フカボリ
政治・選挙は難しい?若者選挙パートナーが伝える選挙
2024年12月26日
私たちの意見を政治に反映させる「選挙」、静岡県内では令和6年は県知事選挙や衆議院議員総選挙が行われ、令和7年も参議院議員通常選挙他、多くの市町で選挙が予定されています。令和6年5月に行われた静岡県知事選挙は全体の投票率が52.47%と前回(令和3年6月)の県知事選挙よりも低い結果となりました。特に10代や20代といった若い世代の投票率が低く、20代は30%を切る結果となり、これからの社会を担う若者の政治への関心の低下は大きな問題となっています。
そこで県選挙管理委員会が取り組んでいるのが、「若者選挙パートナー」です。今回はパートナーとして活躍している、学生の皆さんの活動を取材しました。
目次
1.若者選挙パートナーとは
2.出前授業①:どのような政党がある?
3.出前授業②:模擬投票
4.出前授業を通して
1.若者選挙パートナーとは
県選挙管理委員会では、将来を担う若者の政治・選挙への関心を高めるとともに、20歳前後の世代への効果的な選挙啓発を行うため、県内の若者を「若者選挙パートナー」として任命しています。選挙権年齢が満18歳以上へ引下げられた平成28年6月から開始しており、今年度で9年目となります。
今年度は、大学生6人、高校生9人の計15人が任命され、どうしたら若い方に政治・選挙に関心をもってもらえるのかなどをディスカッションしながら、選挙啓発の企画から実施まで行っています。
今回、静岡女子高等学校(静岡市駿河区)普通科キャリア形成コースの授業にて、出前授業を行うと聞き、実際にどのような授業を行っているのか、取材しました。
2 出前授業①どのような政党がある?
令和6年11月26日(火)、静岡女子高校での第1回目の出前授業が行われました。まずはパートナーから、選挙制度や、若者選挙パートナーの活動、明るい選挙のイメージキャラクター「選挙のめいすいくん」についてなど、クイズを交えながら講義がスタート。若者の投票率が低いという現状から、若者が投票することの意義や若者が選挙に行かない要因について解説。選挙に行かないことの大きな要因の一つとして、政党の政策や候補者の人物像がよく分からないという理由があげられることから、候補者について知る方法が紹介されました。具体的には特設サイトや選挙ポスター、街頭演説、選挙公報などがあること。中でも特に詳しく紹介されていたのが、「voteマッチ」でした。
「voteマッチ」は、候補者との考え方の一致度が数字で分かるインターネット・サービスで、いくつかの質問に答えることで自分の考えに合った政党や候補者を知ることができます。パートナーによる一通りの説明のあと、生徒たちは実際にパソコンを用いて自分の考えに近い政党や候補者は誰なのか試していました。
3 出前授業②模擬投票
第2回目の授業は令和6年12月10日(火)に実施。第1回目の授業で、Voteマッチで自身の考えに合う政党、政治家を見つける方法を学びましたが、その続きとして模擬投票が行われました。
今回は生徒の皆さんが身近に感じやすいよう、模擬投票は、「校長にするなら、『福沢諭吉or渋沢栄一?』」をテーマに設定。2人の偉人からどちらが静岡女子高校の校長になってほしいか投票を行いました。投票にあたり事前の情報収集手段として、選挙公報の配布と候補者演説が実施されました。パートナーたちが福沢、渋沢両陣営に分かれ、両者の公約を記した選挙公報を作成。また、福沢諭吉、渋沢栄一に扮したパートナーによる演説も行われ、生徒たちはそれぞれの主張からどちらに投票するか検討していました。
その後、実際に選挙で使われている投票箱を用いた模擬投票が行われ、学生たちは各々が校長に希望する方へ投票しました。投票用紙も実際の用紙が用いられ、生徒たちは初めて触る投票用紙に少々緊張した表情を見せながらも投票を行っていました。
投票終了後、開票作業まで選挙の一通りの流れを体験。最後は「若者が政治や選挙に興味を持つには」をテーマにグループワークを行い、静岡女子高校での出前授業は終了となりました。
4 出前授業を通して
今回の出前授業を受けてどのように感じたか、生徒の皆さんからは次のような意見が聞かれました。
ー政治・選挙にどのようなイメージを持っていますか?
・よくわからない
・難しい
・堅苦しい
ー若者が政治や選挙に興味を持つにはどうしたら良いでしょうか?
・選挙を身近に感じられるよう学校など普段の生活の中で政治に興味を持たせる
・学校の授業でいろんな政党、政治家について調べ学習する
・若者にメリットのある政策を決める
・投票所を華やかにして楽しい場所にする
・投票に行くと「めいすいくん」グッズやお菓子がもらえるようにする
2回の授業を受けて選挙・政治に対するイメージは変わったかという問いには、「変わらない」という意見があった一方で、選挙が思ったよりも簡単だと分かったという意見や、次回の選挙には行くと思うという意見も多く出ました。
授業後、今回、出前授業を依頼してくださった静岡女子高校の望月教諭に、お話しを伺いました。
ーどうして出前授業を受けてみたいと思われましたか?
もともと公共の授業を担当していて、授業で学んだことは実際はこうなっていますというような実体験をしてほしいという思いから依頼しました。
ー生徒たちの政治への関心はどうでしたか?
生徒たちには、政治や選挙は、自分から遠い世界の話だという感覚があると感じており、なるべく身近な話題にしていきたいという思いで授業をしていましたが、政治への関心は決してそこまで高くはありませんでした。
ー出前授業を受けてみてどうでしたか?
政治や選挙が身近なところにあるという風に、気持ちが変化したのかなという印象を持ちました。難しいという印象だった政治や選挙が、実際はそうでもないのかなと生徒たちにも分かったのかなと思います。
ー今回の出前授業を生徒たちにはどう生かしてほしいですか?
投票用紙一つとっても、授業で話だけを聞くのと実物を見るのとでは、違った感想があったと思います。選挙があれば投票に行くことを、当たり前の行動の一つとして考えていけるような、選挙があればその都度どうしようかなと自分だったらどうするのかなと自分事としてこの街のことを考えられるような人になってほしいという願いはあります。
また、出前授業に参加した若者選挙パートナーは、
ー出前授業を行ってみてどのように感じましたか?
政治に対して興味が無くはないけど、難しくて投票に行くのはどうしようかと感じている生徒が多いようだったので、そこに対するハードルを下げてあげられたらいいなと思いました。
(話してみると)私には関係ないというような生徒はいなくて、思っていたよりも政治に関心や意識が向いているのかなと感じました。
模擬投票や開票作業を体験することで、授業をする側の自分たちも勉強になりました。また、2回目の授業には高校生のパートナーも参加していましたが、同年代と対話する中ですごく熱心に聞いてもらえていて、同年代から伝えることの効果を実感しました。
選挙自体を難しいと思っている子が多かったのでもう少し簡単なものだと思ってもらえると良いなと感じました。また、家族が行くなら行くと話している子もいて、身近な人が声をかけてくれることがきっかけにもなるんだと感じました。自分たちのこの授業もそのきっかけの一つになればいいなと思っています。
取材を終えて
筆者も学生の頃は、選挙や政治というものはまさに縁遠いものという感覚でした。政党の違いや、政治家の違いなどまったく分からないことも…。近年はこれまでのテレビや新聞の他に政党のYoutubeチャンネルやSNSアカウントができたりとwebでも情報を得られるようになり、手軽にさまざまな候補者や政党について知ることができるようになっています。今回の若者選挙パートナーによる授業で、「投票で思っていたより簡単だと思った」という感想があったように、政治や選挙が難しい・堅苦しいというイメージを取り払うことが政治への関心を高める第一歩なのではと感じました。
政治や選挙を自分とは関係のないものとは思いこまず、一人でも多くの方が政治に関心を持ち、投票に足を運んでほしいと思います。
若者選挙パートナーとして活動してみたい!出前授業を受けてみたい!という方は静岡県選挙管理委員会までご連絡ください。
若者選挙パートナー
https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/senkyo/senkyokeihatsu/1003971/index.html
県民だより1月号
https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1061761/1067986/index.html
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