フカボリ

「ありがとう」の力が地域をつなぐ「涙が出ちゃう」防災活動って!? 

2023年1月20日

もしも災害が起こったらー。そんな時に大切になるのが、地域のコミュニティです。

安否確認や初期救助活動、避難所の運営といったことに至るまで、地域の輪は私たちの暮らしにおいて、重要な役割を担っています。

ところが最近では、地域の人々とのいわゆる“ご近所付き合い”が減っているのも事実。昼間に家を空けていることでご近所との関わりが少なくなった人もいれば、そもそも子どもが減少している地域もあるでしょう。こうして、コミュニティ自体が衰退しているとも言われています。

そんななか、昨年のクリスマスに、とあるユニークな地域のイベントが駿東郡長泉町で行われました。それは、プレゼントをもらう側のこどもたちがサンタに変身して、同じ地域に暮らす高齢者の家にプレゼントを配りに行く『地域こどもサンタ大作戦』というもの。

地域の人と顔を合わせる機会がなかったり、コロナ禍でマスクをしているため顔がわからなかったり。交流が希薄になってしまった街に、「ありがとう」の言葉と笑顔が生まれたこのイベント。主催者である「ママ防災塾マモルマムズ」代表・高木有加さんに、詳しく話を聞いてみました。

ママ防災塾マモルマムズ代表・高木有加さん

ーーママ防災塾マモルマムズを立ち上げた経緯を教えてください。

上の子が1歳になったとき、3.11東日本大震災が起きました。夫が消防団に所属しているため、「有事には夫はいなくなる。私がこの子を守らなくちゃ」とわかっていたはずなのに、なんの備えもしていませんでした。

そこで、ママ向けの防災講座を受講し始めました。本当に役に立つ学びばかりで、私だけではなく、私の身近にいる人にも教えなくちゃと思い始めたのが立ち上げのきっかけです。

当時、消防団の訓練日に夫がいない間、“消防団員の妻の会”みたいな食事会をたまにしていたのもあって、そのメンバーを中心に作った団体が『ママ防災塾マモルマムズ』です。 地震などの災害時に在宅での生活が継続できるよう、日常の備えについて母親目線でまとめた冊子の作成や、子どもと一緒に避難を体験する防災訓練など、親子が楽しみながら防災を日常に取り入れるような活動をしています。

ママ防災塾マモルマムズが発行したママ向けの防災冊子

ーーママ目線でさまざまな取組をしているんですね。先月行われた『地域こどもサンタ大作戦』とはどういう活動ですか?

地域の子どもたちがサンタに扮して、クリスマスに地域のおじいちゃんおばあちゃんに

お弁当やプレゼントを届ける活動です。近所にお年寄りがどこに住んでいるか、どんな人かを知ることで、日ごろ挨拶をしたり、火事や災害など起こった際に気に掛けたりできる子どもを育てるという地域福祉活動でもあり、地域防災活動でもあります。

親以外の地域の大人たちに「ありがとう」を言ってもらい、来訪を喜んでくれるのを見ると、むしろ子どもの方がとても元気になります。人を喜ばせることは自分も嬉しいことなんだって気づくきっかけになるといいなと感じています。

ーー『地域こどもサンタ大作戦』を始めようとしたきっかけはなんですか?

コロナ禍で班の活動も町の運動会も中止が続く中、近所の人でも外で出会うとマスクをしていて顔がわからなかったりします。

たまにある地域の清掃でも子供やお年寄りは参加しないため顔を合わせる機会もなく、このままでは災害が起きても助け合うことができないのではないかと心配していました。

そんなときに大阪でやっているサンタ大作戦を知り、この事業なら、“子どもたちが楽しみながら地域のお年寄りを知る”きっかけにできるのではないかと考えました。

 ーーいつから『地域こどもサンタ大作戦』を?

2年前、試験的に私の班(地区)で実施しました。子どもにもお年寄りにもとてもいい時間になったので、この活動をなんとかして今後広げたいと考えていたところ、昨年には長泉町社会福祉協議会の歳末助け合い助成金をいただけることになり、本格的に実施できることになりました。

今回集まった子ども達は全部で21人。「近所に住むお年寄りに」「毎朝登校の見守りをしてくれているお年寄りに」「最近奥様を亡くされたご近所のおじいさんに」など、4地域の方がとりまとめ役をしてくださり、合計21軒28人の方にプレゼントをお届けすることができました。

メリークリスマス!おじいちゃんもおばあちゃんも笑顔に。

ーー参加された皆さんからはどんな声がありましたか?

贈り物を受け取ったお年寄りは、「涙が出ちゃうよ~」と言いながら受け取ってくださる方、「元気もらったよ」と笑う方、夫婦で喜んでくださる方、子どもたちの声が聞こえると外に出てきてくださる方も。みなさん、とても喜んでくださいました。

また、届けた子どもたちからは「感謝を伝えるのはいいなと思った」「いつも遅刻してしまうけど、(登校見守りのおじさんに会えるように)頑張って時間に間に合うように登校しようと思った」「サンタさんにプレゼントもらえてうれしいから、自分もおじいさんたちに渡せてうれしかった」などの感想が出てきました。贈り物を受け取ったのはむしろ子どもたちの方ですね。

取りまとめをしてくれた4人のママたちからも感想が寄せられました。たとえば、「お向かいにおじいちゃんおばあちゃんが二人で住んでいるということを子どもがわかっていなかったことに気づけてよかったです」という気づきや、「子どもが達成感を感じていたようです。いつも人見知りなのに、二軒目からは自ら行ってびっくり!」という子どもの成長を感じたという声も。「お世話になっている方への『メリークリスマス!』の子どもたちの声は、私自身とても元気をもらえました」「いい機会になりました。また来年やれたら参加させてください!」といった前向きな声もありました。

お弁当食べてね!
みんな少し成長したかな?

ーーみんな新しい出会いや気づきがあるんですね

普段、地域活動には働き盛り世代が参加することが多いんです。『地域こどもサンタ大作戦』のすごいところは、これまでほとんど出番のなかった“子どもとお年寄り”を活動の主役にして、両者を「ありがとう」で繋げられること。そして、つながりづくりを通して地域福祉や地域防災としてはもちろん、地域愛を育みながら住み続けたい街にすることが一度にできることなんです。

この活動を契機として、このあと、道で出会ったときにあいさつができたり、声をかけてもらったり、たまにお裾分けを持って行ったり、災害時に気に掛けあえたり。そんなあたたかなつながりのある地域になったらいいと思います。


最近はコロナの影響で、子育てや地域の活動などが制限され、一人で不安を抱え込んでしまう人も増えているのではないでしょうか。

こういった活動が広がることで、地域コミュニティが活発になり、いざというときには近所のお年寄りも子どもも声を掛け合える、そして不安や心配ごとも地域で共有して乗り越えられる、そんな社会が実現できるかもしれません。


【お知らせ】
令和5年1月21日(土)、静岡県地震防災センターで開催される「第150回ふじのくに防災講座」では、今回お話しを伺った高木さんの講演もあります。

テーマは「見直して安心、トイレの備え」

つい高額だからと手薄になりがちなトイレの備え。たくさんのお金をかけなくても簡単で安心できる方法についてお話しします。関心のある方はぜひご参加ください!

https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/topics/event/bousaigakukouza.html

▼ママ防災塾マモルマムズ

https://www.facebook.com/mamorumoms

▼高木さんの活動はこちら

https://lit.link/marugotoyuka

問い合わせ

県広聴広報課 ☎054(221)2231 FAX 054(254)4032

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