フカボリ

ヘルメットを着用して自転車通学!誠恵高等学校の取り組み  

2025年2月26日

 今年度もあっという間に過ぎ去りつつある中もう3月、新年度に向けて準備を進めている方も多いのではないでしょうか。新たな場所へ通勤・通学する方に特に注意していただきたいのが交通事故です。慣れない道を、新たな交通手段で通う新1年生は特に注意が必要です。中でも高校1年生は、新たに自転車通学を始める方が多いため、自転車事故が多くなる傾向にあります。

 そこで重要になってくるのがヘルメット。事故に遭わないことが一番ですが、転倒時に頭部への衝撃を軽減するヘルメットの着用は命を守るための重要なポイントの一つです。令和5年4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されて早2年、静岡県ではヘルメットの着用率は13.1%(警察庁:令和6年7月調査)とまだまだ進んでいません。そうした中、昨年4月よりヘルメットの着用を自転車での通学の許可条件とした誠恵高等学校の取り組みについてフカボリました。

 目次

1.ヘルメット着用を自転車通学の許可条件に
2.生徒の皆さんの意見
3.安全な自転車ライフを送るためには

1.ヘルメット着用を自転車通学の許可条件に

 

 学校法人誠恵学院誠恵高等学校は、沼津駅北口から1.5kmほどの場所にある、全日制の高等学校です。駅から徒歩で約30分という立地であり、生徒たちは徒歩やスクールバス、自転車等、さまざまな方法で通学しています。
 県では自転車利用者にヘルメットの着用は呼びかけていますが、ヘルメット着用を自転車通学の許可条件とまでしている学校はまだほとんどありません。今回は、通学許可条件とした背景や、許可条件としてからのこの1年について、生徒課の守本一登先生にお話を伺ってきました。

△誠恵高等学校

ーヘルメット着用を自転車通学の許可条件とした理由・背景を教えてください
 2023年から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化され、努力する義務があるということで教員の中で検討を始めました。また、静岡県内で自転車事故で頭部を打ち亡くなられた方がいるというニュースを見て、本校の生徒をそういった事故で亡くしたくないと思い、導入を進めました。

ー通学許可条件とは具体的にどのように実施していますか?
 毎年自転車点検というものを4月に行っています。その点検で、ブレーキが効くか、ライトがしっかりと光るか、ベルが鳴るか、防犯登録はされているかといった項目に加えてヘルメット着用の5項目を条件として、チェックを行っています。

ー導入にあたって特別な対応は行いましたか?
 特にしていませんが、2024年の4月に導入することを考えていましたので、2023年7月の終業式で次年度からヘルメットを義務化することをアナウンスしました。新たに購入する場合は、必ずSGマークがあるものを購入するよう条件を伝えていますが、学校でもヘルメットの購入会を開いて学校としてもこれなら大丈夫というものを確認して購入できる機会を設けさせていただきました。  
 新たに入学してくる生徒についても、制服と同じタイミングで必要な方は購入できるようになっています。

ースクールバスのない休日に部活動で自転車を利用する生徒はどのようになっていますか?
 本校では、部活動に加入する生徒についても、通学で自転車を利用する生徒と同様に点検を行い、自転車の使用を許可しています。したがって自転車利用者については、必然的に全員チェックをする仕組みになっています。 

ー生徒や保護者からは反応はありましたか?
 保護者からは特にはありませんでした。生徒からはやはり髪型が崩れるであるとか、恰好悪いとかなんでうちの学校はというようなそういった反応はありました。それにより自転車通学者が減りました。

ー通学許可条件化したことの利点は?
 事故が起きないことが一番なので、幸い生徒の事故は起きておらず、ヘルメットをかぶっていて良かったというような場面には出くわしていないのが正直なところです。ただ、交通安全への意識を高めることというのはできてきたと思います。2024年11月の改正※1もありましたが、そこについて今本校でも強く指導しているので、自転車ってこんなに危険なんだっていうところは高めることはできてきたのかなと思っています。

△誠恵高等学校 生徒課 守本一登教諭

 

2 生徒の皆さんの意見

 授業の合間を縫って、実際に自転車通学をされている、生活委員の田中さんにお話を伺うことができました。

ーヘルメットを着用することに抵抗は?
 私は無いです。ただ、他の生徒からは「前髪が~」とか「めんどくさい」「持ってくるのも買うのも大変」などの意見もあり、私は少数派なのかなとも感じます。特に女子は前髪を気にする生徒が多く、また、買うのもタダではないので、そこに抵抗があるという話も聞きます。

ー通学時以外の着用状況は?
 私はかぶっています。でも周りの友人なども→を見ていると、やはり制服の時よりは着用率が低いように感じます。私服の時の方がみんなかぶっていないかなと思います。

ーヘルメットをかぶっていて良かったと思ったことはありますか?
 雨の日の翌日地面が濡れており、歩道に上がるための鉄製のスロープで滑ってしまったことがありました。周りの方にも心配されるような転び方だったんですが、夜、家に帰ったあと傷が痛いと思いながらお風呂に入っていたら、ヘルメットをかぶっていなかったらこんなのんびりとお風呂に入れていなかったかもしれないと思い、かぶっていて良かったと心から思いました。ヘルメットというのは、私たちの何気ない日常を守ってくれる安心材料になるのかなと思いました。また、両親にその話をしたときに無事で良かったねと言われ、打ち所が悪ければ障害が残ってしまうこともあるでしょうし、親からするとヘルメットをかぶっているというだけで安心して送り出せる材料になるのかなと思いました。

ーどうしたらヘルメットの着用率が上がると思いますか?
 ヘルメットをかぶるかぶらないは最終的には本人の意思なので、どうしようもない部分もありますけど、コラボで人気キャラクターにかぶろうって言ってもらえれば、影響される子もいると思います。

△生活委員会さんで作成した校内新聞。R6.11の道路交通法の改正について特集。

3 安全な自転車ライフを送るためには

 誠恵高校では、ヘルメットの着用だけでなく、自転車マナー全般の指導にも熱心に取り組まれているとのこと。そのあたりについても守本先生に話をお聞きしました。

ーどのようなことを実施されているんですか?
 今年度からですが、4月に沼津警察署の交通課と交通安全教室を開催しています。そこで自転車事故のVR体験(自分が自転車に乗っている視点で事故の様子を体験)をしてもらい、生徒からも体験できてよかったといった声がありましたので今後も続けていきたいと考えています。また、警察や交通安全協会の方に協力いただき、交通安全指導員の方から11月からの改正について校内放送していただきました。
 また、自転車マナーの一斉指導が沼津市内の高校生対象に開かれており、月に1回活動しています。朝7時20分~50分の30分間、自転車マナーの旗をもって街頭指導や広報を行っています。

 生徒たちには努力義務、努力をしなければいけないということを伝えています。それが保護者にも伝わって、本校が「安心・安全な学校」として広まればいいなとも思っています。

ー今後着用率を上げていくためにはどんなことが必要だと思いますか?
 事故などの怖さは経験してみて初めてその恐ろしさが分かる部分もあると思いますが、生徒たちには当然そんな経験はしてほしくありません。どれだけ自分事として理解してもらえるか、危険性を周知するというか、VR体験などを通して、ヘルメットの着用の有無で頭部に伝わる衝撃がどのくらい変わるかなど、その怖さをよりリアルに伝えていくことで生徒の意識も変わるのではと期待しています。

△ヘルメットを着用し下校する生徒

取材を終えて

 今回は自転車乗車時のヘルメット着用について、実際の高校の状況を取材させていただきました。筆者も普段街中でヘルメットをかぶっていない方や、ながらスマホをしている方をよく見かけます。道路交通法が改正されて罰則が厳しくなったからではなく、なぜ厳しくなったのか、その危険性をちゃんと伝えていかなければならないと再認識しました。
 まもなく新年度です。新たに自転車登校するという方も多いのではないでしょうか。この機会に改めて自転車ルールとマナーを再確認し、きちんとヘルメットを着用し安心安全に新年度を迎えましょう。

※1 令和6年11月1日より改正道路交通法が施行。自転車の危険な運転(ながらスマホ、酒気帯び運転)の罰則が整備されました。

県民だより3月号
https://www.pref.shizuoka.jp/…/1061761/1069804/index.html


―――↓問い合わせ――――――――――――――――――――――――――

【問い合わせ】 県広聴広報課 054(221)2231 FAX054(254)4032

FacebookTwitterLine
記事一覧へ

最新記事

サムネイル

ヘルメットを着用して自転車通学!誠恵高等学校の取り…

サムネイル

ひかりんちょのフカボリ! 「高血圧を見逃さない!」…

サムネイル

瓦の魅力を伝えたい!リノベーションで伝統を残すチャ…

過去の記事

関連動画/記事