フカボリ

新茶の時期だからこそ、味わいたい!静岡茶を満喫する極意 

2023年4月28日

夏も近づく八十八夜。立春から数えて八十八日目。いよいよ新茶シーズンが始まります。県民だより令和5年5月号では、静岡茶の魅力を取材しました。日本茶インストラクター協会静岡県支部の松島章恵さんにお聞きした、紙面に載せきれなかった情報をこちらでご紹介します。

県民だより5月号の紙面の内容も併せてご欄ください。⇒ 県民だより令和5年5月号

目次

  1. 新茶をトコトン味わう
  2. 飲用シーンに応じたお茶の組み合わせ
  3. 水出し茶をおいしく作る秘訣
  4. お茶をもっと気軽に楽しむアドバイス
日本茶インストラクター協会静岡県支部 松島章恵さん(管理栄養士)

1 新茶をトコトン味わう

-新茶と一番茶って同じですか?また、二番茶、三番茶とは、何が違いますか?

一番茶のことを新茶とも言います。冬を越してその年の最初に摘採された新芽を用いて製造するものが新茶(一番茶)です。昨秋の枝を刈り整える作業から6~7カ月経っており、土の養分を十分に蓄えて成長しているので、うま味、香りが凝縮されています。二番茶は、一番茶を摘んだ後、50日位経って伸びてきた葉を摘み取って製造するものです。三番茶はさらに35~40日後、秋冬番茶はその年の秋(10月くらい)にかけて摘み取ります。ただし、静岡県内の茶産地では、一番茶(4~5月)、二番茶(6~7月)、秋冬番茶(9~10月)の年3回収穫する場合が多い傾向にあります。

春先から日照量も増加し、気温の上昇に伴って芽の生育が早く進むので、一番茶よりも二番茶、三番茶の方が葉が硬化しやすくなります。その年最初の新芽を摘み取る新茶(一番茶)は、葉も柔らかく、茶殻も食べることができます。また、同じ量に見える茶葉でも、大きさがそろい締まった形状の新茶が最も重く、秋冬番茶が最も軽いです。

-新茶を最大限に味わうには、どのような飲み方がオススメですか?

新茶ならではの香りやうま味を味わったり、うま味・渋味・苦味のバランスを楽しんだり、お湯の温度を変えることで味わいの変化を感じることができるので、ぜひ、自分好みの味を見つけて楽しんでいただきたいですね。

-せっかくの新茶。茶殻も楽しみたいです。茶殻を活かしたオススメの料理はありますか?

茶農家の土作りによって、蓄えられた栄養分を吸収して育った新茶。うま味もたっぷり含んでいるので、存分に楽しみたいですよね。お茶を飲んで摂取できる栄養成分は全体の約3割で、残りの7割の成分は茶殻に含まれていると言われています。茶殻に含まれるβ-カロテンやビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、ナッツやオリーブ油など油脂分を含むものと一緒に食べることで、体内での吸収率がアップします。

茶殻も食べることでお茶の魅力のすべてを味わえます。ゴミも出ないので、環境にも優しいです。

茶殻に岩塩、オリーブオイル、砕いたアーモンドをかけた一品

世界緑茶協会ユーチューブチャンネルの茶殻レシピ動画はこちら

2 飲用シーンに応じたお茶の組み合わせ

-一日の中で、「この時にはこのお茶がオススメ」というものはありますか?

日本茶には、煎茶、ほうじ茶、玄米茶、和紅茶など、色々な種類があります。飲用シーンによって使い分けると、楽しみも味わいもぐっと広がります。緑茶の場合、熱いお湯では、抗酸化・抗菌作用のあるエピガロカテキンガレート(EGCG)が多く抽出されるので、お弁当やおやつのお供にもピッタリです。一方、温度の低い水(水出し)では、腸管免疫の働きをサポートする可能性があるエピガロカテキン(EGC)が多く抽出されます。また、カフェインの抽出量が減るので、夜寝る前などカフェインが気になる人にもオススメです。

-お茶に合う食べ物には、どんなものがありますか?

一般に、成分の共通性があると合わせやすいと言われています。似たような香り、味であると、ペアリングをした時に心地良さを感じます。例えば、うま味があり新鮮香漂う山のお茶の香りには、柑橘系のフルーティな香りのチョコレートを合わせると爽やかさがアップします。これまでフードペアリングの講座などで人気のあった組み合わせの中で意外性があったものは、玄米茶と麦チョコ。玄米と麦に共通する穀物系のほのかな甘さと香ばしい香りがマッチして、お互いを引き立て合います。

煎茶の二煎目の渋味とミルクチョコレートの組み合わせもGood

3 水出し茶をおいしく作る秘訣

-水出し茶を作っても、渋味・苦味が気になります。おいしく作る秘訣ってありますか?

水出し茶をおいしく作るために、一番重要なのは、最初に準備する水の温度です。茶葉に入れる時から冷たい水(常温ではなく冷蔵庫でよく冷やした水(10℃以下))を使うと渋味・苦味が抑えられ、うま味あふれる一杯となります。冷水1リットルに対して茶葉15~20g(大さじ山盛り2~3杯)の割合で容器に入れ、煎茶であれば30分、深蒸し煎茶ならば20分、冷蔵庫に入れて静かに待ち、茶葉を濾せば完成です。抽出の時間が長くなると、渋味・苦味が出やすくなります。最後に味を見て、苦味や渋味がもう少し欲しいなぁという場合は、抽出時間を長くするなど、お好みに合わせて調整していただければと思います。

冷たい水をすぐに用意できない場合、常温の水に氷を入れても大丈夫です。また、抽出時に、ミントなどのハーブも一緒に入れると爽やかな味わいが楽しめます。茶葉を濾す直前にティースプーンで上下をそっと一度混ぜてから注ぐと、味が均一になります。茶葉がこすれると渋くなるので、「そっと」がポイント。20~30分で取り出した茶葉であれば、2煎目も水出しで作ることができます。

<水出し茶をおいしく作るコツ>

  • 使用する水は冷蔵庫でよく冷やしたものを。すぐに用意できない場合は、常温水に氷を適量入れて急冷させてもOK。
  • 抽出時間は、煎茶や深蒸し茶なら20~30分。ミントやレモングラスなどのハーブを一緒にいれてもGood。
  • 濾す時は、茶葉がこすれないように、そっと注ぐ。

4 お茶をもっと気軽に楽しむアドバイス

ー急須がなくても楽しむ方法はありますか?

「茶こしに茶葉をいれてカップの上に置き、茶葉が十分浸るくらいお湯を注ぎ、時間が経ったら茶こしを引き上げる」という方法でも、お茶をたのしめます。茶種に合わせて湯温を調節してみてください。

ーお茶には種類が色々あって、買うとき迷いそうです。煎茶と深蒸し煎茶、玉露はどんな違いがあるのでしょうか?

煎茶は主に山間地で栽培された茶葉を摘採し、蒸して揉みながら加熱・乾燥をして作られます。平地と比べ日照量が短く、葉が薄く柔らかく育つため、形状は針の様に撚れて細長く、入れたお茶は山吹色で透明感があります。うま味と渋味のバランス、そして香り高さを楽しむお茶です。一方、深蒸し煎茶は主に平地や台地で栽培された茶葉を原料としています。温暖で日照量も多く、葉肉が厚く育つため、生葉の蒸し時間を煎茶の約2~3倍長くします。そのため、外観は煎茶よりも細かく、入れたお茶は鮮やかなグリーンです。まろやかで濃厚な味を楽しみます。

玉露は、摘み取る20日間ほど前から、茶園全体にコモやワラ、寒冷紗などで被覆をして栽培し、摘み取った茶葉は煎茶と同様に製造します。茶葉に含まれるアミノ酸の一種テアニンは、光に当たると渋味のカテキンに変わりますが、被覆をすることにより、うま味たっぷりのまま収穫することが出来ます。濃厚なうま味があり、独特の覆い香が生じるため高級品として扱われています。

ー松島さんが考えるお茶の魅力って何ですか?

静岡県は、お茶の産地がたくさんあり、気候や土壌などそれぞれに生育環境が異なります。言葉では表現しにくいですが、「静岡茶」と一言でいっても、産地や作り手の違いによって、様々なお茶の香味が楽しめるのが一番の魅力です。また、お茶の品種も多様になってきました。静岡県では「やぶきた」という品種が多く飲まれているのですが、近年では、エメラルドグリーンの水色とうま味が特徴の「つゆひかり」、すっきりとしたハーブのような香りが特徴の「香駿(こうしゅん)」などの品種茶を飲んだことがある方も増えてきたのではないでしょうか。一般的に売られている上級煎茶は、100gあたり1000円程度が多いですが、一杯入れるのに使う茶葉はだいたい2~3g。それを3煎目まで味わえるので、満足感もあり実はコスパも高いのです。また、新茶は茶殻も楽しむことができます。新茶が出そろう季節、産地を巡りながら、飲み比べをしてお気に入りの茶葉を見つけてもよいと思います。お茶の楽しみ方はいろいろ。新しい飲み方、食べ方でお茶のさらなる魅力を知っていただければと思います。

取材を通して、様々な温度で抽出したお茶をいただきました。「これがお茶?うまい!」低温で抽出したときのお茶を飲んだときの感想です。格別でした。新茶をお買い求めできるこの時期だからこそ味わえる一杯。皆さんも、お気に入りの静岡茶を見つけてみてはどうでしょうか。

【新茶講座・イベントのお知らせ】

しずおかO-CHAプラザ(静岡市駿河区南町14-1)

https://www.o-cha.net/kyoukai/ochaplaza.html

ふじのくに茶の都ミュージアム(島田市金谷富士見町3053-2)

https://tea-museum.jp/event_all.html

―――↓問い合わせ――――――――――――――――――――――――――

【問い合わせ】 県広聴広報課 ?054(221)2231 FAX054(221)4032

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