フカボリ

約12万人が参加!しずてつが仕掛けた「脱炭素」イベントに込めた熱意(県民だより令和5年3月号 補足記事)

2023年3月31日

突然ですが、今から30年後の未来は、どうなっていると思いますか?
今と同じ生活を送れるでしょうか。温暖化の進行や自然災害の猛威を防げるでしょうか。2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向けて、世界各国が動き出しています。これからの地球の未来を決めるのは、一人一人の選択と行動。県民だより3月号では、脱炭素型ライフスタイルの浸透をテーマに、各家庭でできる取り組み(クルポ、うちエコ診断)を紹介しました。

脱炭素社会の実現のために、地元企業も動き出しています。そのうちの一つが、昨年秋、静岡鉄道株式会社が主体となって開催された環境イベント「COOL CHOICE 2022 in しずおか」。同社が取り組むこととなったきっかけやイベントに込めた思いを、広聴広報課 職員が取材しました。

目次

1 一人でも多くの人に、脱炭素社会の実現を意識してもらいたい・・・
2 約12万人が環境を考えるイベントに参加!
3 2050年は自分事-継続した取り組みへの進展-

1 一人でも多くの人に、脱炭素社会の実現を意識してもらいたい・・・

静岡市内の電車・バスといえば、真っ先に思い浮かぶのは、「しずてつ(静岡鉄道)」という方も多いと思います。1919年の創業から静岡市を中心に公共交通を支えていますが、人口減少、地球温暖化に起因した異常気象と甚大な被害、コロナ禍による人の流れの縮小といった問題に同社も直面しました。そんな中で、なぜ環境イベントに取り組むことになったのか。静岡鉄道株式会社 未来事業創造部長の二村昌輝さんにお話を伺いました。

静岡鉄道株式会社 未来事業創造部長の二村昌輝さん

「静岡の街のにぎわいを取り戻したい。そして、ただ取り戻すのではなく、環境に配慮した新たな形を地域の方々とともに作り上げていきたい。そんな思いの下に行われたのが、静岡市内の電車・バスを終日無料化するCOOL CHOICE 2022 in しずおかです」

キャプション:COOL CHOICE 2022 inしずおか プロジェクトチーム

「脱炭素社会の実現。これは一人一人が今、考えていかなければならないことだと思います。昨秋の台風被害で市内でもライフラインに大きな影響が出ました。そのような被害が毎年、複数回起きたら・・・。変えるのは、考えるのは、今なんです」と二村さんは力を込めました。

静岡では、人々の主な移動手段といえば自家用車ですが、電車やバスは、利用人数に関わらず環境負荷が増えない乗り物という特徴があります。一人一人が電車やバスの利用頻度を高くすることができれば、その分、環境への負荷軽減につながりますね。

民間企業や行政では、公共交通機関の利用促進を目的に、乗車運賃を無料にする取り組みが全国でも散見されますが、同社が取り組んだのは市内のにぎわいの創出と環境活動を行うきっかけ作り。環境に配慮した賢い選択「ゼロカーボンアクション」を体験できる1日をテーマに、70を超える団体(企業・高校・NPO等)の共同・共催・共創による作り上げるという壮大なものでした。

「公共交通を担う企業として、環境と経済活動の両立により、地域活性化・地域創生に寄与できる取り組みができないかを2021年秋から検討をしてきました。2022年4月に静岡市が環境省により脱炭素先行地域に選定され、5月より具体的にアクションを起こし始めました。ちょうど、脱炭素社会実現に向けた取り組みを進める機運が高まりつつある時期だったんです。

弊社には、鉄道・バス事業という大きな柱があります。一人でも多くの人に利用してもらえれば、一人当たりのCO2排出量を少なくすることができます。脱炭素社会を実現するためには、一人一人がCO2排出量を意識する必要があるんです。ところが、現在は車社会。車を使わないシーンを生み出すならば、一企業としてではなく、地域ぐるみで作り上げなければこうしたシーンは広がらないと考えました。」

2 約12万人が環境を考えるイベントに参加!

ゼロカーボンアクションには8つのテーマがあります。このうち同社が担うのは、「CO2の少ない交通手段を選ぼう!」。他のテーマを地域の方とともに担うことができれば脱炭素社会の実現に近づきます。環境イベントを行う1日で「ゼロカーボンアクション」を体験できるように工夫したそうです。

8つのテーマを参画団体の協力を得て実現

「日頃、環境活動を行っている企業に対して、個別に声をかけていきました。皆さん、ゼロカーボンに向けて何かやっていかないと、という認識でしたので、好意的に賛同いただけました。高校は特に積極的でした。2022年6~7月から探究授業の一環として、環境を考えるワークショップを開催し、一緒になって取り組みを進めてきました。若い世代に環境への意識を高めてもらうとともに、企業活動を身近に感じてもらえればと。イベント当日、これまで探究してきた取り組みを静岡市長の前で発表する、ゼロカーボン提案発表会も開催しました」

市内5校 約150人の高校生の参加の下、「静岡市の未来を切り開け」をテーマに行われました。

 「COOL CHOICE 2022 inしずおか」の開催当日は、鉄道沿線を5つのエリアに分けて脱炭素を考えるイベントが開催されました。その内容はさまざま。例えば、廃材を使用したワークショップやスポーツアクティビティ、プラモデルのランナー(枠の部分)のリサイクル活動、ゼロカーボンサッカークリニック…など。また、フォトデジタルビンゴといった市内を周遊する企画や軽音楽・ダンスのステージイベントも。この日1日だけで、なんとバス利用者は約7万人、電車利用者は5万人、延べ12万人の参加がありました。鉄道沿線には、過去最高の約5000人もの入場が見られた駅もあったそうです。

駅構内は大賑わい。エコをテーマにしたブース出店もありました。

「この日に向けて、グループ会社を含め約250人の社員が力を合わせて、ほぼ自前でイベントを作り上げました。参画団体からは、『今まで関わりのなかった人々と接点を持つことができた』という好意的な意見をいただきました。また、参画団体の一つである一般社団法人草薙カルテッドは、趣旨に賛同して独自にイベントを仕掛けてくれました。

参加者アンケートでは、無料だから参加したという方が多かったですが、まずは、利用してもらうこと、参加してもらうが大事。日頃、利用したことがない人にも利用してもらえたことはよかったです。電車・バスは、環境に優しい。その理由をよりわかりやすく伝えて理解いただく事が大切であると改めて感じました」

3 2050年は自分事-継続した取り組みへの進展-

イベントは1日限定でしたが、これを契機とした新たな動きも始まったそうです。

「参画・関係企業5社の若手有志による環境勉強会を始めました。50人程が集まり、経済産業省関東経済局の方を講師に招いて「カーボンニュートラルに対する行動変容を生むためには」、「脱炭素社会における暮らしやすいまちづくりとは」、「企業に選ばれるまちづくりとは」という3つのテーマごとに分かれて考察を深めています。参加の条件は、2050年に定年を迎えていない人。その時に現役でいる人は、これから自分事として捉えていかなければならないですから」

業務時間外に集まって脱炭素化社会をテーマとした勉強会が行われています。

同社の事業活動でもCO2を減らす取り組みとして、EVバスの導入など、環境配慮型の対応を順次取り入れていくとのことです。

12万人を動員したイベントをきっかけに、脱炭素社会に向けてますます邁進する二村さんに、最後に今後の目標を伺いました。

「イベント名に“in しずおか”とつけたのは、将来、他の地域への活動の広がりを期待してのこと。いかに環境負荷をかけない暮らしを実現できるかを多くの人が考えるきっかけとなるよう、このイベントを永続的に続けられる仕組みを考えたいですね。

形のないものをイベントとして作り上げていくことは難しさもありましたが、脱炭素社会の実現のためには、社会として、企業として実施していかなければならない問題です。静岡を代表するイベント『大道芸』に負けないくらい多くの人に知っていただき、そして、参加してもらえるような取り組みを目指したいと思います」

 脱炭素社会の実現。それは、地球に生きる一人一人に課せられた使命であり、求められるのは一人一人の行動。地域企業も動き始めています。今、一緒に行動の一歩を踏み出しませんか?

各家庭でできる取り組み(クルポ、うちエコ診断)は、「県民だより3月号」をご覧ください

http://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1040307/1051591/1051597.html

COOL CHOICE in しずおかの取り組みはこちらをご覧ください。

https://www.instagram.com/coolchoice.shizuoka/

2022の実施結果、令和5年度の取り組みはこちらをご覧ください。

(1)2022の効果検証結果
https://shizutetsu.co.jp/media/pages/slider/230331/de5766116f-1680220421/hp_coolchoice2022report.pdf

(2)令和5年度の取り組み
https://www.shizutetsu.co.jp

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