フカボリ
0歳から大人まで楽しめる!「グランシップ世界のこども音楽劇場2024」~自分のつくった動物が動く!?音楽と映像のコンサート「音と光の動物園」~
2024年10月3日
こんにちは。メディチャン学生特派員の大石です。
みなさんは、グランシップ(静岡市駿河区)を利用したことはありますか?私は、小中学生の頃にグランシップを利用していました。特に、小学五年生の時に初めて訪れたグランシップでの音楽鑑賞会が今でも忘れられません。生演奏を聴く機会がなかったのでとても新鮮でした。臨場感溢れる演奏、指揮者とのシンクロには驚かされるばかりでした。その影響で、クラシック音楽がとても大好きになったことを今でも覚えています。
大学生となった今現在も演奏会などでグランシップに訪れる中で、文化振興の面から、季節の催しや活用方法、施設の在り方について興味を持ちました。
この夏、私にとって思い出深い施設であるグランシップで、「こどもたちを魅了するプログラムが開催される!」と聞き、早速、取材をしてきました。
目次
- こどもたちを魅了する!世界のこども音楽劇場
- 音楽と映像のコンサート「音と光の動物園」(東京藝術大学 共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点)
- 「音と光の動物園」レポート
- 「はじめての劇場」を提供したい…グランシップのこれから
1.こどもたちを魅了する!世界のこども音楽劇場
今回、お話を伺ったのは、グランシップの文化事業課の渡邊麻恵さん。
ー「この夏、こどもたちを魅了するプログラムが開催される!」、と聞いたのですが、どんなプログラムですか?
未来を生きるこどもたちに、上質でグローバルなパフォーマンスをお届けする「グランシップ世界のこども劇場」のことですね。今年は「グランシップ世界のこども“音楽”劇場」として、さまざまな音にまつわるプログラムを用意しました。世界中のこどもたちを魅了するアーティストたちの、言葉を超えた作品を静岡で楽しめます!
―いつから開催しているのですか?
「世界こども劇場」が始まったのは、2010年のことです。当時、静岡では海外のように、こどもも大人も楽しめる上質な作品を観ることができる機会がほとんどありませんでした。
沖縄には毎夏、こどもたちに向けて演劇作品やパフォーマンスが上演される「りっかりっか*フェスタ(正式名称:国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ)」というものがありました。
静岡のこどもたちにも届けたい――0歳児の乳幼児も含めたこどもたちに質の高い文化や芸術を提供し、「知らなかった世界に触れてほしい」「心豊かな人間になっていってほしい」という願いを込めて、企画されました。
こどもだけでなく、保護者の方も一緒に楽しめるプログラムとなっています。
ー観た人にどんな思いを抱いてほしいですか。
大人の考えにとらわれることなく、決めつけられることなく、こどもたちが「感じたままに見たことのないものに触れてほしいな」と考えています。そして、こんな世界もあるんだよということを知ってほしいです。
2.音楽と映像のコンサート「音と光の動物園」(東京藝術大学 共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点)
今年は3日間にわたり3つのプログラムが開催されました。その中でも、私が気になったのは、「音と光の動物園」。ペーパークラフトづくりや音楽と映像のコンサートの体験ができる、ということに興味を惹かれました。
ー「音と光の動物園」、というプログラムがあります。このプログラムの役割を教えてください。
「音と光の動物園」は東京藝術大学が企画しているプログラムの一つです。東京藝術大学の異なる分野の専門家たちが一緒になってつくりあげているものです。その東京藝術大学さんのつくったプログラムを「世界のこども音楽劇場」に組み込みました。
ーどうして組み込むことにしたのでしょうか。何かきっかけがあったのでしょうか。
元々、東京藝術大学で発達障害のあるこどもと保護者を支援することを目的につくられたプログラムなのですが、さまざまな壁を越えて五感で楽しむことができ、こどもたちの豊かな感性を育むという点が「世界のこども劇場」のコンセプトと通じるものがあり、声を掛けました。こどもたちにとって、とてもワクワクする体験になるのではないかと思います。
大石さんも、ご覧になってみてください。
3.「音と光の動物園」レポート
早速、私も「音と光の動物園」を聴講見学してみました。参加前後のこどもたちの様子や、どのような変化が見られたか、私の目で確かめてみました。当日は、幼稚園・保育園~小学校低学年くらいのこどもとそのご家族30組ほどが参加していました。
まずは、前半はペーパークラフトづくりから始まりました。はじめに、水彩絵の具のような色合いのペンを使って、ライオンやペンギン、白鳥、ニワトリ、カメ、化石が描かれた紙に色を塗っていきます。
次にタブレット端末で色を塗った紙を撮影します。その後、色を塗った紙をはさみで切り、ピンでつなげて完成です。後半のコンサートまで、しばし休憩。
この日、中ホールの1階では、「バブルス」と題したデジタルアートの作品がありました。
スクリーンにシャボン玉が映し出されていて、自分の影を使ってシャボン玉を触ると効果音が鳴る、という作品です。
ジャンプする子、興味津々な子、シャボン玉をタッチしようとする子、みんな楽しそうに作品の世界に入り込んでいました。
2階には「まねっこねずみ」、アプリをダウンロードして体験する「この音なあに」、「巨大映像プロジェクション」がありました。
「まねっこねずみ」は自分のとっているポーズを真似してくれます。「この音なあに」は動物の鳴き声がかかれたカードにiPadをかざすと、動物が現れます。オノマトペを楽しく学ぶことのできるコンテンツです。巨大映像プロジェクションでは、壁いっぱいに迫力のあるアニメーションが投影され、手影を使って遊んでいるこどもたちもいました。
15時30分、後半の「音と光の動物園」のコンサートがスタートしました。はじめに楽器の紹介です。ファーストヴァイオリン、セカンドヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ピアノ、シロフォン(木琴)、グロッケン(鉄琴)の各パートが、みんなの知っている童謡を奏でます。
次に、クイズが始まりました。楽器を使って、私たちの身近にある音当てクイズをします。救急車のサイレンの音、踏切の音、カエルや象、牛の鳴き声、コンビニの音、お風呂が沸いた音……。こどもたちは楽しそうにクイズに参加していて、大いに盛り上がっていました。
最後に登場したのは、なんと!前半のペーパークラフトづくりでこどもたちが作った動物たち。こどもたちの作ったペーパークラフトを使って、サン=サーンス作曲の「動物の謝肉祭」の演奏が始まりました。「あ、自分のだ!」と指を差し照らし合わせているこどもの姿がありました。こどもたちの作った動物たちが、のびのびと、楽しく動いていました!
4.「はじめての劇場体験」を提供したい…グランシップのこれから
聴講見学後、改めてグランシップの渡邊さんにグランシップの今後の取り組みについて伺いました。
ー季節によってどのような催しがあるのでしょうか。
季節に応じたこども向けのイベントを、ゴールデンウイーク、夏休みなどの長期休み、クリスマスシーズンなどに開催しています。ゴールデンウイークでは未就学児を対象としたアート系の催しを、夏休みには舞台芸術やビックバンドフェスティバルといった親子3世代でも楽しめるイベントを開催しています。
クリスマスにはミニコンサートや映画の上映会、ロビーコンサートなど、年間で音楽や芸能、展覧会といったさまざまなイベントを行っています。
ーまた、活用方法や県民・市民にとってどのような場所でありたいとお考えですか。
静岡県は横に長く、東端から西端にかけてもかなり距離があります。グランシップに来たくても、すぐに来れる人ばかりではありません。そのため、市や町、学校などで出前公演も行っています。
また、グランシップにはホールだけでなく、会議室や練習室もあり、利用することが可能です。県立施設ですので、ぜひみなさんに利用してほしいです。
ーこれからの目標・今後の展望について教えてください。
県民の皆さんに、社会的環境にとらわれず「はじめての劇場体験」を提供していきたいです。学校との取り組みでは、こどもたちが今まで見たことない音楽や伝統芸能にふれることができるように取り組んでいきたいと思っています。
グランシップは、各コンベンションや学術会議の世界大会なども行われています。国内・外の交流の場になっていってほしいです。そして、文化芸術分野の分野ではアーティストになるだけでなく、観ている方たち誰もが「創造」できる環境づくりを心がけていきたいです。
ー取材を終えてー
音と光の動物園を拝見させていただき、「自分で作ったもの動く」という普段、体験できないことが体験できるという部分がとても印象的でした。
プログラムの進行や時間を視覚的に分かりやすく情報を得られるようにされていたこと、また、コンサートでは、楽器の紹介や音真似クイズをすることで、こどもたちの関心が徐々に音に向かうように促されていたなど、たくさんの工夫がありました。
グランシップのイベント情報などはこちら https://www.granship.or.jp/
―――↓問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032