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こころの不調、早めのセルフケアで予防しましょう

2026年3月30日

 新年度が始まり、新しい環境での生活に期待を抱く一方で、知らず知らずのうちにストレスや不安を抱え込んでいませんか? 静岡県立こころの医療センターは、県内の精神医療を長年支えてきた専門病院として、皆様のこころの健康をサポートしています。

 今回は、同センターの在宅医療支援部長である仲田医師と、臨床心理士の大串さんに、こころの不調とセルフケアについてお話を伺いました。

1. こころの医療センターについて

2. 気づきのサインとセルフケアを紹介します

3. 精神保健福祉ボランティアの役割

ex. 最後に

1. こころの医療センターについて

 静岡県立こころの医療センターは、1956年に養心荘として開院し、設立70周年を迎える精神科の専門病院です。

 センターでは、急性期の患者さんへの治療はもちろんのこと、退院後の地域生活を支えるための支援にも力を入れています。その中心となるのが「在宅医療支援部」です。作業療法士や精神保健福祉士、訪問看護師など、多職種の専門家が連携し、リハビリテーションや社会復帰に向けた支援を行っています。

 例えば、デイケアでは、コミュニケーション練習やリハビリテーションを通して、社会生活への適応を支援します。さらに精神保健福祉士は、社会福祉サービスや障害年金、傷病手当などの利用に関する情報提供も行い、患者さんが地域で安心して生活できるようサポートしています。また、訪問看護師が患者さんのご自宅を訪問し、服薬管理や体調チェック、生活相談などきめ細やかなケアを行うことで、外出が困難な方やひきこもりの方でも適切な支援を受けられる体制を整えています。

 うつ病や統合失調症といった従来の精神疾患に加え、近年増加傾向にある発達障害の専門外来を開設するなど、時代とともに変化するニーズにも対応しており、幅広い年齢層、ライフステージの患者さんが抱える多様なこころの問題に対し、専門的な知見を持ってケアをしています。

2. 気づきのサインとセルフケアを紹介します

 新生活が始まるこの時期は、環境の変化に伴うストレスを感じやすく、こころの不調を来たしやすい時期です。では、どのような時に「不調のサイン」だと気づけば良いのでしょうか。

メンタル不調の主な原因

 ストレスは、こころの不調の大きな原因です。職場や学校での人間関係、仕事や学業のプレッシャー、家庭内の問題、自身の体調不良など、その原因は多岐にわたります。意外に思うかもしれませんが、昇進など「良い出来事」であっても、それに伴う責任感からストレスとなり、心身の不調につながることもあります。

 特に4月は入学、就職、異動など、新しい環境に適応しようと頑張ることで、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱え込んでしまうことが多い時期です。また、一人暮らしを始める、妊娠・出産を経験するといったライフイベントも、大きな変化とストレスを伴います。特に「周産期メンタルヘルス」のように、出産前後の女性のメンタルヘルスは、周囲のサポートが非常に重要になります。

身体とこころからのサイン

 こころの不調は、身体の様々な症状として現れることがあります。食欲がない、眠れない、動悸がする、冷や汗、腹痛などが代表的です。個人によって現れ方はさまざまですが、過去に調子を崩した時と同じサインが出ることが多いとされています。また、人と会いたくない、今まで楽しめていた趣味が楽しめない、日常生活のささいなことがおっくうに感じられたりするなども、こころからの大切なサインです。

 これらのサインに気づいたら、決して無理をせず、早めに対処することが重要です。

すぐにできるセルフケア

では、こころの不調を感じた時に、自分自身でできることは何でしょうか。

①話をする

 一人で抱え込まず、まずは人に話を聞いてもらうことが最も大切です。話すことで、頭の中が整理され、漠然とした不安が明確になったり、問題の解決策が見つかったりすることがあります。仮に具体的なアドバイスがもらえなくても、話を聞いてもらうだけで心が軽くなることは少なくありません。身近に相談できる人がいない場合は、専門機関を頼ることも有効です。

②リラクゼーション法を取り入れる

 心身の緊張を和らげるために、簡単にできるリラクゼーション法を試してみましょう。

・筋弛緩法

 体の各部位に力を入れてから一気に緩める動作を繰り返すことで、心身の緊張を解すことができます。

・呼吸法

 ゆっくりと深く呼吸をすることで、自律神経のバランスが整い、リラックス効果を高めます。

③日光を浴びる

 午前中に強い光、具体的には2,500ルクス※以上の光(日が当たっている窓際程度の強さ)を浴びることで、眠気を催す作用のあるメラトニンという睡眠ホルモンが夕方頃に増加します。朝にカーテンを開けるだけでも大丈夫です。これにより睡眠の質が高まるため、精神を安定させるには非常に効果的です。しかし、夜遅くにスマートフォンなどの強い光を浴びてしまうと、脳が朝と錯覚して覚醒作用が働き、睡眠を妨げてしまうことがあります。寝室にスマートフォンを持ち込まないなど注意をしましょう。

※ルクス=明るさ、照度の単位

④専門家のサポートを求める

 もし不眠や身体の不調が続くようであれば、精神科や心療内科といった専門機関に相談することも大切です。早めに専門家のアドバイスを求めることで、症状が重くなる前に適切な対処ができる場合があります。睡眠導入剤などの薬物療法はあくまで症状を和らげるための一時的な手段ですが、必要に応じて活用することも検討しましょう。

3. 精神保健福祉ボランティアの役割

 センターでは、精神保健福祉ボランティアの方々が、患者さんの支援に大きな力を貸してくださっています。ボランティアの方々は、様々な形で患者さんの社会参加や心の健康をサポートしています。

 例えば、「外来図書活動」では、ボランティアの方が本の紹介や貸し出しを通じて、患者さんとコミュニケーションを取っています。患者さんにとっては、読書が気分転換になるだけでなく、ボランティアの方との交流が新たなつながりを生むきっかけにもなっています。

 また、デイケアのプログラムに参加し、利用者さん同士の交流をサポートすることもあります。利用者の皆さんが孤立せず、社会とつながりを持ち続けられるよう、温かく見守り、支援しています。

 ボランティアの募集には、「人の役に立ちたい」という方から、ご自身やご家族が精神疾患を経験された方まで、様々な動機を持った方がいらっしゃいます。医療関係者や当事者同士とは異なる「第三者」の立場で話を聞くことで、患者さんが話しやすい場所を提供しています。

 ボランティアの方には養成講座を受講していただいており、精神疾患に関する学びの機会を提供しています。デイケアでの実習を通して、ボランティア活動の体験、ボランティアの方同士での交流ができるため、本格的に活動を始める前に、ご自身の適性や興味を確認することも可能です。

4. 最後に

 「つらい」と口に出すのは、決して悪いことではありません。むしろ、その一歩を踏み出す勇気は、とても素晴らしいことです。無理をして頑張りすぎてしまう人が多いですが、一人で抱え込んでしまうと、解決策が見つからず、かえって苦しくなってしまうことがあります。まずは、ご家族や友人など、身近な人に伝えることから始めてみましょう。もし、身近な人に話しにくいと感じる場合は、精神科や心療内科といった専門機関に相談することも一つの選択肢です。

 精神科病院は、「重症な人が行く場所」というイメージがあるかもしれませんが、早期に相談することで、症状が軽いうちに対処し、重症化を防ぐことができます。まずはお近くのクリニックやかかりつけ医に相談してみてください。

 周りの人から「もしかして調子が悪いの?」と声をかけられたら、その言葉に素直に耳を傾けてみてください。専門機関は、あなたの「SOS」を受け止める準備ができています。勇気を出して、一歩を踏み出してみましょう。

 令和8年度ボランティア募集は、4月6日(月)から開始します。興味を持たれた方はぜひ応募をしてみてください!

ボランティア募集サイト

URL:www.shizuoka-pho.jp/kokoro/recruit/volunteer/index.html

県立こころの医療センター公式サイト

URL:www.shizuoka-pho.jp/kokoro/index.html

県民だより4月号

URL:https://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1080800/1080976/index.html

―――問い合わせ――――――――――――――――――――――――――

県広報戦略課 TEL:054(221)2231 MAIL:pr@pref.shizuoka.lg.jp

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