しずおかWELL-BE+ Vol.2
知事就任後、初の浙江省訪問 顔の見える地域外交が絆を深める
みらいに、新しい輝きを
公開日:2025年08月29日
2025年6月2~5日、鈴木知事が就任後初めて、静岡県と長きにわたり友好提携を結んでいる中国・浙江省を訪問した。今回の訪問により省政府との一層強固な信頼関係とともに、2年後の友好提携45周年に向けた交流のさらなる深化を相互に確認できた。訪問では、静岡県・静岡大学・静岡県立大学・浙江大学の4者による覚書の締結、富士山静岡空港の就航促進に向けたトップセールス、新興企業の視察など、多角的な取り組みを実施した。

このページで分かること
- 鈴木知事による浙江省訪問の目的と、顔の見える地域外交の現在地
- スタートアップ交流や空路拡充に向けたトップセールスの最新動向
- 静岡県と浙江省が40年余にわたり築いてきた友好関係とその原点
- 45周年に向け広がる、行政と民間による地域外交のこれから
目次
両県省のリーダー同士の初対面。互いの交流の深化へ大きく前進(浙江省政府表敬)
鈴木知事率いる訪問団は、浙江省政府を表敬訪問し、スタートアップの育成や観光促進、青少年交流などについて意見交換を行った。
「省のトップである王浩書記と面会できたことは非常に貴重だった。顔の見える関係を築けたのは大きな成果」と鈴木知事は語る。1982年の友好提携締結以来、積み重ねてきた信頼関係が、この初顔合わせにより、一層深まった。

静岡県と浙江省の関係は中国側の評価も高く、「地方政府間交流のモデル」とされ、2010年には、「対中国友好都市交流提携賞」を受賞している。今回の表敬訪問は、地域外交の意義をあらためて確認し合う機会となった。
地域外交は、地方政府同士だからこその柔軟な関係を築けるのが強みだ。長年の信頼関係を背景に、浙江省と地域外交課とのつながりが、今回の訪問でも力を発揮。地域外交課と省政府との密な連携により、書記との面会だけでなく、同省の起業プロジェクトの視察など、深い交流と学びが実現した。
そもそも地域外交という発想は、静岡県が全国に先駆けて打ち出したもの。国境を越えた自治体間の交流は、今や多くの地域に広がっている。変化の激しい国際情勢のなか、地域間連携の重要性はますます高まっており、県は、経済、健康福祉、スポーツ、文化、観光など多様な分野において、浙江省との関係強化に取り組んでいる。
大学発スタートアップがつなぐ、次世代の協働(浙江大学との覚書調印)
静岡県、静岡大学、静岡県立大学と浙江大学の4者による、大学発スタートアップの交流、育成などの協力関係を推進するため、鈴木知事は両大学の学長らとともに浙江大学を訪問。浙江大学馬学長と覚書に調印した。

浙江大学は、中国のAI(人工知能)分野において、先端技術とスタートアップ育成をけん引する名門校だ。
今後は、大学間ネットワークの構築や人的交流を進めるとともに、技術の社会実装による課題解決や次代を担う起業家の輩出等による県内経済の活性化を目指す。
「浙江省は歴史と文化の地であると同時に、デジタル技術と起業の最前線だ。浙江大学の卒業生327人が中国上場企業のトップを務めており、起業や人材育成のロールモデルと言える。覚書の調印を機に知見と支援を得たい」と鈴木知事。
7月24日〜26日にグランシップ(静岡市駿河区)で開催された「TECH BEAT Shizuoka 2025」では、浙江大学発のスタートアップを招聘し、両大学との交流や県内企業とのマッチング機会を提供した。
世界が注目。浙江省発イノベーションの最前線へ
本県訪問団は同省のスタートアップ企業やインキュベーション施設を視察。高所作業用のプラットフォームを開発するメーカー、EV(電気自動車)の研究・製造・販売を一貫して手掛ける企業を見学した。
特に訪問団の注目を集めた企業が、「強脳科技(BrainCo)」だ。同社が開発したスマート義手や義足は、脳から身体を動かすために出る微弱な信号を受け取り、より自然な動きを可能とする。
視察時には、スマート義手によるピアノ演奏や書道のパフォーマンスも披露され、技術の進化がもたらす新たな可能性を体感する機会となった。

富士山静岡空港に追い風を。トップセールスで未来を拓く
鈴木知事は富士山静岡空港株式会社の代表らとともに、上海市の中国東方航空本社を訪問。国際路線の拡充に向けて、トップセールスを行った。
現在、週4便で就航している静岡−上海線のデイリー運航を見据えた増便や、コロナ禍以降、再開に至っていない杭州線や寧波線といった路線の復便を同社幹部に働き掛けた。
中国東方航空は、静岡の持つ観光・経済の潜在力を高く評価し、早期実現に向け、双方で連携を深めていくことを確認した。

共に歩んだ40年余り。交流のきっかけは?

当時の山本県知事(右)と翟翕武副省長(左)
今では深い絆で結ばれている静岡県と浙江省。その関係の始まりは、1982年の友好提携にさかのぼる。では、なぜ「浙江省」だったのか――。
「浙江省は静岡県特産のお茶やみかんの故郷とされ、古くから縁がありました。加えて、温暖な気候、長い海岸線、製造業中心の産業構造など、共通点が多かったことが理由です」と語るのは、静岡県日中友好協議会の専務理事・平野一惠さん。
提携後は5年ごとの記念事業を軸に、文化と経済の両面で交流が続いてきた。囲碁を通じた高校生交流、西湖を舞台にしたマラソン大会の開催など、草の根のつながりも広がっている。青年交流事業も形を変えながら継続され、県民・省民が互いの地を訪れ合っている。
「今後は、環境問題や介護といった共通の社会課題にも共に取り組みながら、引き続き、さらに新しい分野での人材育成に力を入れていきたい」と平野さん。地域外交を支えてきた民間機関として、さらなる展開を見据えている。
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行政と民間が手を携え、新たなフェーズへ
静岡県と浙江省は、2027年に友好提携45周年を迎える。節目に向けた準備を進めており、今回の訪問はそのスタートである。
これまでの経済、教育、文化などの交流に加え、今後は健康福祉や観光、スポーツなど、多分野にわたる広がりが期待されている。45周年の記念事業も、行政だけでなく、民間の力を巻き込んで展開していく予定だ。
報道や画面越しでは伝わらない、浙江省の人びとの温かさや空気感は、実際に現地に足を運び、会って言葉を交わすことでこそ伝わるもの。そうした“リアルな接点”を通じて、双方の交流の輪はさらに広がり、より深く結び付いていくだろう。
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