フカボリ

【グッドデザインしずおか2025】デザインは人の思い ~初となる学生らの参加に期待!~

2025年7月18日

みなさんこんにちは!令和7年度から新たに学生特派員となりました吉村です。今回が初めての取材と記事となります。これから頑張ってまいりますので最後まで読んでくださるとうれしいです!

さて、静岡県では「グッドデザインしずおか」が今年も開催されます。32回目となる今回は、初の試みとして静岡にルーツがある学生からの応募を受け付けます。グッドデザインしずおかとは何か、そして学生の募集に至るまでの経緯など、歴史からデザインに対する思いまで担当の地域産業課の及川貴康さんにお話を伺いました。

目次
1.デザインの街静岡 グッドデザインしずおかの歴史
2.大会初!学生からの募集
3.デザインを楽しんで 担当者の思い
4.頭をやわらかくして考えてみよう ~取材を終えて~

1.デザインの街静岡 グッドデザインしずおかの歴史

 グッドデザインしずおかの歴史は平成4年の「しずおかSAIKOデザイン」までさかのぼります。静岡では江戸期に端を発する地場産業のもと、古くからものづくりとデザインとの関係が強く、著名なデザイナーが輩出されました。そのような背景からデザインの街として知られるようになり、県内のデザイナー14名が静岡のものづくりのあり方を再考することを目的として「しずおかSAIKOデザイン」が催されました。これがグッドデザインしずおかの始まりです。

 「グッドデザインしずおか」は平成5年度に静岡県が事業を開始し、今年で32回目となります。そもそも「デザイン」とは何か、グッドデザインしずおかの歴史とともに振り返っていきます。

https://www.pref.shizuoka.jp/design/index.html

まず、グッドデザインしずおかは大きく3つの時期に分けることができます。
初期の頃は、主に大企業を対象としていた時期でした。代表的な選定製品として、国内外から注目を集めたヤマハ(株)の「サイレントバイオリン」などがあげられます。中小企業も大企業の先進的なデザインに刺激を受け、地域の中小企業がそれぞれのアイデンティティーを製品・デザインに落とし込んでいきました。

▲ヤマハ サイレントバイオリン

▶https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/strings/silent_series/index.html

 続いて、少しずつ中小企業のデザインマインドが高まってきた頃は、静岡県がユニバーサルデザインを行政の柱に掲げた時期と重なり、ものづくり分野にも影響を及ぼしました。ユニバーサルデザインとは「全ての人のためのデザイン」を意味する言葉です。具体的には、文化・言語・国籍や年齢・性別などの違い、障害の有無や能力差などにかかわらず、できるだけ多くの人に分かりやすく、利用できることを目指したデザインです。人間工学などの分野から使いやすさが数値化され、デザイン(色、形など)に説得力が生まれた時期でもあります。さらに実際にユーザーとなる人たちに使用してもらうことでデザインの質を上げつつ、使い手側のことも意識したデザインが確立していったといえるでしょう。

そして近年では「デザイン思考」がグッドデザインしずおかの大きな軸となっています。デザイン思考とは、モノやサービスをつくる目的をさらに堀り下げ、なぜその商品を作るのか、誰に届けるのか、といったユーザー目線を基盤としており、柔軟な発想が大切になってきます。

ここまでの、デザインに関する時代の変化について、地域産業課の及川さんにお話を伺いました。

--グッドデザインしずおかをはじめ、「デザイン」について時代とともに考え方が変わってきたということですが、具体的にはどのように変化してきたのでしょうか?

 そうですね・・・。例えば「スツール」で考えてみると、初期は、有名な家具メーカーの見た目のよいスツールに注目する時期でした。そして徐々に、誰もが座りやすいスツール(座面の高さを膝への負担がもっともかからない高さとする、使い心地にもこだわりのあるスツール)に注目する時期となり、現在は、機能性が特別高いというわけではないけれど「座面の皮の部分に小学校卒業まで使っていたランドセルを活用して、思い出を残す」といったモノの背景やコンセプト等にも注目する時期といえます。

どの時期も「デザイン思考」は使われてますが、注目する部分が、「表面」的なところから「背景」にあたるところまで、段階的に深くなってきたと思います。

--デザインはただ見栄えをよくする考え方ではなく、届けたい思いやユーザー視点での考えが織り込まれた、まさに人の思いがこもったもの、ということですね!

2.大会初!学生からの募集

 そして今回の目玉はなんといっても学生らの参加です。応募要件は、県内の大学・大学院・専門学校に通う学生個人またはグループ。もしくは県内出身で県外の大学・大学院・専門学校に通う学生個人またはグループです。静岡にルーツがある学生を対象にしています。

なぜ今年から学生の募集を開始したのか、さらに詳しく伺いました。

--グッドデザインしずおかは30年以上続く取り組みですが、なぜ今年から学生の応募を開始したのでしょうか?

 たしかに、今までにも学生対象の事業はありました。令和元年から6年間開催されたふじのくに未来デザイン賞がそうです。しかし学生だけのコンペだと、その賞を取って終わりになることが多く、「次につなげる」ことにならなかった、という課題意識がありました。
 そこで企業と同じ枠の中で学生らのデザインを発表することで、県内企業と学生が関わりを持つチャンスになるのではないかと考えました。対面審査である二次審査に進めばプレゼン会場で、新しく開設した学生限定のニューホープ賞を受賞すれば、選定品として展示会場で、企業が注目する機会があります。学生は会社と出会い、企業は学生を見つけるチャンスになればと考えています。

▲左奥 担当地域産業課 及川さん                           

3.デザインを楽しんで 担当者の思い

--応募を考えている学生には、どのようなことを期待しますか?

 学生が普段感じている「こうだったらいいのに」や「これは良くないからこうしたらいいのに」という思いを込めてデザインされた「モノ」や「コト」を応募してくれたらうれしいです。それを踏まえて「デザイン思考を行う」という経験をしてほしいです。

 現実的で普遍的に良いとされるアイデアではなく柔軟な考えで取り組むこと、それこそデザイン思考で、どのような価値をデザインに込めるかを思考することが重要だと考えています。また、デザインについて考えるときには同じグループ内や一人で考えるだけではなく、同じ大学で他学科の人や先生など、ぜひさまざまな人と話して協働してほしいです。そしてなによりも「デザインを楽しむこと」を大切にしてほしいです!

▲ふじさんがらがら 2013年グッドデザインしずおか奨励賞受賞

--応募したいけど、どのようなものを出していいのかわからない・・・など悩んでいる学生へ、メッセージをお願いします!

アイデアの段階でも、お気軽にご相談ください!疑問や不安もあると思いますが、話すことで解消して、一人でも多くの方に応募してほしいですね。(問い合わせ先は記事最後に記載)

4.頭をやわらかくして考えてみよう ~取材を終えて~

 今回の取材をするまで、静岡がデザインで有名な街であることを知らなかったので、とても新鮮でお話を聞いていて楽しかったです。実際に大賞をとった製品の現物も見せていただき、今まで意識していなかったデザインについて考える機会になりました。担当の及川さんもおっしゃっていましたが、柔軟な考えでオリジナリティーにあふれたデザインを企業はもちろん学生たちにも期待したいです。



応募は7月31日まで受け付けています。

【グッドデザインしずおか2025】
1.応募資格
(1)県内に活動拠点がある中小企業、団体、個人等
(2)県内の大学、大学院、専門学校に通う学生個人またはグループ
(3)県内出身で県外の大学、大学院、専門学校に通う学生個人またはグループ

2.募集対象
デザインを活用して生み出したモノ(製品、商品)やコト(仕組み、取組)
※有形無形は問いません。
※過去、当事業に応募したものは対象外とします。ただし、改良したものは対象とします。
※同一の応募者であっても、コンセプトが異なるものであれば複数点の応募が可能です。
※他の選定事業やコンペに応募したものも応募可能です。

3.提出書類
「応募票」と「写真や図等」をご提出ください。

4.提出方法
メール送付、郵送又は持参によりご提出ください。

5.応募費用
無料
・ただし、搬出入に要する費用及び交通費は応募者負担となります。

6.応募締め切り
令和7年7月31日(木曜日)(必着)
・応募後は、原則5日以内(土日祝除く)にメール等でご連絡します。
・5日(土日祝除く)を過ぎても連絡が無い場合は、問合せ先までご連絡ください。

7.申込み・問合せ先
静岡県経済産業部商工業局地域産業課
〒420-8601静岡市葵区追手町9番6号
電話:054-221-2522
Eメール:chiikisangyo@pref.shizuoka.lg.jp

詳しくは下記リンクよりご確認ください
https://www.pref.shizuoka.jp/design/guideline/index.html

FacebookTwitterLine
記事一覧へ

最新記事

サムネイル

【グッドデザインしずおか2025】デザインは人の思…

サムネイル

メロンの食べ頃が一目でわかる!「メロン熟度計」開発…

サムネイル

世界遺産登録10周年!今こそ足を運びたい、韮山反射…

過去の記事