フカボリ

せんべい?ビスケット?手が止まらないお菓子「せんぶれっと」のおいしい秘密

2023年2月3日

県民だよりでは、読者プレゼントとして、「ふじのくに福産品」をご紹介しています。令和4年10月号では、(福)ひかりの園 工房めいが製造する「せんぶれっと」をご紹介しました。
せんべいのような見た目、ビスケットのような味わい、そして、独自のネーミング。
きっと、商品へのこだわりがあるのでは・・・!?

そこで今回は、せんぶれっとが生まれた背景や商品に込めた思いなどを広聴広報課 職員が取材しました。

目次

1 障がいのある人たちに、生きがいのある暮らしを-工房めいの取り組み-
2 せんぶれっとに使う卵、どうまい!
3 養鶏場と手を取り、Win-Winの関係で継続した取り組みに
4 子どもから高齢の方まで、安心して食べられるものを届けたい
5 誰もが生きがいをもって暮らし、働くために

1 障がいのある人たちに、生きがいのある暮らしを- 工房めいの取り組み-

浜松市北区・三方原台地に、工房めいはあります。障がいのある人たちが安心して暮らし、生きがいを持って働き、社会参加するための支援の総合的な実現を目指す「浜松協働学舎」の中で、重度の知的障害のある方の生活介護を担う事業所です。5月にできた施設なので「めい」と名付けられ、また、あかるくという意味も込められているそうです。

現在ここで働くのは、20~70代の35人(以下、利用者)。せんぶれっとなどの自主製品を作る「まーちクラス」、地元企業からの受注業務を行う「あおぞらクラス」、機能訓練を中心に行う「さつきクラス」に分かれて活動をしています。

今回は、まーちクラスのリーダー・杉山泰崇さんにお話を伺いました。

まーちクラスリーダーの杉山さん

2 せんぶれっとに使う卵、どうまい!

まーちクラスでは、自主製品のせんぶれっとのほか、卵の仕入れ販売も行っています。

「この卵、味、品質ともに大好評なんです」と杉山さん。その名も、『どうまい卵(らん)』。遠州の方言である『どうまい』・『うまいら』に卵を掛け合わせたネーミングで、せんぶれっとにも使用されています。

毎日、地元の浜北区にある『青い鳥牧場』から純国産鶏の卵を仕入れ、利用者の皆さんは卵についた汚れを布巾できれいに磨くのだそう。「ひび割れがないか、形は整っているかを選別し、綺麗で丈夫な卵だけを丁寧にパックに詰めて販売しています」。

綺麗に拭き上げられたられた卵
丁寧にパッケージを貼り付けます
温かみのあるパッケージは、地元浜松出身のえだむらかつみさんの作品。

3 養鶏場と手を取り、Win-Winの関係で継続した取り組みに

どうまい卵の販売のきっかけは、元々、障がいのある人たちの就労支援に理解のあった養鶏場の掃除を行っていたことが始まりでした。

あるとき、様々な情勢により訪問しての掃除が難しくなってしまい、何か新しい形で、お互いにwin-winになる関係性を築けないか、当時の工房めいのご担当の方は模索していたそうです。

そこで、「利用者の方々は、汚れを取る、ラベルを貼る、といった丁寧な作業が得意。養鶏場は、鶏を育てる環境は素晴らしく、卵の味・品質も申し分ない。産みたての卵を仕入れて販売すれば、お互いのメリットを生かせるのでは」と思い立ち、産みたて卵の仕入れ販売という新たな販売スタイルを確立されました。

現在、地元ショッピングセンターの専門店や新聞店経由での注文販売は工房めいの主要な事業となっています。新たな企画として、地元浜松市中区にある加藤醤油店の協力による「どうまい卵」に合った醤油、同じく地元で食の安全や環境保全に取り組む農場『京丸園』がアイガモ農法により育てたコシヒカリなどをセットにしたギフトの受注販売にも取り組んでいます。

↑杉山さんが積極的に他事業者との連携を模索。施設長の美和さんと相談しながら、商品の販路を広げている。

4 子どもから高齢の方まで、安心して食べられるものを届けたい

工房めいの自主製品のもう一つの柱が、せんぶれっと。変わったネーミング、温かみのあるパッケージ。思わず手にとってしまいます。せんべいのような見た目と堅さ、ビスケットのような味わい・・・一度、開けると食べるのが止まりません。せんぶれっと、という名前の由来や生まれた背景を伺いました。

「工房めいでは、元々、和歌山県の福祉施設で薄焼きせんべいの作り方を学んで、様々な味のせんべいを販売していました。当時、複数種類のせんべいがありましたが、どれも売れ行きは同程度。これといった主力がありませんでした。このため、販売数を絞るとともに商品を一新することにしました。

一新に当たり、まずは名前から。『何だろう?』と不思議に思ってもらえるように、『せんべい』、『サブレ』、『ビスケット』をかけあわせて、『せんぶれっと』というネーミングを付けました。ほかに候補もありましたが、パッケージで見たときの文字のバランス、授産所として温かみや柔らかさも考えて、あえて平仮名で『せんぶれっと』としました」

現在、3種類で展開するせんぶれっと。作る過程のこだわりを伺いました。

原材料には、国産の小麦、由比産のじゃこが並びます

「せんぶれっとは、幼児からご年配の方まで安心して食べてもらえるように原材料にもこだわっています。プレス機を使って、一枚一枚丁寧に焼いています。機器の操作や焼き加減の調整といった工程など、危険が伴うものは職員が担い、袋詰めやラベル貼り、ちらし折りを利用者が行っています。もちろん、せんぶれっとに使う卵はどうまい卵。利用者が丁寧に拭いて選別したものです。利用者と職員が一緒になって作りあげている自慢の商品です」と、杉山さんも胸を張る自信作です。

プレス機で一枚一枚丁寧に焼き上げます
出荷に向け、利用者と一緒になって準備します

5 誰もが生きがいをもって暮らし、働くために

せんぶれっとは、首都圏からも注文が入ることもあるそうです。「購入したい」、「取り扱いたい」という声もある中、すべて手作業なので生産が追いつかないことが悩みとのこと。そのため、どうまい卵の販売を並行して行うことで販売の安定化を図っています。

最後に、障がいのある人たちが安心して暮らしていくための思いを伺いました。

「商品を通して施設を知ってもらいたいと思っています。自主製品が売れれば、その売上げは利用者の方に還元されるため、それを使命に取り組んでいます。わずかでも還元されば利用者の楽しみの場が増え、それが働くための生きがいにつながっていくと考えています。大量生産はできませんが、せんぶれっとも、どうまい卵も、一つ一つ丁寧に仕上げて出荷した大切な商品。一人でも多くの人に、利用者と一緒になって作りあげた製品を手に取っていただき、授産施設の活動への理解が深まれば嬉しいですね」

せんぶれっと、というネーミングをきっかけに試みた今回の取材。製造時に使われる卵も国産鶏の卵で、多くの人に安心して手に取ってもらいたいという思いを感じました。卵の汚れを一つ一つ拭き取り、形を一つ一つ確認し、そして、一つ一つの商品にラベルを貼る・・・その丁寧な作業を経て出荷される商品は、愛情が込められた、まさに、『福産品』。「ふじのくに福産品」のロゴマークを見つけたら、施設の方々の作業を思い浮かべて、手に取っていただきたいと思います。

県民だよりでは、毎月、紙面へのご意見・ご感想などをお寄せいただいた方の中から抽選で「ふじのくに福産品」をプレゼントしています。皆さんのお便りをお待ちしています。

<工房めいの商品の販売所>
せんぶれっと(ふじのくに福産品)
・喫茶ぴあ~(静岡県庁東館2階)
・JA三方原開拓 土の市(浜松市北区)

どうまい卵
・わくわく広場 プレ葉ウォーク浜北店(浜松市浜北区)
・奥浜名湖田園空間博物館 旬彩市(浜松市北区)
・平松観光アグリス浜名湖(浜松市西区)
・るびなすの畑(浜松市西区)

県民だより2月号のプレゼント応募は令和5年2月13日(月)まで

▼2月号は、「ふじのくに福産品」ドリップコーヒー4種とナッツのスペシャルセット(就労継続支援B型事業所Canvas)です!
https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1040307/1050466/1050499.html

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