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  • 静岡の、これから。

ジャンルの壁を越えると、静岡がもっと楽しくなる。サブスク「しずGo!」で新たな文化体験を。

約10分で読めます

県内には、美術展、コンサート、演劇、スポーツなど、多様な文化やスポーツを体験できる機会が豊富にある。しかし「興味はあるけど行くきっかけがない」「自分には縁がない」といつの間にか心理的に線を引いてしまう人も少なくはなく、十分にその機会が活かされていないことが多いのではないか。

県の調査では、県民が1年間に文化芸術に関わる活動を行った割合は17.1%にとどまる(令和6年度)。そこで「1年間に文化芸術に関わる活動を行った人の割合」を2028(令和10)年度までに17%から25%へと引き上げることなどを目標に掲げている。

一方、事業者側も課題を抱えている。イベントやジャンルによって集客力にばらつきがあり、収容率が9割を超えるものもあれば、2割程度にとどまるものも少なくない。

こうした県民の文化などを体験できる機会の喪失と、事業者の集客難の双方の解決を目指す一手として2025年10月にスタートしたのが、サブスクリプションサービス「しずGo!」だ。

自治体と民間企業が連携し、スポーツ・文化・観光を横断するサブスクを立ち上げたのは、全国でも初の試みとされる。今回は「しずGo!」の仕組みや魅力を紹介する。

月額1,980円で月4回。気になるイベントをまるごと楽しむ

「しずGo!」の仕組みは、いたってシンプル。月額1,980円(税込2,178円)で、県内のスポーツ、コンサート、演劇、美術館、温泉、観光施設など多様なイベントや施設を毎月最大4回まで利用できる。

STEP.1
会員登録
公式サイトで月額プランに加入。登録したその日からすぐに利用できる。
STEP.2
行きたいイベントを予約
サイトで気になるイベントや施設を探し、日程を選んで予約。
STEP.3
当日の受付で画面を提示
スマートフォンの「チケット確認画面」を提示して入場。

▶ サービスの詳細・料金プランは、「しずGo!」公式サイトへ
https://www.shizu-go.com/e/services/about_shizugo

▶ 最新のイベント情報は、イベント一覧ページへ
https://www.shizu-go.com/events

開発者・遠山寛治氏インタビュー|文化を生活の身近に

「しずGo!」を運営するのは、名古屋大学発のベンチャー企業・株式会社Sonoligo。「文化の民主化」をビジョンに掲げる同社の代表取締役・遠山寛治氏に話を聞いた。

遠山 寛治(とおやま かんじ)氏プロフィール
株式会社Sonoligo 代表取締役。1994年愛知県刈谷市生まれ。名古屋大学大学院でAIを研究し、ドイツ留学中に欧州の人々が日常的に文化と関わる姿に触れ、2018年に株式会社Sonoligoを設立。

動画を見る(「しずGo!」開発者インタビュー/5分36秒)

Q. 貴社のビジョンである「文化の民主化」とは?

「文化体験を、もっと人々の生活に身近なものにしたいという思いを込めた言葉です。その原点は大学院時代のドイツ留学にあります。現地では、コンサートやスポーツ、美術館に老若男女が日常的に集まっていたんです。こうした景色を日本でもつくりたいと考えて起業しました」

Q. 事業者側にとってのメリットは?

「事業者にとって、新規客の獲得は容易ではありません。たとえばJ1のサッカーチームでも、通常の集客で新規客の比率は1%を下回ることが少なくありません。これに対し、『しずGo!』経由の利用者は、約7割が新規のお客様です(当社調べ)。広告費に頼らずにジャンルを超えて新規層へアプローチできることが、参加事業者にとっての最大の魅力となっています」

Q. 開始以来の成果は?

「当社の調べによりますと、2ジャンル以上を体験した利用者は全体の約70%、3ジャンル以上は約45%。なかには8ジャンルを利用した人もいます。普段は劇場に足を運ばなかった人がクラシックを訪れ、サッカー観戦の帰りに温泉へ立ち寄るといった、人と文化の新たな出会いを生み出しています」

特に、新規客の獲得が難しいクラシックや演劇などの分野からは、「若い世代の来場客が増えた」と歓迎の声が相次ぐ。県民の体験機会が広がり、事業者の裾野も広がるという両面で、「しずGo!」は静岡の文化を底上げする起爆剤となっている。

「しずGo!」の注目スポット|開館40周年・静岡県立美術館

「しずGo!」のラインナップで今年とりわけ注目したいのが、開館40周年を迎えた静岡県立美術館だ。節目の年に充実した記念企画が続く今こそ、「しずGo!」で新たな出会いを体験する絶好のタイミングといえる。

7月18日からは「NHK日曜美術館50年展」があり、こちらも注目の企画展だ。 なお、4月25日から6月21日までは開館40周年記念展「静岡県立美術館をひらく7つの扉」が開催され、県内外の美術ファンで賑わった。

学生特派員による40周年記念式典と企画展「静岡県立美術館をひらく7つの扉」の記事はこちら↓ https://fmc.pref.shizuoka.jp/article_post/9549/

「風景の美術館」を軸とした世界水準のコレクション

同館は「風景の美術館」をテーマに掲げ、17世紀以降の東西の風景画を体系的に収集してきた。所蔵作品は2,900点超。狩野探幽かのうたんゆう池大雅いけのたいが横山大観よこやまたいかん、クロード・ロラン、ポール・ゴーギャンといった名だたる作家の作品が、東西の風景や富士山を描いたという軸のもとに収集されてきた。

日本画では「狩野派研究のメッカ」と専門家から評され、西洋画では風景画史を語る上で欠かせないクロード・ロランの作品を所蔵するなど、東西の美術を高い水準で揃えている点が大きな特色だ。また、近年人気が高まる伊藤若冲いとうじゃくちゅうの作品や、焼津市出身の画家・石田徹也いしだてつやの作品も所蔵している。

彫刻ファンを唸らせる「ロダン館」では、≪地獄の門≫や≪考える人≫などの代表作を一堂に鑑賞できる。

丘の上の心癒す自然豊かな立地と、無料で観られる名品コーナーの存在もあり、「美術館はちょっと敷居が高い」と感じる人でも、散歩がてら気軽に立ち寄れるのがこの館の魅力だ。

最近は、館長の美術講座や学芸員によるフロアレクチャーを毎展覧会で開催するなど、学芸員と来館者の距離を縮める取り組みにも力を入れている。

▶ 詳しくは 静岡県立美術館 公式サイトへ
https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/

伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》 18世紀後半(江戸後期)

池大雅 《蘭亭曲水・龍山勝会図屏風》 1763(宝暦13)年

横山大観《群青富士》 1917-18(大正6-7)年頃

この夏、「しずGo!」で訪れたい「NHK日曜美術館 50年展」

「NHK日曜美術館 50年展」が、2026年7月18日(土)から9月27日(日)まで開催される。「日曜美術館」の放送50周年を記念し、過去の放送から厳選した出演者の言葉や高精細映像とともに、番組を彩ってきた120点超の名品を公開する。

日本画、西洋画、現代美術、版画、写真など、ジャンルを横断する構成は「しずGo!」のコンセプトとも重なり、美術館の入門編としても最適な展覧会だ。
※掲載内容は変更となる場合があります。

▶ 詳しくは「NHK日曜美術館 50年展」展覧会ページへhttps://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/detail/135

これからの「しずGo!」|県東部と法人へ、広がるステージ

サービス開始から半年で見えてきたのは、エリアごとに核となるスポットをメニューに加えることの重要性だ。誰もが知るスポットがメニューに加われば、周辺の他の事業者にも加入の輪が広がり、利用者の周遊行動も生まれやすい。

その課題を踏まえつつ、今後は県東部への本格展開、そして法人向けサービスの開始へと、さらに事業を広げていく計画だ。

文化は、鑑賞するだけでなく、参加し体感することでさらに豊かになる。

「しずGo!」は県民一人一人が、新たな文化と出会えるきっかけを生み出すだけでなく、静岡という地域の文化的土壌そのものを豊かにする試みでもある。

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