しずおかWELL-BE+ Vol.3
田邉悠さん|選手から審判へ 視点を変えて大好きなサッカーと共に歩む
静岡で見つけた“わたしらしさ”
公開日:2025年10月29日

高校時代から、審判の活動に興味を抱く
初秋の休日、エコパ(袋井市)のグラウンドに、審判が吹く試合開始のホイッスルが鳴り響く。
静岡県社会人サッカー2部リーグ試合の主審を務めているのは、大学1年生の田邉 悠さん。高校3年の秋に日本サッカー協会(JFA)の公認3級審判員資格を取得し、この1年で県内を中心に約100試合もの審判を務めている。
審判に興味を抱いたのは高校時代。
「教職と審判の活動を長く両立させている方と出会い、その方を通して審判の活動をもっと知りたいと思うようになりました」。
同時に、選手生活にどこかで区切りをつけることも考え始めた。
「幼少期からずっと続けてきたサッカーですが、いつまで現役でプレーできるかは分からない。ならば、けがをせず、高校生のうちに試合にスタメン出場する夢を果たしたら、そこで選手生活は終えよう」と。
フィールドを駆け回る体力と、途切れることのない集中力が求められる
平日は神奈川県内の大学まで遠距離通学し、土日は静岡県内で審判として活動
そして高校2年の新人戦、スタメンのゴールキーパーとして試合に出場し、その夢が叶った。そこから、審判としてのスキルアップ、経験を積む日々が始まった。今春大学に進学し、キャンパスは神奈川県内。しかし、下宿はせず、実家から片道2時間以上かけて電車通学を続けている。その理由は学業と審判の活動を両立させるためだ。
「土日はだいたい県内の試合に出向くので、裾野市内の実家が拠点の方が動きやすい。それに県内のサッカー関係者の方々にとてもお世話になっているので、なるべく地元に居たいんです。生まれ育った静岡県、特に東部地区が好きというのもあります」と笑顔で語る。
選手たちのひたむきさから、大きな感動をもらう
この秋、田邉さんは2級審判員資格の試験に挑戦し、年末には結果が分かるという。
「3級で都道府県のリーグ戦、2級で全国を9つのエリアに分けて競う地域リーグなど、1級ではJリーグなどの審判ができます。まだまだ先になると思いますが、いずれは1級を取得して大きな試合の舞台に立つのが夢です」。
それほどまでに田邉さんを惹きつける「審判」の魅力はどこにあるのだろう。
「自分も選手だったから分かるのですが、選手たちは常に全力でプレーし、フィールドの上で喜んだり、悔しがったりする。その生の姿を、目の前で見られるのが審判の醍醐味だと思います。そして試合の後に、「ありがとう!」と声をかけてもらうと、試合中の疲れも吹っ飛んでうれしくなります」。
ともに静岡のサッカーを盛り上げていく、同世代の審判を増やしたい
また、審判の活動を通して自身が成長したと思うことは何かと尋ねると、「視野が広くなったこと、物事を客観的に見られるようになったことでしょうか。テレビなどでサッカーの試合を観戦するときも、選手の動きと同じくらい審判の動きも目で追うようになりました。この先社会に出てからも、物事を俯瞰で捉える力はさまざまな場面で生かせるのではないかと思います」と田邉さん。
現在、静岡県内で審判員資格を持つ人は10代から60代くらいまで幅広いが、試合数に対して若い世代の審判の人数は不足気味だと言います。
「選手を辞めても好きなサッカーとずっと関わっていく一つの方法として、審判の活動は魅力あるものだと思います。同世代の皆さんにもぜひトライしていただいて、一緒に静岡県のサッカーを盛り上げていきたいです」。
プロフィール

田邉 悠さん
JFA3級審判員・東海大学体育学部1年生2007年裾野市生まれ。幼少期から高校までサッカー選手として活躍。3級審判員としてこの1年で約100試合の審判を担当。日頃からジョギングやスプリントの走り込みで体力維持に努めると共に、2級審判員に必要な知識の習得に余念がない。将来はサッカー関係の企画、運営の仕事に携わるのが夢。
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