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【インタビュー】現代アートのイベント「原泉アートデイズ!」代表/ディレクター 羽鳥 祐子さん

2023(令和5)年3月

インタビュー:「原泉アートデイズ!」代表/ディレクター 羽鳥 祐子さん

原泉(はらいずみ)を、いつでもアートに触れ合えるアートパークのような地域にしたい

掛川市最北部に位置する原泉地区は、川のほとりに広がる旧原泉村。手付かずの自然、時間や空間、資源と共創するように、現代アートの展覧会「原泉アートデイズ!」は始まった。その発起人が羽鳥祐子さん。毎年、企画をはじめ、アーティストとの対話や会場選びなどに飛び回る。
「誇るべき取り組み」と話すのは、「HARAIZUMI AIR」と呼ばれる独自のアーティスト・イン・レジデンス。一定期間アーティストが滞在し、作品作りに集中する。実際、原泉ナイズされた作品が芸術賞を受賞するなど、さまざまな奇跡を起こしている。

「幻の可視化2」(野々上聡人)をもとにした作品が「第23回岡本太郎現代芸術賞」大賞の受賞につながった。

さらに、この「HARAIZUMI AIR」では、アーティスト全員で毎日の食卓を囲む「AIR MEALS」にも取り組む。

「共食することでコミュニティーが築かれて、創作に良い影響をもたらします。地域の人から食材をいただいた時は、誰が、どこの畑で作ったなどのお話を伝えて、食卓からも地域とつながれるようにしています。静岡は食材が豊富だから、何百食という料理を作れます。全て写真で残しているので、一つの食文化として研究できないかと考えているんです」。

毎日2食、滞在アーティスト全員分を羽鳥さんが振る舞う。全員で食卓を囲む、交流のひととき。

2023年度のテーマは「交流」。創作プロセスを開示し、地域との交流、鑑賞者との交流などの可視化にチャレンジする。
国際交流にも積極的で、今年は中国での展示や、原泉と中国人アーティストとの交流計画も予定している。

地域の人やプロジェクトメンバーの仲間。大規模なパーティーの場もそろそろ復活させたい。
コロナ禍を逆手に取り、郵送をベースにした「想像する展覧会」を開催。全国 130組の参加者に送り届けた。(2020年)

「原泉アートデイズ!」を立ち上げて5年。原泉全域に作品を点在させ、いつでもアートに触れ合えるアートパーク構想を思い描いている。
「立ち上げた時も、“DIYさ”を残しながら進むことで、いろんな方々の手を借りながら続けられました。常にワーク・イン・プログレスを見せているような、生き生きとしたアートパークを作りたいですね」。

拠点となる旧茶工場で、滞在中のアーティストのトークイベントの様子
2022年の5周年を記念してアニバーサリーブックを制作。5年間の全作品掲載の他、美術評論家の寄稿、羽鳥さんの思いが詰まった執筆文も紹介されている。

プロフィール

羽鳥 祐子 さん
群馬県生まれ。大学在学中に人と自然との関係性を研究。卒業後はグアテマラ共和国で環境教育の普及に尽力した。2018年より「原泉アートデイズ!」を開催。本業のグラフィックデザイン・企画の仕事を営む傍ら、年々アートプロジェクトの比重が大きくなってきている。2020年、原泉に本格的に移住。

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