポーツを通じた共生社会の実現を目指して、県は、2023年8月に、全国に先駆けてパラスポーツ推進のための官民連携組織「ふじのくにパラスポーツ推進コンソーシアム(チームパラスポしずおか)」を設立しました。

活動理念

活動内容

会員活動支援

県や県障害者スポーツ協会のパラスポーツ事業と会員活動との連携・協働を支援

マッチング支援

パラスポーツに取り組む会員同士のマッチングを支援

ワーキンググループ開催

パラスポーツ推進の取り組みを会員によるワーキンググループで企画・立案

環境整備の促進

いつでも、どこでも、誰もがパラスポーツができる環境の整備を促進

アスリート強化

パラアスリートの発掘や育成・支援する取り組みを推進

普及・広報活動

パラスポーツに関する取り組みの普及や国内外への情報発信

コンソーシアムの詳細や入会などについてはこちら(静岡県公式サイトへ)

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