フカボリ

着用率0.3%だったのが70%に!自転車通学時のヘルメット着用義務化への思い

2024年2月28日

日中の日差しが暖かく、屋外に出るだけで心躍る季節になりましたね。狩野川の堤防を散歩していると、さっそうと自転車が通り過ぎていきました。自転車を持っていない著者ですが、このときばかりは、サイクリングは気持ちがいいだろうなぁ・・・と思います。
そんな自転車ライフ。昨年4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されました。本県の自転車事故は、ここ数年間は減少していましたが、令和5年は増加に転じました。中でも高校生や年配の方の事故が多い傾向にあります。

自転車事故に遭ってしまっても、命を守るためにはヘルメット着用が大事。乗車用ヘルメット着用率の向上が課題の本県において、他の高校に先駆け、自転車通学時のヘルメット着用の義務化を進めた県立沼津工業高等学校の取り組みをフカボリました。

目次

  1. 「大変なことはありませんでした」ヘルメット着用のルール化
  2. 生徒さんに聞きました。ヘルメット着用、どう思う?
  3. メリットしかない!ヘルメット着用に踏み切った意義

1 「大変なことはありませんでした」ヘルメット着用のルール化

香貫山の麓にある県立沼津工業高等学校は、生徒の約9割が自転車通学をしています。自宅から、あるいは最寄り駅から高校まで、平坦な道もあれば、交通量が多い坂道もあります。
通学手段として大事な自転車。生徒の身を守るために、乗車時のヘルメット着用は必須としたい。その一方で必須とすると、反発もありそうな気もします。どうして自転車通学時のヘルメット着用義務化に踏み切れたのか、古瀨裕也教頭先生と、生徒指導部交通担当の鈴木遼先生に伺いました。

古瀨教頭先生
「昨年4月から新1年生の自転車通学の条件として、ヘルメットの着用を義務化しました。本校の生徒の約9割は自転車通学をしていて、スポーツタイプの自転車(前傾姿勢となる自転車)に乗っている生徒が多く見られます。県内の高校の中でも、自転車安全指導カード(自転車の運転で交通違反があったときに、警察官などから交付される違反の注意を促すカード)をもらう生徒の割合が高く、数年前から、『何かの拍子で転んだときに危ないので、生徒にヘルメットを被らせたい』と教職員間で話題に上がっていました。そんな中、昨年4月の国による努力義務化の流れを受け、本校では義務化することにしました。」

ー「ヘルメットを被ると髪型が崩れる」、「自主性に任せるべき」というような声がありそうですが、反対の声はなかったのですか?ー

古瀨教頭先生
「反対の声はありませんでした。保護者からも、『学校で義務化してくれた方が子どもにヘルメットを着用するよう言いやすいので、義務化して欲しい』、という声が多かったです。生徒の中には、『ヘルメット着用が義務化となるならば自転車通学しない』、という子もいましたが、少数です。着用義務化は、新一年生のみを対象としたので移行はスムーズでした。」

鈴木先生
「今年初めて校内の交通担当になりました。ヘルメットの着用義務化の運用を開始した年に、交通担当自体も初めてだったので、当初は少々トラブルもあるかもしれないと思っていました。でも、予想に反してトラブルや苦労はありませんでした。」

ーヘルメット着用の義務化に当たって、学校として何か整備したことはあるのでしょうか?ー

古瀨教頭先生
「施設面での整備は特に行っていません。生徒は、ヘルメットを自転車にかけておくか、教室のロッカーに入れています。今年度から新校舎の供用が始まり、生徒のロッカーが広くなったことも幸いです。」

ーヘルメットの着用を通学許可条件としたことでどのような変化がありましたか?ー

古瀨教頭先生
「今年度から交通事故件数を軽微なものも含めるようにしたので、事故件数での比較はできないのですが、生徒自身が自分で自分の身を守る、という点では大きく意義がありました。現在、1年生のヘルメット着用率は7~8割です。夏場は蒸れや暑さもあり、着用率は下がりましたが、冬場は着用への抵抗感はないように見受けられます。現在の2年生には、ヘルメット着用を義務としていませんが、来年度からは義務化の対象を全校生徒に拡充します。2年生も着用が義務となるわけです。2年生にとって、着用義務化まで2カ月を切った今、1年生のヘルメット着用を見ていた生徒たちが今から自発的に着用し始めるなど、目に見える形で波及してきたのはうれしいです。義務化の前はヘルメットを着用していた生徒は全校生徒の中で1~2人でしたので、大きな進歩です。」

ー義務化したことで、先生方の指導や負担はいかがですか?ー

鈴木先生
負担が増えたということはないです。

古瀨教頭先生
「ヘルメットを着用していなかったからといって、罰則的なことを科すというようなことはしていません。生徒も教職員も苦しくなりますので。ヘルメットは、自分の命を守るためのもの。ヘルメットを被らないで損をするのは本人ですので、自発的な着用を促しています。」

2 生徒さんに聞きました。ヘルメット着用、どう思う?

1年生の自転車置場を見ると、さまざまなヘルメットが見られました。生徒さんにお話を、と思っていましたが、皆さん授業中でしたので、事前に鈴木先生から生徒さんのこえを聞いていただきました。

ーヘルメット着用への抵抗感はありましたか?ー

「入学時からヘルメット着用としているので、抵抗感はありません。中学校の時も被っていましたし。被っていた方が安心できます。」

ー沼津市内には高校が複数あります。ヘルメットを被っていない他校の生徒さんを見て、どのように感じますか?ー

「ヘルメットを被らないなんて、危ないな。」

「被ればいいのに。」

ー学校が休みの時とか、通学時以外の場面でもヘルメットを被ります?ー

「被っています。」

「被ったり、被らなかったり、半々です。」

古瀨教頭先生
「本校の生徒の中には、通学時に他校の生徒と一緒に来ることもあるそうです。本校生はヘルメットを着用し、他校生は未着用。そんな様子を見た地域の方から『沼工生は、しっかりヘルメットを被っていて偉いね』と言われました。地域の方に関心を持っていただいていることは嬉しい半面、被らないことが普通ではなく、被ることが当たり前の社会にしたいですね。」

3 メリットしかない!ヘルメット着用に踏み切った意義

最後に、ヘルメット着用に踏み切ったことへの思いを伺いました。

古瀨教頭先生
「今回、着用義務化に取り組んだことで、ヘルメットを着用していたから大けがにならなかった、というケースが多々あります。着用に取り組んだ意義は大きかったです。小中学校ではヘルメット着用が当たり前です。高校入学のタイミングでヘルメットを購入していれば、普段から着用が当たり前になると思います。高校生になると、これまでよりも通学路が長くなり、慣れない道に不安や焦りを感じる人もいると思います。交通事故のリスクが高くなるので、保護者の方も不安だと思います。だからこそ、高校入学のタイミングでヘルメットを持っておくこと、着用することが大事と考えます。ヘルメット着用で心のゆとりと安心感が生まれますので。」

ー県内で他校に先駆けヘルメット着用の義務化に取り組まれました。問い合わせはありますか?ー

古瀨教頭先生
「『ヘルメット義務化に取り組むことは大変だったのでは?』とよく聞かれるのですが、大変だったことはありません。ヘルメット着用の義務化後に、取り締まることや指導することを考えるから二の足を踏んでしまうと思います。難しく考えず、生徒の命を守るために学校として何ができるか、まずはできることをやってみることが大事です。

生徒さんの交通安全への意識にも変化が生まれてきているそうです。月1回の沼津市内の高校が合同で行う街頭での呼び掛け活動に加えて、今年はクラス単位で無事故無違反に挑戦する取り組みも。三学期には、生徒発案により、自転車巻き込み事故についての動画を視聴の上、クイズに挑戦するなど、交通安全意識のさらなる向上を目指しています。

▲新校舎での無事故無違反表彰式
(2学期は半数のクラスが達成!)
▲ クイズを通して交通安全意識の向上へ

古瀨教頭先生
「本校生の自転車運転マナーはまだまだ改善途上です。命あってこそ輝ける未来。引き続き、交通安全意識の向上に向けて取り組んでいきたいです。」

取材を終えて
高校生になって初めて自転車通学をしたとき、新しい生活のウキウキ感とこの道で合っているかなという不安感を持ちながら乗っていたことを思い出しました。朝の通勤時間と重なるので、ヒヤッとしたことも多々ありました(きっとドライバーの方もですが・・・)。幸いにも事故には遭いませんでしたが、ヘルメットの色や形が豊富になった今、自分の身を守るためにヘルメットを持ちたい、と思いました。おっとその前に、まずは自転車を買わねば!
春の自転車ライフ、ヘルメットと共に楽しんでくださいね。

県民だより3月号と合わせてご覧ください。

https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1052649/1060555/1060560.html

――↓問い合わせ―――――――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032

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