フカボリ
命をつなぐ一歩 -献血に行ってきました-
2023年11月30日
街を歩いていると、「O型の在庫が減少しています!」の文字が目に付きました。血液型はO型、体も大型!?な筆者です。県民だより12月号の取材で冬場の献血者は減少しがちであると聞き、それならばと仲間を誘って献血に行ってきました。
目次
1.アプリで予約も簡単!いざ献血ルームへ
今回、誘ったのは献血回数87回の常連の先輩、献血は高校生以来という後輩。早速、ラブラッドで予約しました。
「400mLだと、次回の献血まで3カ月待たないといけないから、成分献血で」という先輩の一声で、3人ともに成分献血を選択しました。
献血には全血献血と成分献血とがあります。全血献血は、血液中の全ての成分を献血するもので200mL献血と400mL献血があります。採血時間は15分程ですが、次回の献血まで数ヶ月空ける必要があります(400mL献血は、男性は12週間後・女性は16週間後。200mL献血は、男女ともに4週間後)。
成分献血は、成分採血装置を使って血小板や血漿(けっしょう)といった特定の成分だけを採血し、体内で回復に時間がかかる赤血球は再び体内に戻す方法の献血です。献血時間は1時間程かかりますが、献血後2週間経てば、再び献血することができます。
Z世代の後輩は、「昔は献血の際に問診をしていましたけれど、今は、アプリで事前問診ができるんですね。時短ですね。」と時代の流れに感心している様子でした。受付での待ち時間が減るのは嬉しいですね。さぁ、いざ、献血ルームあおば(毎日江崎ビル6階/静岡市葵区七間町)へ出発です!
受付で、名前と予約時間を伝えて、血圧測定、体温測定。登録住所などの確認の後、呼び出しベルを渡され、医師による問診までしばらく待合ルームで待機。 待合ルームには、漫画、雑誌、DVDがあり、DVDは献血をしている時に見ることができます(筆者はテレビを見て過ごすことが多いです)。また、好きな飲み物を自由に飲むことができます。無類の甘党の筆者は、ここでホットココアを選択するのが定番です。
と、そこへ呼び出しベルがなりました。医師との面談で名前、生年月日、今日の体調などを伝えた後、次は採血前の血液検査です。
この血液検査は、血液型やヘモグロビン濃度、血小板数などを事前に確認するもので、採血方法は、人間ドックなどで行う採血と同じです(400mL献血の場合は、指先から少量の血液を採取する方法で検査するやり方もあるそうです)。成分献血の場合、採血検査の結果や当日の予定(時間の融通がきくかどうか)、機械の空き状況などで、血漿献血か血小板献血かを選択します。
血漿献血は、血漿だけを献血する方法で時間は45分程。血小板献血は、主に血小板を献血する方法で、血漿献血よりも献血時間が長い(60分程)です。また、血を戻すときの薬剤の影響で唇がしびれることがあるので、献血前にカルシウム入りのウエハースを食べて待ちます。
今回、一緒に参加した先輩は血小板献血(血小板数が多めのようです)、筆者と後輩は血漿献血となりました。再び、待合ルームで順番が来るまでしばし休憩。ここでも筆者は再びホットココアを一杯。ベルが鳴りました。いよいよ献血開始です。
リクライニングシートに座って採血開始!しばらくの間、テレビやDVDを見て過ごします。筆者は、耳元から出てくる音声を聞きながらテレビを視聴することが多いです。腕を置く高さ、シートの角度、頭の位置も調整可能で、自分好みにフィットしたシートは、まるでスーパー銭湯のリラックスルームにいるかのようです。 血小板献血を行っていた先輩は、途中でお菓子をいただいていました。筆者は温かい飲み物をお願いして持ってきてもらいました(ここでもホットココア)。
ゆったりと流れゆく時間と血液、つかの間の休息タイムです。採血中の45分はあっという間で、途中うたた寝しそうでした。
2.献血ルームで聞きました ーあなたが献血する理由ー
あおばの献血ルームには、13台の機械が並んでいて、この時も6人の人が献血を行っていました。献血を行った人にお話を伺ってみました。
ー今日は、どこからきました?普段はどんなことをしていますか?ー
静岡市内から来ました。今、大学3年生です。用事があって近くまで来ました。その用事が終わって歩いていたら、献血不足の看板を持った方がいたので、時間もあるし、寄ってみました。
ー献血にはどのくらいの頻度で来ますか?どういう時に献血に来ますか?ー
実は、献血をするのは今日が初めてなんです。400mL献血を行いました。高校生の時に献血バスが学校に来たので行おうとしたのですが、ヘモグロビン濃度が基準値以下だったのでできませんでした。元々献血には興味を持っていましたが、献血できなくて残念な思いだけが残りました。でも、何かの役に立ちたいと思って、ボランティアで献血を呼びかける活動に参加してきました。
今日は、久々に献血ルームに立ち寄ったのですが、今回は無事、行うことができました。
ー初めての献血、いかがでしたか?緊張しましたか?
あっという間でした。献血中は、本を読んだり、看護師さんとお話したりして過ごしました。看護師さんが優しかったので緊張はしませんでした。自分の血液が誰かの役に立って欲しいなぁと思っています。
茨城県出身の大学生さん、「やっと献血できるようになりました!」と嬉しそうにお話してくれました。「今度はお友達と一緒に来たい」と言っていたのが印象的でした。今日の新たな一歩をこれからも応援したいですね。
3.「注射は痛い」、「副作用が怖い」への対策はある?
今回、取材に当たり、仲間に声をかけたところ、「以前に献血後に体調が悪くなって・・・」、「貧血気味なので献血後、不安」、「注射が苦手」といった声がありました。安定的に輸血用血液を確保していくためには、少しでも多くの人の協力が必要です。そこで、献血ルームの職員さんに、行っている対策などを聞いてみました。
ー「注射が痛い」、「副作用が怖い」という方もいらっしゃいます。何か行っている対策はありますか?ー
「注射が痛い」という声への対応は承知していますが、残念ながらハードルが高いものがあります。注射針が細ければ痛さは軽減されるのですが、献血は検査時の採血と違い、多くの血液・成分をいただくのでどうしても一定の太さが必要になります。針を刺したときに痛くないよう、看護師さんも細心の注意を払ってくれています。痛みの感じ方には、どうしても個人差が出てきてしまいます。
事前検査の採血、献血時の採血と一日に2度、注射を打つことへの抵抗がある方もいらっしゃると思います。400mL献血では、事前検査の際に指先から採血する方法もありますので、多少は負担が少なくなるかもしれません。
献血時の副作用として多いのが、「気分が悪くなった」という声です。学校帰りの学生さんに多いのですが、お腹が空いた状態や寝不足のときに献血をすると、体調が悪くなる方が多いです。そのため、問診時には、最後に食事をした時間と睡眠時間を聞いています。副作用をなくすために、食事をしてから時間が空いている方には、お菓子を差し上げて献血前に食べていただくよう促しています。
ー職員の方も献血をされますか?ー
はい、行います。あおばの献血ルームでは、22人の職員がいます。血小板製剤は、採血日を含めて四日間しかもたないので、医療機関からの依頼に対して足りないときは、職員も献血を行い、確保に努めています。
ー献血ルームでどのように過ごせばいいでしょうか?ー
献血ルームは、献血バスと違って、待合ルームも広く、雑誌や漫画、自由に飲み物を飲むことができます。お越しいただいた方がリラックスできるように職員一同努めていますので、お気軽にお立ち寄りいただければと思います。
ー献血を行いたくても、ご自身の体調などで行うことができない人もいらっしゃると思います。そのような方には、どのような協力をしてもらいたいでしょうか?ー
献血を行うことができるのは条件付で69歳までで、元気なお方でも70歳になると献血することができなくなります。また、生まれつき血管が細い方、体調が優れない方など、献血ができない方もいらっしゃいます。そのような方には、献血ルームのPRやお友達へのお声がけなど、後方支援をしていただけると嬉しいです。「自分は献血できないから、仲間を連れてきたよ」という方もいらっしゃいます。また来てもらえるようなきっかけづくりに御協力いただけると嬉しいです。
あおばの献血ルームでは、平日は40人程、土日は80人程が献血に訪れるそうです。安定的に確保するためには、静岡県内で一日400人の方の協力が必要ということでした。平日の午後は、比較的予約が取りやすく、あまり待つことなく献血ができるそうです。献血ができない方は、自分のできる範囲で献血のPRに協力いただければと思います。
4.助け、助けられ。その行動でいのちをつなぐ
現在、静岡県の献血者は、一日400人程で、年齢構成では40代から50代の方が全体の5割強を占めます。50代の方の献血者数は、増加傾向にありますが、20代から30代の方は減少傾向です。献血できるのは16歳から69歳まで。この先、今、献血の主力となっている方々も献血できなくなる日がきます。医療の現場では、安定的に血液が求められています。県としての取り組みを県薬事課の杉本さんに聞いてみました。
ー若い世代の献血者確保のためにどんな対策を行っていますかー
若年層を対象として、広報啓発、高校生献血ボランティア「アボちゃんサポーター事業」、献血セミナー、学内献血未実施校への訪問、高校生及び10歳代への2回目以降の献血協力の推進、大学生等ボランティアの育成等を実施しています。
静岡県赤十字血液センターでは、献血の呼びかけにご協力いただけるボランティアを募集しており、 現在も多くのボランティアの方々によって支えられ、大きな力となっています。
活動場所は、主に献血バスが出張採血を行う市役所やショッピングセンター、県内3ヶ所の献血ルームで、学生の方や社会人の方、主婦の方などさまざまな方々にご協力いただいております。
また、職場に献血バスがきた際などに、職場内で積極的に広報いただくことでも助かります。
さて、最後に本日、一緒に献血しに行った先輩と後輩に聞いてみました。
ー献血をたくさんしていますが、何がきっかけでした?ー
(先輩)
民間企業時代に、外回りの途中で時間が空いて、役所にいた献血バスに行ってみたのがきっかけ。
献血をすると、なんかいいことしてる気がする、体調がよくなった(血圧が下がった?)、お菓子やジュースをもらえた、という特典があったので、続けるようになりました。血液検査の結果を閲覧できるので、定期的な健康チェックの側面もあります。余談ですが、県の採用試験の時に、社会貢献とかを自己PRで書かなきゃいけなくて、ちょうどいいなとおもって献血がんばってますって書いたら合格しました。
私にとって献血は、趣味というか、義務というか、逆にいかないと気持ち悪い、そんな感じです。
ー久しぶりに献血をしてみてどうだった?成分献血の感想は?ー
(後輩)
久しぶりで少し緊張しましたが、献血自体は殆ど痛みもなかったので受けている間はとても楽でした。普通の献血よりも長かったですが、気分も悪くならなかったので良かったです。
ー率直に、次回の献血はあり?なし? ー
(後輩)
機会があればやります!献血に行ったことのない人も、1回献血をすると、次も献血していいなと献血へのハードルが下がるので、軽い気持ちで一度行ってみてほしいです。
<取材を終えて>
献血に来ていた方のお話で、「顔は見えないけれど、自分自身の体が誰かの役に立っていること、必要としてくれる人がいることを思うと、献血せずにはいられないですね」という言葉が印象的でした。筆者自身、身内で輸血により命をつないでいただいた・助けていただいた経験があり、それからは機を見て献血ルームに足を運んでいます。献血可能な方は献血で、そうでない方も別の形で、誰かのためにできること、誰かのためを思って動くこと、きっとあると思います。その一歩を踏み出してみませんか。
県民だより12月号の紙面の内容も併せてご覧ください。
県民だより令和5年12月号(12月1日公開予定)
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県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032