- しずおか、セレクト。
知られざる地元の名品を、暮らしの中に。遠州織物の「なめらかコットンハンカチ」
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世界の名だたるブランドが、こぞって採用する生地がある。その名は、「遠州織物」。浜松市のアパレルブランド「HUIS(ハウス)」は、この生地に着目し、"上質な日常着"として全国に提供している。


「HUIS(ハウス)」というブランド名は、オランダ語で「家」という意味。遠州織物を使って、家族が世代を超えて日常的にまとえる服を提供したいという思いが込められている。
「アパレル業界では、生地の産地が表に出ることはまずありません。そのため地元では、これほど高品質な生地を生産していることがほとんど知られていないんです。その本質的な価値を伝えることが私たちの務めです」と、代表の松下昌樹さんは語る。

歴史や伝統を有するメゾンブランドが数多く採用する遠州織物。こうしたブランドであれば通常は一着10〜20万円を超えるような高価な生地を日常着に用いるには、価格を抑える必要がある。そのためHUISでは、
- 機屋からの直接仕入れ
- 常設店舗を展開しないオンライン中心の販売
- 在庫を残さない完売主義
- 販促物の自社制作
といった工夫を重ねてコストを徹底的に抑え、「希少な生地」を「手の届く一着」として提供している。

また、遠州織物を体感できる場として、全国各地でのイベント開催のほか、東京・渋谷スクランブルスクエア内の「渋谷ショールーム」をはじめとする全国7ヶ所でショールームを設けている。
このHUISの「ショールーム」は、ショップパートナーとの協業の上で常設コストを省き運営する、産地の魅力を直接伝えるための新たな取り組みだ。


髪より細い糸が生む、しなやかな風合い
浜松は古くから繊維産業が集積した一大産地。遠州織物の価値は、今もこの地に残る機織りの貴重な名機とそれを扱う職人から生まれる。

例えば、髪の毛より細い「100番手」のような極細の綿糸は、最新の高速織機ではすぐ切れてしまう。それを希少な「シャトル織機」では、ゆっくりと糸に負担をかけずに織ることができるため、滑らかで柔らかな風合いの生地を生み出すことができる。


しかし、こうした産地の技術を表に出さないのが一般的なアパレル業界の特徴でもある。かつて3000軒以上あった機屋は今では数十軒に減り、確かな技術がありながら、地元にその存在が伝わっていないのが現状だ。
遠州織物×久留女木の棚田プロジェクト
HUISは、遠州織物の価値を地元により幅広く伝えるために、令和5年から浜松市にある久留女木地区と新たな取り組みを始動した。それが、「遠州織物×久留女木の棚田プロジェクト」だ。

過疎化や担い手の高齢化などさまざまな要因で現在、約3分の2が休耕田となった久留女木の棚田で綿花を育て、遠州織物の製品に仕上げる。また、綿花の栽培から遠州織物ができるまでの工程を動画にまとめ、公開することで、棚田の保全と遠州織物の維持発展を目指す。
【YouTubeリンク】遠州織物×久留女木の棚田プロジェクト
https://www.youtube.com/watch?v=lzA6LG4LzDY



綿花栽培は地元の「久留女木地域振興協議会」に委託。契約の内容を、栽培した綿花の買取ではなく、作付の単位面積あたりの委託契約にしたことが特徴で、不作の年も農家は安心して続けられる。
綿花から一着の服になるまでの工程と、それを支える事業者を伝えるこの取り組みは、「グッドデザインしずおか2025」で大賞に輝いた。


遠州織物の魅力を、手にとって実感

今回の読者プレゼントは、遠州織物の風合いを日常で味わえる「なめらかコットンハンカチ」。細い糸を用いて柔らかに織った生地で、驚くほど滑らかな手触りだ。
※プレゼントの「なめらかコットンハンカチ」は、「久留女木の棚田プロジェクト」で生産された綿花を用いた製品ではありません。

「10年、20年後には地域の誰もが遠州織物のすばらしさを知っていて、誇りに感じてくれるようになるのが理想です。そうすれば、この仕事に憧れて関わりたい人も自然と増えていくはずです」と松下さん。
HUISの歩みは、静岡が世界に誇るこの生地を、次の世代へと確かにつないでいく。

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