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県内初!多文化共生わかものフォーラムの参加レポート

2024年7月25日

みなさんこんにちは!メディチャン学生特派員の藤井です。令和6年7月7日、グランシップ(静岡市駿河区)にて行われた静岡県初のイベント、「多文化共生わかものフォーラム」。
私がこのイベントを取材してみようと思った理由は、『多文化』、『わかもの』という言葉に引かれたから。海外から来た方とのコミュニケーションのヒントが得られるかも!という思いから、取材を申し込んでみました。
どのような人が集まり、どのようなフォーラムなのか…?早速、実際に参加してきた様子を皆さんにお伝えしていきます!

目次

  1. 多文化共生わかものフォーラムinしずおか ~「やさしい日本語」ができること~ってどんなイベント?
  2. (第1部)静岡県の取組・事例発表
  3. パネルトーク
  4. (第2部)「やさしい日本語」参加型セッション
  5. フォーラム参加者の声
  6. 県多文化共生課の萩原さんに聞いてみました

1.多文化共生わかものフォーラムinしずおか ~「やさしい日本語」ができること~ってどんなイベント?

JR東静岡駅で降り、会場であるグランシップに到着しました。
受付を済ませた後、各班6人ずつ、10グループに分かれて着席しました。

▲フォーラム開始前の会場の様子

参加者は、
学生(高校生、大学生):56人
学生以外の参加者(行政職員、大学関係者、会社員、ボランティア 等 ):29人
計85人だそうです。
今日のプログラムは、こちら。事例発表やパネルトークなど、盛りだくさん。どんな話が聞けるのか、期待が高まります。

▲当日のプログラム

開会してすぐ登壇したのは、鈴木静岡県知事。鈴木知事から、「静岡県に住む外国の方等との関わりの手段としての「やさしい日本語」を広めるこのフォーラムに非常に期待している」との話がありました。

2.(第1部)静岡県の取組・事例発表

まずは、県多文化共生課から、県が行っている取り組みと課題の紹介がありました。
災害時、分かりやすく情報伝達するための手段として、「やさしい日本語」が考えられました。現在、静岡県には、ブラジル、フィリピン、ベトナム、中国から来た方が多く暮らしていて、約11万人の外国人の多くが英語を母語としない国の出身です。加えて、老若男女問わず多様な人々にとって「やさしい日本語」があれば情報が伝わりやすくなることから、普及活動が進められています。
現在、県は職員向けの講座、福祉や富士登山関係者向けの講座、広告やeラーニングなどに取り組んでいます。やさしい日本語に変換する方法として、「はさみの法則」を提唱しており、できるだけ多くの人に使えるようになってもらいたいそうです。そのため、今回、若者の力を借りて、やさしい日本語を「言葉のユニバーサルデザイン」として広めていくべく、県内で初めてこのフォーラムを開催することに。

はさみの法則(e-ラーニング動画より)https://youtu.be/Lj9JD24184Q?si=X_hD9sZCsO7-oLcO&t=163

静岡県やさしい日本語eラーニング動画一覧
https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/1049844/1002474/1060662.html
静岡県知事直轄組織地域外交局多文化共生課の取り組みはこちら
https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/1049844/1002474/1060656/index.html

続いて、やさしい日本語の取り組みを広めようと活動している方々の事例紹介がありました。


【明治大学山脇ゼミ】
小学生、教員、行政職員、企業などを対象にワークショップを行い、「やさしい日本語」の周知活動と多方面への活用を行っている。

やさしい日本語で作成した雑誌MOREの記事
https://more.hpplus.jp/morejapan/series/nihongo/106192/1/
山脇ゼミが協力して作成したMV「やさしい せかい」
https://youtu.be/2fYxhoUwqAg?si=BBrM9XOCUWsk5Dwy

【順天堂大学保健看護学部「やさしい日本語部」】
「学ぶ」、「活用する」、「普及する」の3軸を掲げて県内で活動。

部の代表牧さんは、
「将来、医療職者になる本学(順天堂大学保健看護学科)の学生が、やさしい日本語について学ぶことで、より良い医療やケアにつながるのではないか、という思いから活動が始まりました」、と教えてくれました。
三島市国際交流協会MIRAの活動に参加したり、やさしい日本語について学内及び地域での周知活動を行ったりしているそうです。また、やさしい日本語の普及のために、部でミニゲームを考案。日本語のカードに対応するやさしい日本語を考え、記入するという形で遊びを通して、やさしい日本語への理解を深める活動を行っています。

【日本語サロンいろり】
2020年、オンラインで教える掛川市の日本語教室を中心に、いろりの前身活動が始まった。外国の方と日本人の出会う場所として活動を広げ、2022年からは、いろりの畑として、対面プロジェクトを活発に行っている。

代表の幸田さんは、
「いろりに参加すると、身近にいる外国の方への意識が変わる。海外へ行かなくても、日本で国際交流体験ができる。いろりのような活動がいろいろな所で生まれてほしい。興味がある方はぜひ、仲間になってほしい」と交流への思いを教えてくれました。

3.パネルトーク

パネルトークでは、「やさしい日本語」が創る多文化共生社会をテーマにした対談が行われました。対談の様子の一部をご紹介します。

▲パネルトークの様子

パネリスト:明治大学国際日本学部 山脇氏
一般社団法人やさしい日本語普及連絡会 吉開氏
ファシリテーター:静岡県多文化共生課

ファ)インターカルチュラルという観点からみて、やさしい日本語を若者が発信していくことで地域の活力にどのようにつながっていくのでしょうか?

※インターカルチュラル:異なる文化間の交流や相互理解を促進すること。特に、移住者や少数者がもたらす文化的多様性を脅威ではなく、都市の活力や成長の源泉と捉える新しい都市政策の一環として使われている。

山脇)もちろん外国人支援は必要ですが、お互いに関わっていこうという姿勢が大切。特に、マジョリティー(大多数の地域の人)に知ってもらいたいです。

吉開)耳が聞こえない人にとって、最初に習得する言語は手話であるため、日本語は第2言語として学習しています。そういう人にとってもやさしい日本語は必要。

山脇)多様性を生かして、地域を活発にできると思います。

ファ)最後に、 わかものの方々へメッセージをお願いします。

吉開)やさしい日本語は、特別な人のものではなく、日本人全員が使い、常識にしていきたいです。

山脇)ワークショップを開催し、いろいろな人にやさしい日本語を知ってもらいたいです。

4.(第2部)「やさしい日本語」参加型セッション

第2部は、みんなで考えよう!「わたしたちができること」をテーマにグループに分かれて、「やさしい日本語が活用できる場面」、「明日からできること」、「やさしい日本語を広めることでどんな社会を目指したいか」の三つのテーマを参加者同士で意見交換しました。 
私が参加したグループは、6人で話し合いました。「敬語は日本語を勉強する人にとって難しい」、「地域によって異なるルール」、「どこからがやさしい日本語でどこからがそうでないのか」といった意見が出されました。
最終的に、「バイト先や地域などで人と関わる時に、ゆっくり、やさしい日本語で話すことや、イラスト、ジェスチャーを利用する」ということでまとまりました。
意見交換の後、自分たちのグループで話し合われたことを発表し合いました。

▲グループで出た意見を全体で発表

他のグループでは、
①自分たちの生活の中、社会の中で「やさしい日本語」が活用できそうな場面は?
コンビニや駅、ゴミや温泉のルールなどでやさしい日本語があったら良い。これは、国籍、年齢関係なく誰でも活用できる。
②①のために明日から私たちができることは?
身近な小学生へ、やさしい日本語で話してみる。若者だけでなく、 親世代の理解も得ていく必要がある。
③やさしい日本語を広めることで目指したいのはどんな社会?
だれもが言葉の壁による不利益なしで、平等な社会。外国の方同士が、やさしい日本語でつながることのできる社会。

という意見が出ていました。明治大学の山脇ゼミの学生さんがファシリテーターとなり、どのグループも意見交換がとても盛り上がっていました。

5.フォーラム参加者の声

参加の動機、感想を聞いてみました。

  • 日本語サロンいろりの知り合いに誘われて参加した。もし誘われていなかったら来ていなかった。(ミャンマー出身31歳)
  • 高校の部活でやさしい日本語について調べている。やさしい日本語についての理解を深めたい。(高校3年生)
  • バイトで外国の方と関わっており、このフォーラムを紹介された。このフォーラムの経験を、将来に生かしたい。(大学4年生)

フォーラム終了後は、セッションの時間ではまだまだ話し足りないという声が聞こえてきました。
長時間の聴講で疲れも見えていましたが、充実した表情の参加者が多かったと思います。

6.県多文化共生課の萩原さんに聞いてみました

フォーラム後、多文化共生課の萩原さんにお話を伺いました。

ーこのイベントを開いたことによる県民からの反響はどのようなものでしたか?また、どのような反響があることを期待していますか?ー

県多文化共生課 萩原さん
「やさしい日本語」をテーマに若い世代の方を対象にしたフォーラムの開催は今回が初めてでした。
事例発表をいただいた団体の学生さんからは、
「活動を知ってもらう機会となり、「やさしい日本語」に興味をもっている他の学生と知り合い、意見交換ができた。」
「グループセッションの中で、「やさしい日本語」について考えたことで、さらに身近に感じることができた。」
という声をいただきました。また、参加した学生さんの中には、終了直後に、「他のグループの資料も早く見たい」といった熱い要望を寄せてくださった方もいらっしゃいました。
本フォーラムが、すでに「やさしい日本語」について活動しているみなさんにとっては活動のさらなる後押しや活力となり、今回はじめて「やさしい日本語」について知った方や、これから何か活動したいと考えているみなさんにとっては、今後の活動の後押しとなることを期待しています。また、フォーラムのことや「やさしい日本語」について話していただくことで、参加したみなさまから「やさしい日本語」が広がっていくとうれしいです。

ー今後もこのような一般向けのイベントは企画する予定はありますか?ー

県多文化共生課 萩原さん
詳細については未定ですが、一般の方向けの「やさしい日本語」研修を開催したいと考えております。

取材を終えて

取材前は、やさしい日本語は外国の方向けのものだと思っていましたが、このフォーラムを通して、やさしい日本語は日本人同士でも使うことが出来てとても便利だということに気づきました(よくよく考えたらあたりまえですが)。
英語話者を目指している筆者ですが、県内でこんなにやさしい日本語や、海外から来た方とのコミュニケーションに興味を持っている若者がいるということを知り、驚きました。海外から日本へ来る方は年々増加傾向にあると聞きます。海外から来た方に対して、日本人はどのように関わっていけばよいのか?やさしい日本語を使うことで、静岡という地域の未来をより良くできることが実感できた瞬間でした。次回開催のフォーラム、待っています!

―――↓問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032

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