フカボリ

JICA海外協力隊で私が派遣された場所は…?それ!ここ!!マダガスカル!!!

2023年1月26日

皆さん、マダガスカルって、どんなイメージですか?

めずらしい動物がジャングルを走り回るイメージや、芸人さんのネタが思い浮かぶのは私だけではないはず…。

今回取材をさせていただいたのは、マダガスカルでJICA(ジャイカ)海外協力隊の活動をされている静岡県出身の中谷さんです。

以前、県民だよりで取材をさせていただいたのがご縁で、現地での活動やマダガスカルの様子をまとめたお便りを送ってくださいました(お便りは 記事の最後にあります↓)

今回は、中谷さんがJICAに応募を決意した理由や、マダガスカルでの活動の様子などを広聴広報課職員が詳しく聞いてみました!

7月に静岡県庁で行われた
JICAの出発式を取材しました

▼県民だより8月号海外からの“旬”なお便り
https://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-110b/202208/documents/etsuran-kenmindayori_8gatu_p2-3.pdf

目次

1 JICA(ジャイカ)海外協力隊って?
2 「やりたいことをやらないままの人生は、いつか後悔する」
3 ヘッドライトで料理、バスにアヒル… マダガスカルでの暮らしはすごかった
4 いつかは現地と日本をつなぎ、世界を知ってもらいたい

1 JICA(ジャイカ)海外協力隊って?

まず簡単にJICA海外協力隊についてご紹介。
JICA海外協力隊とは、青年海外協力隊やシニア海外協力隊などの総称で、開発途上国からの要請(ニーズ)を受け、それに合った技術や知識、経験がある人を派遣する国際的なボランティアのひとつです。

派遣された隊員は、現地の人々と生活をしながら、派遣国の社会、経済の発展に貢献しています。

現在、JICAの派遣実績は、アジア、アフリカ、中東、中南米など92カ国(事業実績/派遣実績【全体実績】)。静岡県からも多くの方がJICA海外協力隊としてボランティアに参加されています。

中谷さんは、2019年にJICA海外協力隊への派遣が決定し、コロナ禍の影響で延期が続いていましたが、今年、2年越しで赴任先であるマダガスカルへ出発されました。

▼JICA HP
https://www.jica.go.jp/index.html

2022年7月に隊員としてマダガスカルに派遣された皆さん

2 「やりたいことをやらないままの人生は、いつか後悔する」

今回は、マダガスカルにいる中谷さんをビデオ通話で取材させていただきました。

--まず、JICA海外協力隊に応募したきっかけを教えてください。

中学生の頃から環境問題に興味がありました。
みんな自分の近い生活は意識しているし大切にしているけど、10年、20年先の未来や遠くの人のことになると、関心や問題意識が薄れてしまうのはなんでだろう?と疑問を持っていましたね。

そんな中、初めて開発途上国へ向かったのは大学時代に参加したインドネシアでの国際交流プログラムでのこと。
電気もない、お湯も出ない生活や、裸足の人や物乞いをする人。途上国で目にした暮らしに衝撃を受けました。2週間の活動でしたが、短期間では何もできなかったという気持ちが残り、長期的に国際協力に携わりたいという気持ちが強くなりました。

そこから高校の家庭科教員になったのは、自分達の生活が世界と関わっているということを伝えられる職業だと思ったから。しかし、食料自給率やフェアトレード、ファストファッションなどを通じて世界のことを生徒に伝える中で、「自分は世界の何を知っているんだろう?」と思うようになったんです。もっと世界のことを知りたい、役に立ちたいと思い、JICA海外協力隊への応募を決意しました。

--現地の生の情報を知っている先生から授業を受けたらとても刺激になりそうです。とはいえ、JICA海外協力隊として派遣されると、2年間現地で活動することになります。不安や迷いはなかったですか?

2年間JICA海外協力隊として活動して何になるのかな?途上国へ行って大丈夫かな?と応募を迷っていた時期もありました。
しかし、協力隊経験者の話を聞くと、行って後悔した人は私が聞いた中では誰一人としていませんでした。
「今しか行けない。やりたいことをやらないで過ごしたら、いつか後悔する。行った方が絶対いいんだろうな」と、だんだんと決意が固まっていきました。

3 ヘッドライトで料理、バスにアヒル… マダガスカルでの暮らしはすごかった

--まずは、マダガスカルという国について教えてください。

真っ先にジャングルをイメージされるかもしれませんね。実際にはマダガスカルにはジャングルも高地もあり、色んな気候が混ざった珍しい地形です。私がいるアンチラベは、中央高地で標高約1,500メートルもあるところ。来る前のイメージとは違い、寒い場所です。

世界文化遺産「アンブヒマンガの丘の王陵地」で撮影
アンチラベの街並み

また、貧困率が約8割とアフリカの中でも貧しく、最貧国の一つと言われています。読み書きができないため会社に勤めることができず、仕事がない人たちが街に溢れているのが現状です。

水道や電気の普及率は約2割。栄養不足人口も世界で最低ランクです。

さらに南部地域ではここ数年干ばつがおきていて、深刻な食糧不足に見舞われています。

南部地域は危険地帯とされているため、残念ながらJICA協力隊員は現在ここに派遣されることはありません。

人口2843万人(2021年、世銀)
面積約58.7k㎡(日本の1.6倍)
主要産業農林水産業、鉱山業、観光業など

--海外で活動する上で心配になるのは、やはり言語じゃないかと思います。マダガスカルでは何語を使われているんでしょうか?

公用語はマダガスカル語とフランス語です。
ニュースや公式な看板、書類などにはフランス語が使われていますが、生活言語はほとんどがマダガスカル語です。

日本ではフランス語を学び、現地に来てから1か月間、フランス語でマダガスカル語を教わりました。日本にいる間にマダガスカル語を勉強しておきたかったんですが、日本にはマダガスカル語を学ぶ教材がほとんどないんですよね。

今は生活に困ることはないですが、普段使わない語彙や細かな表現がまだ難しいです。生徒達とコミュニケーションを取るために、今も必死で勉強しています。

授業中は生徒からたくさん質問をされるそう

--マダガスカルでの生活はいかがでしょうか?
キッチンのライトがつかず、ヘッドライトをつけて料理をしていると聞きましたが(笑)

そうなんです(笑)
私の部屋にはキッチンがなかったので、大家さんが新しく作ってくださったんですが、改築したがゆえにライトがなかったんです…。なので真っ暗な中、料理をしています。ヘッドライトは日本から持ってきてよかった物の一つです。

中谷さんの暗闇キッチン
主食は日本と同じお米。具材たっぷりでおいしそう!

–それは大変ですね…!(笑) あと、お便りに書いてあった「タクシーべ」という乗り物について詳しく知りたいです。

よく聞いてくださいました。タクシーベは乗り合いバスのことで、主要な移動手段の一つ。日本の満員電車のようにぎゅうぎゅうに混んでいます。
本当に色んな方が乗ってきて、学生さんもいますし、観光客も、生きたアヒルを持った地元の方が隣にいたりすることも(笑)

市場では生きたアヒルやニワトリが売られているそう
もう一つ、筆者がびっくりした写真がこちら。マダガスカルでは洗濯物を地面に広げて乾かすんだそうです

–生き物まで!それは予想外でした! ちなみに、マダガスカルから見た日本の印象はどうでしたか?

そもそも、日本が遠くて認識されていないことが多いですね。
日本から来ましたと言うと、「顔は中国人のように見えますが…日本はどこにあるのですか?」と言われたりも。

一方で日本のアニメの認知度は高く、NARUTOやドラゴンボールなどを知っている人が多いですね。

4 いつかは現地と日本をつなぎ、世界を知ってもらいたい

--現地での活動内容は、どういったものなのでしょうか?

貧困や落第が原因で学校に通えない若い女性を対象とした職業訓練学校で、洋裁や編み物、刺繍などの指導をしているほか、洋裁を行っている女性団体などで商品開発や講習会を行い、収入向上につなげるという活動を行なっています。

私の担当しているアンチラべの職業訓練校の生徒は25人。生徒は13~17歳の子が多く、本来なら中学や高校に通っている年齢の子たちです。

授業で必要なノートや編み針が買えない子、毎日同じ服を着ている子、14歳で既に子どもがいて毎日は通えない子。色んな子がいるので、それぞれの事情に配慮した授業をする必要があると感じています。

最近は、12月に首都で行われた「JICA海外協力隊マダガスカル派遣20周年記念イベント」で生徒の商品を販売するために、色んな柄の布でシュシュ、巾着、ヘアバンドなどを作りました。イベントには首相や大臣も参加され、一般のお客様にもたくさん来場していただきました。生徒が一生懸命作った作品も売れ行きは好評で、ほとんど売り切ることができました。今回の利益は、今後生徒が授業で使う布や針などの材料代にしようと思っています。

熱心な生徒の皆さん
初めて担当した授業で作ったペンケース。翌日以降、生徒達が使ってくれていたのがとても嬉しかったそう

--今後やりたいことはありますか?

12月まではこちらの職業訓練校にいて、その後は女性団体や他の職業訓練校へ行く予定です。人手も技術も不足している学校で、皆さんの収入の向上につなげていきたいです。

また、日本と現地をつなぐことができたらいいなと思っています。

例えば、日本の授業で生徒たちとオンラインでつないで、開発途上国の様子を知ってもらうなど、日本にいる生徒にも世界を知って考えるきっかけを作りたいです。

日本に戻ったら、地域と関わることや、自分達で課題を見つけて生活を良くしていくことなどを生徒に伝えていきたいです。

--最後に、日本にいる人たちに向けてメッセージをお願いします。

今回は、マダガスカルのお話をさせていただきましたが、開発途上国の現状を知って何かしたいと思ってくださった方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、私のように現地でボランティア活動をできる人ばかりではないと思います。募金や寄付など方法は様々です。ぜひ、参加してみてください。

【中谷さんからのお便り】

SALAMA DAHOLO!
Vol.1: /wp-content/uploads/2023/01/f49ae659d6f0b224d75e9fb27259d1a2.pdf

Vol.2: /wp-content/uploads/2023/01/a1df86ab8fa1fe446d037b0930323630.pdf

Vol.3: /wp-content/uploads/2023/01/f221952b3e5c3278f98ae59a84664f0f.pdf

問い合わせ

県広聴広報課 ☎054(221)2231 FAX054(254)4032

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