フカボリ
知って欲しい!青少年に近寄る悪い大人の手口
2023年6月30日
県民だより令和5年7月号では、青少年の非行・被害防止をテーマに、今、できる対策を紹介しました。夏休みに入ると、SNSを利用する機会が増える人も多いと思います。その一方で、SNSを通して近づいてくる大人もいます。今回、青少年を被害から守るために、悪い大人の手口を静岡県警察本部の小澤さんにお話を伺いました。
県民だより7月号の紙面の内容も併せてご覧ください。→県民だより7月号
目次
1「自分だけは大丈夫」、じゃない!SNSによる被害は身近にある
小学生でもスマートフォンを持っている人がいるなど、ゲーム、アイドル、スポーツ、漫画・・・共通の話題で盛り上がることができる手段として、青少年にとってSNSは身近な存在となっています。見ず知らずの人とも、そばにいるような感覚でコミュニケーションを取ることができ、反応も早いので、会ったことがなくても信頼できる、となってしまいやすくもあります。
近年、県内では、SNSをきっかけとする青少年の被害が増えつつあります。年齢や性別、性格、地域に関係なく、誰もが被害に遭ってしまう可能性があります。「自分だけは大丈夫」と思っていても、SNSで連絡を取り合っているうちに被害に巻き込まれていることも多いです。
2 大人はこんな手口で迫ってくる!
<事例1:同年代の同性と思っていたのに・・・>
被害に遭われた方は、まじめで部活動もしている普通の生徒でした。きっかけは、好きなアイドルのコミュニティ。共通の話題で盛り上がっていくなかで、年齢が近いこと、同性であること、住んでいる場所、他の趣味などを教えあい、気軽に悩みを相談できる仲に発展。
日々、連絡を取り合っていくうちに、相手から自分の体の悩みについて相談を持ちかけられ、裸の画像が送付されました。
「私が送ったから、あなたも送って」
と言われたので、何気なく送ってしまったところ、徐々に要求がエスカレート。要求を断ると、連絡を取り合っていた相手は、実は、同性ではなく異性の中年であることが発覚。態度が急変し、
「これまでやりとりした写真、住まいなどをばらす!」
と脅されたことをきっかけに母親に相談。母親から警察への連絡により事態が明るみになりました(相手を児童ポルノ禁止法違反で検挙)。
青少年は、変な要求をされてもきっぱりと断れる人ばかりではありません。脅されても真面目に返信を返してしまうものです。個人情報をさらすつもりはなかったのに、いつの間にか被害に遭ってしまった、という人ばかりです。
<事例2:親とケンカ。家出がきっかけで、被害に>
その子が被害に遭ったきっかけは、親とのケンカでした。行く当てもないので、SNSで、「家出をしていること」、「泊めてくれる人を探していること」、「今いる場所」を発信したことにより、相手と接点をもち、性被害に遭いました(相手を未成年者誘拐、県青少年環境整備条例違反で検挙)。
被害は、市街地や郊外に関係なく、どこでも起こりえます。市街地であれば、公共交通機関を使っての移動、郊外であれば相手が車で迎えにくることもあります。
ーー小中高生へSNSの危険性の周知はしていないのですか?
県警は、毎年、小中高生にSNSの危険性を説明しています。わかっていても、それでも被害に遭ってしまうのです。急にせかされたり、予期しないことにいきなり遭遇したりすると、おかしいとわかっていても従ってしまいやすくなります。
SNSのコミュニティは、同じ趣味を持つ人が集まるので、会話ができる・つながることができる楽しさ、嬉しさがある一方で、顔が見えない怖さが常にあります。しかし、SNSのやりとりをしていると相手との距離感が縮まり、怖さがなくなってきます。SNSは、電話と違い、連絡を取るハードルや警戒心が低くなりがちです。誰もが被害に遭う危険性があります。青少年の根底には孤独感があり、誰かとつながっていたい、信頼できる仲間が欲しい、という思いもあると思います。
3「助けて欲しい!」 そんなときは#9110へ
ーー相手が怪しいかどうか、見抜く方法はありますか?
テンションが上がりやすい話、趣味の話、だます大人の手口は様々です。文や写真など、相手とのやりとりで裏の顔(狙い)を見抜くのは困難です。仲良くなったところで、「体を見せ合おう」とか「いきなり自分の写真を送付」といった展開になります。その際に、一歩、立ち止まることができるかどうか。おかしい、と思えるかどうか。相手とのやりとりを始める前の段階のチェックポイントはあります。
<見知らぬ相手が信頼できるかどうかのチェックポイントーこんな人は怪しいー>
- 作りたてのアカウント
- フォロワーが少ない
- 投稿数が少ない
怪しい大人は、一人の青少年と接点を持った後、そのアカウントをすぐに捨て、新たなアカウントを作ります。そのため、フォロワーや投稿数が少ないです。
ーー被害から逃れるために、どこに相談すればよいですか?
#9110 に電話してください。
いつでも、誰でも、どんな些細なことでも、大丈夫です!困ったらもちろん、困ってなくても電話してください。
4 青少年を守るために、大人ができること
ーー青少年の被害を守るために、保護者は何をすればよいですか?
人と人とが接点を持つ機会には、どこでも被害の可能性が隣り合わせです。子どもは、いざというときの判断能力がこれから磨かれていく途上なので、子どものことに無関心でいないでほしいです。子どもが使っているアプリを知る、どんな人と接触しているのか、どんな会話をしているのか、どんな写真を撮っているのか、知っていて欲しいです。
<家庭でできる対策>
○ 子どものスマートフォンへのフィルタリングの設定
携帯電話を新規購入の際に、販売者には、フィルタリング設定の説明が義務化されています。その際に、「面倒だから」、「子どもに設定しないでとせがまれて」、設定しない方がいます。フィルタリングを設定しても、アプリは使うことができるので、設定をお願いします。
○ 定期的にスマートフォンのチェックを
未然防止の策として、子どもがどんな人とどんなやりとりをしているのか、どんな写真を持っているのか、どんなアプリを使っているのか、定期的に確認してほしいです。
○ 家庭内でのルールを話し合って
ネット環境は、様々な可能性を広げてくれます。家庭内でのルールを決めて、安全に賢く使ってください。
家庭内でのルール作りを
ーー地域の大人は、何をすればよいでしょうか?
子どもの登下校の際に、あいさつ・声かけをお願いしたいです。散歩をしながら、仕事をしながら、家事をしながら、「こんにちは」、「おはよう」、と声をかけてください。そのことが子どもの自己肯定感を育むことにつながります。
地域の青少年声掛け運動を!
https://www.pref.shizuoka.jp/kodomokyoiku/school/kyoiku/shakaikyoiku/seishonen/1032003.html
<取材を終えて>
「同じ趣味の友だちと話をしたい。思いを分かち合いたい。でも、周りにはいない・・・」そんなときにSNSがあったから救われた、という方もきっといるはず。デジタル化の流れの中で、SNSを恐れるのではなく、SNSとうまく付き合うことが大事であると改めて感じました。子どもたちを守るために、今、できることとして、関心を持つこと、声をかけること。この夏、まずはその一歩を踏み出したいと思います。
―――↓問い合わせ――――――――――――――――――――――――――
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