しずおかWELL-BE+ Vol.6
こどもの学びと保護者の休暇を融合する“ラーケーション”
みらいに、新しい輝きを
公開日:2026年03月24日

本県は、こどもたちの多様な学びを進め、家族で過ごす機会を増やすことを目的に、教育現場への「ラーケーション」の導入に取り組んでいる。
ラーケーションとは、学びの「ラーニング(learning)」と休暇の「バケーション(vacation)」を組み合わせた造語。こどもが保護者などと一緒に、平日に校外(家庭・地域)で体験・探究の学びを自ら企画して、実行するというもの。
現代社会における、学びの機会の多様化や働き方の見直しを背景に、「社会全体で得られる体験を通じた多様な学び」「家族と一緒に過ごす時間の充実」「保護者の有給休暇を促進する休み方改革」等の幅広い効果があるラーケーションが注目されている。
事前に学校へ届け出れば、ラーケーションの日は登校しなくても欠席にならずに、「出席停止・忌引など」と同様の扱いになるというのが、制度の大まかな流れである。
ラーケーションの概念図
このページで分かること
- 学びと休暇が融合したラーケーションの目的
- ラーケーションが想定する、多様な学びの例
- 行政・学校・企業が連携した、導入拡大の取り組み
目次
こどもの興味や関心を、探究的な学びにつなげる
ラーケーションが想定している学びは、ものづくり、農業体験、自然体験、芸術鑑賞、国際交流、史跡探訪など幅広い。
例えば、地域の伝統芸能の稽古に参加する、博物館で調べ学習を深める、山や海での観察を通して環境を学ぶ、異文化理解としてブラジル料理作りに挑戦するなど、こどもと保護者が話し合いながら、自由に企画することができる。
こどもの興味や関心を学校の授業や探究的な学びにつなげるとともに、自ら企画・実行することで主体性・自主性を育むことは、ラーケーションのねらいの一つだ。
現在、県は、一部の市町や学校での実施にとどまっているラーケーションを全県に広げていく取り組みを進めている。
ラーケーションイメージ
県立高校・公立小中学校などへ、ラーケーションの拡大を図る
ラーケーションの普及にあたっては、教育の観点を軸としながら、社会全体で制度を後押ししていく環境を整備していく必要がある。県は、知事政策課を中心に、県庁内の関係各課が連携し、制度の検討を重ねてきた。
令和7年度、県立浜松西高等学校中等部・県立清水南高等学校中等部の2校で試験的に導入。学校現場での手続きや周知方法、家庭とのコミュニケーションなど、制度の運用方法について検証を行った。令和8年度以降は、県立高校・県立特別支援学校への導入拡大を図るとともに、市町に働きかけ、公立小中学校などへの導入を促進していく計画だ。
ラーケーションフロー(イメージ)
学びの機会の拡大 県立清水南高等学校中等部の取り組み
ラーケーション事例① ライブを鑑賞し、音楽関連の仕事への興味を深める
将来の進路として、音楽や演劇に関わりたいという思いがあり、ラーケーションを利用して、母と一緒に音楽ライブを鑑賞しました。ライブでは、知らない曲もありましたが、アーティストの思いが伝わり、鳥肌が立つほど感動しました。また演出の素晴らしさにも圧倒され、裏方も含めて多くの方が関わって、ライブが運営されていることがよく分かりました。音楽関連の仕事に対する興味が高まりました。
次は演劇の舞台を鑑賞するために、ラーケーションを活用したいと思います。
ラーケーション事例② 裁判傍聴などを通じて、弁護士の仕事について知る
弁護士の仕事に興味があり、2日間にわたり、ラーケーションを利用しました。10月に母の職場の方が主催する弁護士によるセミナーに参加させていただき、弁護士の仕事について学びました。証拠集めや依頼人への対応など苦労も多いとのことで、想像と違う面もありましたが、弁護士への憧れは強くなりました。11月には裁判所で刑事裁判を傍聴。検察の方が求刑を述べるシーンが、ドラマのようで印象的でした。
ラーケーションを通じて、弁護士の先生から、社会を深く知ることと、人と誠実に向き合うことが大切とのアドバイスをいただきました。今後の自分への課題にしていきたいと思います。
保護者がラーケーションに参加しやすい社会づくり
ラーケーションを定着させていくためには、教育現場だけではなく、企業の理解と協力も欠かせない。保護者が休暇を取りやすい環境をつくることが、こどもの学びの機会につながるからだ。
「まずは『ラーケーション』という言葉を、学校・保護者はもとより、企業経営者に周知していくことが第一歩と考えています」と知事政策課の梅原一茂主査は語る。
令和8年度は主に保護者向けの周知に加えて、企業への呼びかけを行うことで、こどものラーケーションに合わせて、保護者が一緒に休暇を取れる機会を創出していきたいという。
ラーケーション推進は「休み方改革」にも貢献
ラーケーション実施事例
「静岡ウィーク」を、ラーケーション活用のきっかけに
県は、令和8年度から、県民に地域の魅力を再発見してもらうことを目的に、6月と2月に静岡ウィークを設定する。
6月は、版籍奉還により明治2年6月に徳川家達公が藩知事となり「静岡」の名称が初めて用いられたことにちなみ、2月は「富士山の日」(2月23日)に由来する。期間中、県はラーケーションの啓発を集中的に行う計画である。
静岡ウィークとラーケーションの関係について、知事政策課の小澤和久課長はこう語る。
「静岡ウィークを通して、こどもたちが郷土への愛着を深め、地域の学びを深める機会になるとよいと考えています。またこどもたちが平日に学びたいことがあれば、その希望がかなうものと思います。なお、ラーケーションをそれぞれの家庭の事情やこどもの状況に合わせて、無理のない範囲で利用していただければと思います」
「静岡ウィーク」でラーケーション推進をはかる
こどもたちの興味・関心を起点に、家庭・地域へと学びを広げていくラーケーション。それは、静岡県をステージに、地域、社会全体で取り組んでいく「新たな学びの形」である。
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