フカボリ
身近な問題だからこそ知ってほしい!薬物乱用防止県民大会の現場から
2026年1月22日
薬物乱用はダメ。ゼッタイ。皆さんも一度は聞いたことがあるでしょうか?
令和7年11月29日、「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動静岡大会」が沼津市プラサヴェルデにて開催されました。毎年「薬物乱用防止県民大会」として静岡県各地で開催されており、今年度は、6年ぶりに厚生労働省との共催となりました。
令和6年の静岡県内の薬物事犯の検挙者数は349人で、そのうち、大麻事犯の検挙者数が165人と薬物事犯全体の約半数を占めています。なかでも大麻事犯全体の検挙者の7割以上が10代・20代の青少年であり、「若年者大麻乱用期」の渦中にあると言える状況です。また、近年、若年層を中心に、風邪薬や咳止め等の市販薬の過量服薬(いわゆるオーバードーズ)の広がりが懸念されています。
この事態に対処するため、国民および県民一人ひとりの薬物乱用防止に対する意識が問われています。
学生特派員:藤井
目次
1.大会の内容
2.大会参加者へのインタビュー
3.県薬事課職員へのインタビュー
4.取材を終えて
1.大会の内容
長年の薬物乱用防止活動の功労者の表彰、水谷修氏(※)による特別講演、アトラクション(桐陽高等学校ダンス部によるダンスステージ)を通し、薬物乱用防止の啓発活動が行われました。ロビーでは静岡県薬剤師会による薬物乱用防止に向けた取組に関する展示が行われ、休憩時間には静岡デザイン専門学校生徒による薬物乱用防止に関する啓発動画が上映されました。県民の薬物乱用防止に対する取り組みが盛りだくさんに感じられる大会でした。
(※)水谷修氏プロフィール
1956年横浜生まれ、高校教員として長年勤務し、生徒指導に尽力した。
非行や薬物汚染問題に取り組み、深夜の「夜回り」パトロールを通して多くの若者たちとふれ
あい、彼らの非行防止と更正に取り組む。全国の子どもたちの相談に応じつつ、執筆や講演を
通じて子どもたちの問題解決を訴える。





■特別講演「さらば、哀しみのドラッグ」
講演では、水谷氏が関わった生徒たちの話が語られました。覚醒剤による幻覚が原因で事故に遭い命を落とした男子生徒、非行の末にエイズに感染し、薬物乱用の影響で痛み止めの薬が効かず苦しみながら亡くなった女子生徒――いずれも薬物がもたらした悲劇的な結末でした。
会場の聴講者はその話に息をのんで耳を傾け、薬物乱用が引き起こす深い悲しみを実感した様子でした。
さらに水谷氏は、タバコの中毒性を例に挙げながら、タバコ以上に強い依存性を持つ薬物をやめるには医療機関での治療が必要であると説明しました。また、処方薬も本来の患者以外が使用すれば危険であると強調しました。
会場には高齢の参加者もおり、高齢者の処方薬を子供が誤飲するケースがあるとの紹介がされると、思わず身を引き締める聴講者もいたようです。

2.大会参加者へのインタビュー
アトラクション参加の桐陽高校ダンス部 顧問&部員にお話を伺いました。

Q.アトラクションと薬物乱用防止には何か関連性がありますか?
ダンスという自己表現は仲間と楽しむプラスの側面をもち、孤独とは対照的な存在です。一方で、薬物乱用は孤独感から生じるマイナスの側面と深く関係していると考えられます。その意味で、ダンスの魅力を広めることは、薬物乱用を引き起こす孤独を解消し、若者たちの心を健全な方向へと導いていくことを期待しています。
また本大会でのパフォーマンスでは、薬物乱用防止をイメージしたダンスパフォーマンスを作成しています。
Q.本大会でのパフォーマンスについて教えてください。
音楽に合わせ、薬物乱用をダンスで表現しました。振り付けはすべて部長・副部長が作成しました。
修学旅行やテストと重なり短い練習時間でしたが、家でも練習を行い、良いパフォーマンスができたと思います。
パフォーマンスを実際に見た感想としては、3部構成になっており、①薬物を使用してしまった人々→②薬物のない社会の楽しいダンス(流行りのポップス)→③再び薬物が蔓延する社会といった風に対比構造になっていたと感じました。
ダンスパフォーマンスは観客の心を明るくし、会場では講演後の悲しい雰囲気から一変し、楽しげな雰囲気が広がりました。最後には大きな拍手が沸き起こりました。
長年の薬物乱用防止活動の功労者として表彰された方にもお話を伺いました。

Q.どのような活動をされているのですか?
25年前から保護司(※)をやっています。それに伴い薬物乱用防止活動をはじめ、主に広報活動に力を入れてきました。
広報活動では、県内学生に薬物乱用防止を呼びかけ、チラシやティッシュを配る活動を行っています。また、地域の祭りでは薬物乱用防止の展示ブースを設け、パネルや薬物の見本(模造品)を陳列し、通る方々に薬物の怖さを伝えるという活動を行っています。興味のある方々の中には、立ち止まってじっくりとお話を聞いていただくこともあります。
※保護司・・・犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティア
Q.ご自身の活動の、今後の展望について教えてください。
新たな違法薬物に対して我々がいち早く知識を得ることで、一般の方々、特に若年層に薬物の身近な危険性を伝えていくことと、このような活動を担っていただける次の世代の方々を育てていくことにも尽力したいと考えています。
県薬物乱用防止指導員の方にもお話を伺いました。
Q.どのくらいの期間活動をされているのですか?
県の薬物乱用防止指導員を18年、保護司を30年やっています。
Q.近年、若年層を中心に薬物乱用の広がりが懸念されていますが、そのような実感はあるでしょうか?
10代の薬物乱用者に保護司として対応したことが多くあります。自宅で対象者と月2回の面接を行い、一緒にご飯を食べるなどの家庭的な環境を提供することを心がけています。またそれが再犯の防止につながっていると考えています。
3.県薬事課職員へのインタビュー
Q.今回の大会にかける思いを教えて下さい。
薬物乱用を根絶するためには国や県、市町だけでなく地域社会が一丸となって取り組むことが大切です。この大会を通して、家族や学校、地域での薬物乱用防止の輪が広がり、薬物乱用防止へのさらなる取り組みが県内に広まることを期待しています。
Q.県では、薬物乱用防止のためにどのような対策を行っているのでしょうか。
本県では、毎年度「静岡県薬物乱用対策推進方針」を策定し、「広報及び啓発活動の推進」「取締り及び監視指導の徹底」「薬物問題を抱える人への支援の徹底」を3つの柱に掲げて県民の安全・安心な生活を守るため、県内の関係部署が組織を横断した効果的な取組を行っているところです。

薬事課としても、毎年開催しているこの大会を含め、小・中学校及び高等学校を対象とした薬学講座や大学・専修学校を対象とした薬物乱用防止講習会、薬物乱用防止街頭キャンペーン等の薬物乱用防止のためのさまざまな啓発活動等を通じて、薬物乱用防止のために全力で取り組んでいきたいと思っています。
4.取材を終えて
県内の薬物乱用に関する現状とその取り組みを知る良い機会になったと思います。私は今まで薬物乱用を意識したことはあまりありませんでしたが、この大会を通して、薬物の危険性と地域社会に与える影響の大きさを知りました。
自分は今後、身の回りに薬物の危険性を知らない人がいたら、教えていきたいです。
長年薬物乱用防止に努めてきた方々や関わる方々に敬意と感謝を伝えるとともに、自分も意図せず薬物乱用をしないよう気を引き締め、できることをしていきたいと思います。




