フカボリ

動物にとっての幸せって?ーみんなの力で命を未来へ。愛護拠点を目指してー

2024年5月28日

ホームセンターで買い物をしていると、可愛らしい犬、猫が目に留まりました。以前に保護猫の取材をした筆者ですが、やはり愛くるしさに「我が家でも」と心が揺れ動きます。しかしながら、迎え入れた後を想像すると、我が家ではハードルが高く、「素敵な飼い主さんに巡り会えるように」、と思って通り過ぎました。
動物を家族として迎え入れる方がいる一方で、飼い主不明で保護されたり、飼育放棄などにより引き取られたりする動物もいます。県内ではボランティア団体の方々による引取り・譲渡の取り組みなどにより、殺処分頭数は減少傾向にありますが、まだ無くすことはできていません。
動物の命を未来につなぐために、県は現在、新たな動物愛護の拠点整備を進めています。多くの方が訪れ、愛される施設を目指す取り組みをフカボリました。県民だより6月号(6月1日発行)と併せてご覧ください。

目次

  1. 野良猫・野良犬は減ってきている?
  2. 新たな動物愛護の拠点施設が必要になったワケ
  3. 富士山麓の広大な自然の中でー新施設の目指す姿ー

1.野良猫・野良犬は減ってきている?

今回、お話を伺ったのは、県衛生課の鈴木さん。筆者が子どもの頃は野良犬や野良猫が多く、小学校の帰り道に怖い思いをした記憶がありますが、最近ではあまり見なくなったような気がします。まずは、保護される動物の近年の状況を伺いました。

衛生課 鈴木さん
「近年、全国的に放浪し保護される犬は減少しています。それはつまり、飼い主のいない犬が減り、飼い犬をしっかりと飼育している飼い主の方が増えている証です。また、猫は室内飼いが増えていますし、飼い主のいない猫は繁殖しない処置をされている場合もあります。県は保護された犬・引き取られた猫を譲渡する取組をしていますが、ボランティアの方々も保護・譲渡に熱心に取り組んでくださっています。譲渡数は増減なく横ばいです。」

ー殺処分の状況はどうなのでしょうか?ー

衛生課 鈴木さん
「令和4年度の本県における保護・引取りされた動物の殺処分頭数は約100件でした。この数には、病死も含まれています。殺処分ゼロに向け善処していますが、保護された時に既に病気を患っていたり、ケガをしていたりすると、助けようとしても亡くなってしまう命があります。
一方で、解決が難しい問題として、飼い主のマナーがあります。『夜間の犬の鳴き声がうるさい』、『動物の臭いが気になる』といった苦情・相談の件数はまだまだ多い状況にあります。」

▲殺処分頭数は減少傾向
▲苦情・相談件数はまだまだ多い

2.新たな動物愛護の拠点施設が必要になったワケ

現在、県は、富士市で新たな動物愛護施策の推進拠点の整備を進めています。どうして必要になったのか、その背景を伺いました。

衛生課 鈴木さん
「本県には、浜松市中央区に県営の動物管理指導センターがあります。このセンターは、築約50年が経過し、老朽化が著しくなってきました。また、施設の機能も、現在のニーズに応えきれなくなってきました。センター建設当時は、『狂犬病まん延防止のための殺処分を行う抑留施設』というのがこのセンターの位置づけでした。当時の殺処分頭数は、多い時は年間2万頭にも上りましたが、現在は、動物の保護や譲渡がメインとなっています。譲渡されない動物は、長期に渡って保護する必要がありますが、そのような場所・設備がありません。また、今は犬の保護は少なく子猫が多い状況です。屋外にいる猫は、不妊去勢手術をしなければ増え続けてしまうのですが、元々が犬の収容を想定した施設なので、その処置を行う環境がありません。
現在、日常生活を動物と一緒に過ごすことが自然なものとなっています。人と動物が共生する社会の実現には、飼い主の意識向上(普及啓発)が重要となってきます。 このため、譲渡、愛護普及啓発など、動物愛護の象徴となる新たな拠点整備をすることとなりました。」

ーどうして富士市に設置することになったのでしょうか?ー

衛生課 鈴木さん
「設置する場所の選定に当たっては、令和2年度から有識者の方の参画による検討会で意見を伺ってきました。県内行政機関における動物の保護施設には、県動物管理指導センター(浜松市中央区)の他、政令市の静岡市、浜松市の両市にも1施設ずつあります。政令市を除くと、動物の飼育頭数及び愛護ボランティア数は、県東部地域が多いです。このため、地域バランスを踏まえ、東部地域に設置することになりました。設置場所は、再利用可能な施設の有無、周辺環境などを踏まえて、県立富士見学園跡地を選定しました。富士見学園跡地を改修して、新たな拠点を作ります。グラウンドはドッグランに、入居者の居住スペースは動物保護スペースに、それぞれ改修予定です。 県動物管理指導センターは閉鎖となり、富士市に設置するこの施設が新たな拠点となります。来年度の開所に向け、整備を進めていきます。」

▲富士山の麓でのドッグラン
▲猫の譲渡の推進エリアも予定

ークラウドファンディングを採用した理由はあるのでしょうか?ー

衛生課 鈴木さん
「新しい施設は、動物愛護の象徴として、多くの方に利用される施設を目指しています。施設整備にはさまざまな方法がありますが、より長く愛される施設にしていくには、多くの方のご支援をいただきながら、『みんなで作った施設』、と誇れるものとする必要があると考えました。チャレンジングではありますが、クラウドファンディングにより、多くの皆さまの賛同を力に代えて整備を進めていきたいと思っています。」

3.富士山麓の広大な自然の中でー新施設の目指す姿ー

旧富士見学園跡地が、動物愛護の象徴の施設として生まれ変わる・・・。迫力ある富士山を目の前に、自然豊かな環境下に設置される新たな施設は、保護される動物にとっても、訪れる人々にとっても、伸び伸びと愛情を育むことができそうな気がします。どんなことができるようになるのか伺いました。

衛生課 鈴木さん
「現在の施設よりも、長く、多くの動物の飼育が可能になるので、新たな飼い主を見つける猶予が生まれます。また、研修ルームも設置します。動物愛護の気持ちを育むには、子どもの頃からの教育が大切です。これまでは一度に多くの人が集える場所がありませんでしたが、今後は小学校のクラス単位での研修受け入れもできます。
 さらに、不妊去勢を行う手術部屋を整備します。現在、猫の殺処分が多い状況にあり(病弱死を含む)、その大半が生まれたばかりの猫です。猫は、毎年、多くの命を産むことができてしまいます。猫が不妊去勢手術されていなければ、さらなる猫が産まれてしまいます。センターで不妊去勢手術を行うことで、飼い主のいない不幸な命を減らしたいと思います。」

ー新たなセンターで特にやっていきたい活動はありますか?―

衛生課 鈴木さん
「県動物管理指導センターは、元々の設置目的から殺処分を多くやっていた歴史があります。新たな施設では、命をつなぐことをテーマに、譲渡の推進と動物への思いやりを育む研修プログラムを作って行けたらと思っています。
また、近年、非常時の対応も求められています。災害が起こったときに、『どうやってペットと避難するか』、『はぐれてしまった場合、どうやってペットと再会するか』、『避難所でどう過ごすか』・・・といった課題があります。ペットを守る責任は飼い主にあります。日頃から防災意識を持ち、災害時に備えたしつけや健康管理など、飼い主への普及啓発も実施していきたいです。」

ー将来、どのような施設としていきたいですか?ー

衛生課 鈴木さん
「新たな施設を通して、人と動物の共生する社会の実現を目指しています。『保護した動物の命をつなぐ』、『子どもたちへの動物を愛する気持ちを育む教育』、『飼い主への普及啓発』、『ボランティアの育成』など、多くの方に利用され、多くの方と協力しながら動物愛護の象徴としての役割を果たして行ければと思っています。」

取材を終えて

最近、野良犬・野良猫が少なくなったのは、飼い主さんの意識の向上とともに、保護をしている方々の努力があってこそ。恥ずかしながら、殺処分頭数の中に病弱死も含まれていることを今回の取材で初めて知りました。動物を家族として迎え入れる際には、生育環境だけではなく飼い主としての心構え・教育も必要。また、長く一緒にいるためには、非常時にどうするのかといった備えもまた重要。みんなの力でつくる動物愛護の象徴となる施設、来年の完成が今から楽しみです。

新たな施設の構想など、詳細はこちら
(仮称)静岡県動物愛護センター

県民だより6月号

―――↓問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032

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