フカボリ

【世界お茶まつり2025】静岡茶を味わい尽くす!新茶バスツアーを先取り体験してきました!(後編)

2025年3月24日

 新茶バスツアー先取り体験の前編では、バスツアーの訪問先の一つである静岡茶市場さんを訪れました。

 前編はこちら https://fmc.pref.shizuoka.jp/article_post/7888/

 後編では、まるとう農園さんと玉露の里にお伺いし、体験内容の一部を一足先に体験させていただきました!

目次

1. 茶摘みのコツは? まるとう農園を見学
2. お土産も充実! お茶の詰め放題を体験
3. 風情ある空間でお点前を体験できる 玉露の里

1.茶摘みのコツは? まるとう農園を見学

 まずは島田市にある、まるとう農園さんを訪れました。まるとう農園さんは、静岡県有数の茶産地である牧之原台地に製茶工場を構え、深蒸し茶を生産・販売しています。小学校などの団体客を中心として茶畑の見学や工場見学なども受け付けています。バスツアーでは、茶摘み体験、工場見学、茶葉の天ぷらの試食、お茶の試飲、お茶詰め放題を予定しています。

 さっそく、工場周辺の茶畑に案内していただきました。一面の茶畑と富士山という最高の眺め!バスツアーの際はこちらで茶摘み体験をすることができます。

遠くに富士山が見えます!

まるとう農園の代表取締役の法月さんに、茶摘みのコツを伺いました。

まるとう農園代表取締役・法月さん

 “茶摘みのコツは「一芯二葉」です。芯という新芽の頂点にあるとがった部分と、2~3枚の葉が付いている状態の新芽を摘みます。茎や葉が柔らかいものを選ぶと良いです。”

 摘んだ茶葉は天ぷらとして試食でき、残りはお土産としてお持ち帰りすることができます。柔らかい新芽はおひたしやしゃぶしゃぶとして食べるのがおすすめだそうです。

 続いて、製茶工場を見学させていただきました。

見学の様子

お茶の製造工程は大まかに①蒸し、②揉み、③乾燥の3つに分類されます。

 まずは蒸す工程です。摘んだ葉はそのままにしておくと発酵してしまうため、蒸機で加熱して発酵を止めます。蒸し時間を調節することで、風味を変化させることができます。

蒸し工程で使用される機械

 次に、揉みの工程です。人が行う場合は、手のひらでこすり合わせてお茶を揉みますが、その動作を機械で再現しています。葉をまっすぐねじることで、空気に触れる表面積を小さくし、品質の劣化を抑えることができます。また、揉みの工程中に圧力を加えることで茶葉内の水分を均一にします。

揉み工程で使用される機械とそれを説明する法月さん

 最後に乾燥の工程です。乾燥機は大きな箱のような見た目をしています。その中は棚になっており、熱風をあて、約30分かけて茶葉を乾燥させます。ここまでの工程によって、摘んだ直後には75~80%ほどある水分が、5%くらいまで減少します。

乾燥工程で使用される機械
乾燥機の中は棚のようになっています

 茶葉の水分量はセンサーでチェックしていますが、最終的には人の目で見たり、手で触ったりして確認するそうです。

 こうしてできた荒茶は、問屋や製茶会社に送られ、二次加工を経て私たちの元に届きます。

2.お土産も充実! お茶の詰め放題を体験

 次にお茶の詰め放題とお茶の試飲をさせていただきました。お茶を詰める缶は、いくつかの中からお気に入りのものを選ぶことができます。

茶葉を入れる缶。どれもかわいいですね!
茶葉を缶目一杯に詰めます

 最後に、まるとう農園さんの深蒸し茶をいただきながら、気になったところを質問させていただきました。

Q缶の茶葉はどのくらいで飲み切るのが良いですか?

 缶の茶葉は1週間から10日ほどで飲むのが良いです。飲みきれない分は冷凍で保存できます。飲むときは冷蔵庫で1時間ほど解凍します。急ぎの場合は解凍せずそのまま急須で淹れることも可能です。

Q荒茶はこの後どうやって加工されるのですか?

 お茶屋さんで、水分が2~4 %になるまで乾燥します。お茶屋さんのこだわりによって、どこまで乾燥させるかは異なります。火入れが強いのが好きな方は、2~3 %ほどまで水分を減らし、火入れが弱いのが好きな方は4 %くらい水分を残します。火入れが強い方が劣化に強く、炒った香りの強いお茶になります。しかし、お茶の緑色が落ちてしまうため、色の良い品種を入れるなどの工夫をしています。

Q茶葉を買う時、良い茶葉の見分け方は?

 茶葉は長期間放置すると傷んでしまい、風味が落ちるため、真空で包装されているものがおすすめです。また、包装紙内にぱんぱんに詰まっているものの方が、空気に触れる面が少ないので傷みにくいです。

まるとう農園さんの茶葉もその場で購入できます!

3.風情ある空間でお点前を体験できる 玉露の里

 続いて、藤枝市の朝比奈にある玉露の里に伺いました。朝比奈は、京都の宇治、福岡の八女と並んで、玉露の三大産地と呼ばれています。

 玉露の里には、お土産屋や食事処、カフェなどがあります。バスツアーでは、玉露の里の瓢月亭(ひょうげつてい)にて、玉露の茶畑見学とお点前体験を予定しています。

 さっそく瓢月亭に向かってみると、美しい庭園が広がっていました。松の木のほか、桜や梅、もみじの木もあり、四季折々の自然を楽しむことができます。

瓢月亭につづく道

 瓢月亭の中に入って案内されたのは、開放感のあるお茶室。こちらで、先生によるお点前を体験することができます。お点前体験は、抹茶もしくは玉露を選ぶことができます。今回は、せっかく玉露の里に来たということで、玉露のお点前を体験させていただきました。

瓢月亭の中には広いお茶室が!

 玉露を淹れるお湯は50~55℃に冷まして使用します。最初に茶碗を温めるため、茶碗にお湯を注ぎ入れます。

茶碗にお湯を注ぎます

次に、茶合(さごう)という平たい皿を用いて、人数分の茶葉を取り、急須に入れます。

茶合で茶葉を取ります

 急須にお湯を注ぎ、約1分半浸漬します。浸漬後、茶碗にお茶を注ぎます。このとき、最後の一滴まで出し切るのがポイントです。急須にお湯を残してしまうと、苦味が増してしまうからです。

急須で玉露を淹れます

 一煎目は、お菓子は口にせず、玉露のうま味を味わいます。渋みがなく、甘味や海苔やだしのようなうま味のある味わいです。きっと玉露のおいしさに驚く方も多いはず!

お菓子と玉露(お点前の代金に含まれています)

 一煎目をいただいた後、お菓子をいただきます。普段はお茶とお菓子を並行して口にすることが多いですが、ここでは玉露の味を堪能するため、一煎目と二煎目の間に食べ切るのがおすすめです。

 続いて、先生に二煎目を淹れていただきました。一煎目の茶葉にお湯を注ぎ、少し浸漬した後、茶葉が入らないように新しい急須に移し替えます。

別の急須に移し替えます

二煎目は、一煎目と異なり少し渋みがでます。甘味と渋みが重なった深みのある味わいでした。

 お茶室の周りを見ると、壁のあちらこちらに瓢箪(ひょうたん)の模様が。また、障子を閉めると、月が昇っていくような模様も浮かび上がります。このように瓢月亭には、細かなこだわりがたくさん散りばめられているので、ぜひ周りの装飾にも注目してみてください!

壁にひょうたんの模様

 お点前体験を終えた後は、小間(こま)という小さな茶室を見学しました。玉露の里を運営する株式会社静鉄リテイリングの野澤さんに、詳しくお話しを伺いました。

小間の中

 “小間は天井が低く狭いですが、これには客人をもてなす心が反映されています。掛け軸や花が飾られているのもおもてなしの一つであり、所々に客人を楽しませる細かいこだわりがあります。

 部屋の入口とは別に、外に通じる小さな入口があります。これは、躙口(にじりぐち)と呼ばれています。昔、躙口を通って小間に入るためには、頭を下げて、刀を下す必要がありました。つまり、小間は平和の空間でもあるんです。玉露の里は海外の団体客がよくいらっしゃるのですが、このようなおもてなしの心や平和のマインドに関心を持たれる方が多いです。”

 最後に、玉露の茶畑を見学させていただきました。

玉露の茶畑

 お茶の渋み成分であるカテキンは、光合成によってテアニンが分解されることで生成されます。玉露は日光を遮って栽培するため、カテキンの生成が抑制され、煎茶よりも渋みが少なく甘味やうま味が強い味わいとなります。

 4月下旬から5月ごろに、「こも」と呼ばれる覆いを棚の部分に被せるそうです。バスツアーの際には被覆された様子を見ることができますよ。

Q「玉露の里」のアピールポイントは?

 手軽にお茶室を楽しめることです。海外に来る方はよく東京~京都のゴールデンルートを通りますが、そのちょうど中間あたりに玉露の里はあります。新東名藤枝岡部ICから車で10分と利便性が良いため、東京~京都の途中で気軽に立ち寄っていただけます。

 また、瓢月亭のお点前は、お一人様510円と非常にリーズナブルです。正座が難しい方は椅子の用意もあるため、誰でも気軽に体験することができます。お点前体験については、今回のツアーに限らず通年受け付けていますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

風情があってゆったりとお茶を楽しめます


取材を終えて

 茶の取引や茶の加工・栽培方法、お茶文化の歴史的背景など、さまざまな視点から静岡県のお茶を学ぶことができました。ずっと静岡県に住んでいる筆者も知らなかったことがたくさんあり、どの訪問先でも新しい発見や刺激に出会えました! 

お茶に興味がある方はもちろん、お茶のことをよく知らない方でも各訪問先で丁寧に教えていただけるので、ぜひ皆さんもツアーに参加してみてはいかがでしょうか。



【静岡茶をとことん味わう!静岡モニターツアー2日間】
日程:2025年5月8-9日/9-10日/15-16日
集合場所:JR東京駅(JR品川駅、新横浜駅、小田原駅での途中乗下車が可能)、JR静岡駅での集合解散も可能
料金(一人当たり):一名一室で59,900円/二~四名一室で49,900円
※静岡駅集合・解散の方は上記金額から1万円引き

ツアー内容
・静岡茶市場-茶取引の模擬体験、お茶屋さん体験、茶皿体験
・まるとう農園-茶摘み体験、工場見学、お茶詰め放題、茶葉の天ぷら試食、お茶の試飲
・玉露の里-お点前体験、玉露の茶畑見学
・ホテルで静岡茶を使ったフレンチの夕食
など

ホテルは海のすぐ近く!お茶を使ったフレンチの夕食付き!
大井川鐵道のSLまたはきかんしゃトーマス号にご乗車いただけます!

詳しい情報はこちら→
https://www.ocha-festival.jp/program/758

―――問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032

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