フカボリ
桜木小4年生がつなぐ、ホタルの光 -地球温暖化を止めたい!-
2022年7月8日
夏の風物詩であるホタル。
昔と比べ、見られる場所は減っています。
その原因の一つは、地球温暖化と知った掛川市立桜木小学校の新倉さん(当時4年生、取材時5年生)たちは、「ホタルを守りたい」と、知事に宛てたお手紙を送ってくれました。
どんな活動をして、どんなことを感じたのか?
どんな思いでお手紙を書いてくれたのか?
静岡県広聴広報課職員が取材しました!
目次
1 上垂木ホタルの里って?
2 叫びながらも頑張る!ホタルの幼虫のお世話
3 ホタルを通して気づいた環境の大切さ
上垂木ホタルの里って?
新倉さんたちが通う掛川市立桜木小学校のほど近くに流れる垂木川。
春には桜並木が小川を覆い、風情豊かな景観を楽しませてくれます。この上流部に地元では知られたホタルの名所、上垂木ホタルの里があります。最盛期には、数千匹のホタルの乱舞が見られ、初夏の夜空を彩ります。
しかし、近年そのホタルが減ってきてしまっていると新倉さんたちが教えてくれました。以前は、上垂木ホタルを守る会の皆さんが2000~5000匹近く放流していたホタルですが、今では700匹程度しか放流できない年もあるとか。
そこで、桜木小学校では、8年ほど前から「上垂木ホタルを守る会」と協力してホタルの保全活動に取り組んでいます。
叫びながらも頑張る!ホタルの幼虫のお世話
桜木小学校では、4年生の総合学習の一環として、ホタルの保全活動を行っています。
10月に上垂木ホタル守る会から各クラス200匹の幼虫を譲り受け、3月に放流するまでの約半年間、ホタルとそのエサのカワニナ(巻き貝の一種)のお世話をします。譲り受けたとき親指の爪くらいだった幼虫は、脱皮を繰り返し、放流するときには5cm程にまで成長します。
毎日、水槽の水替え、お掃除、エサやりをするだけでなく、カワニナの調達も児童がするというから驚きです!
意外にも大変だったというのはカワニナ。初期の幼虫は食欲旺盛で、1日20匹くらい食べるので、お隣の袋井市にカワニナの目撃情報があれば家族で取りに行ってくれた子がいたり、たくさんとってストックして、それをお世話したりもしていたとか。
予想よりもはるかに大変な半年間のホタルのお世話について、もう少し話を聞いてみました。
職員「毎日お世話をされたんですね!虫が苦手な子はいなかったですか?」
児童「最初はギャーギャー騒ぎながら(笑)」
職員「すごい(笑)けど、後半にはみんな虫大丈夫になったんだ!?」
児童「ノー!!!」
職員「それでもお世話してたんだね!」
児童「はい。最初よりはよくなりました。触れはしないけど(笑)
ホタルの幼虫はちっちゃいムカデみたい…」
先生「子どもたちはカワニナの方がかわいいって言ってました(笑)
最初は、拒否だった子も最後には水替えに参加したりできるようになっている様子を見て、実際に触れて育てていく中で、子どもたちの心も大きく変わったかなって思います。」
そして、3月。
無事に育った幼虫たちは川に放流され、4月頃にはサナギになり、羽化し、成虫となります。
今年は5月下旬から6月上旬頃にたくさんのホタルが美しく舞ったそうです。
児童たちは「きれいに舞っていて、育てたかいがありました。無事に育ってよかった」と笑顔でした。
虫が苦手な児童の皆さんも、一生懸命お世話をして育てたホタルだと思うと、ホタルの光もいっそう愛おしく見えてくるでしょうね。
ホタルを通して気づいた環境の大切さ
ホタルの幼虫を育てるだけでなく、どうして手紙まで書こうと思ったのか聞いてみました。
新倉さん「地球温暖化が進むと、ホタル以外でも、いろんな虫とか、動物とかが死んでしまうので、それを防ぎたかったから。」
ホタルは初夏のイメージから、暑さにも強そうな気がしますが、実は暑さにはとても弱いと授業を通して知った新倉さんたち。
実際、一昨年度の幼虫は暑さにやられてしまい、譲り受けた数も50匹、放流まで生き延びたのは10匹程度だったそうです。
また、地球温暖化に加え、川辺の大きな木が切り倒されることにより木陰がなくなっていること、川の護岸工事によりホタルが住む場所や、天敵から身を守るものがなくなってしまっていることも話してくれました。
ホタルの保全活動を通して、地球温暖化や環境破壊が生物に与える影響について知った児童の皆さん。
ガスや電気を無駄使いしないよう気をつけるように意識が変わっただけでなく、もっと多くの人にこのことを知ってほしいと思い、県知事だけでなく、マスコミや掛川市長、なんと岸田首相にまでもお手紙を出したのだとか。
さらに児童の皆さんは、地域の人に向けたアンケートを作成し、QRコードにして公共施設やコンビニで配布したんだそう。アンケートの内容は上垂木のホタルのことを知っているのか、ホタルが温暖化に弱いことを知っているかなど。その結果、600人くらいの方が答えてくれ、意外にも地域の人でも知らない人が多いということが分かったそうです。
彼女たちは訴えます。
「ホタルが住みやすい環境は、木陰や草があって、カワニナがたくさんいて、天敵のクモやコイ、カエルのあまりいない川です。護岸工事※をしていると住むことはできません。ホタルの減少を防ぐため、ご協力お願いします。」
「きれいな水を保つため、川にポイ捨てをしないでほしい」
「石油の節約をして、地球温暖化を止めてほしい」
「護岸工事※をしないでほしい」
便利な暮らしをしていると、ついつい水を出しっぱなしにしてしまったり、使い捨てのプラスチック製品を使ってしまったりすることも正直ありますが、新倉さんたちの話しを聞き、1人1人ができることを取り組んでいかなければならないと改めて考えさせられました。
※ 県では、ホタルやカワニナなどの生き物が住みやすい環境を保全するため、環境調査や工事方法を工夫するなど、自然環境に配慮した河川工事を進めています
〈県からのお知らせ〉
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問い合わせ
県広聴広報課
☎ 054(221)2231
FAX 054(221)4032