人づくり 富づくり 総合情報誌ふじのくに

東京2020オリンピックのMTBコースを舞台に未来の自転車アスリート育成プロジェクトが始動

世界のトップアスリートが走った最高の環境でトレーニングできる

オリンピックのレガシーとして、日本サイクルスポーツセンター(伊豆市)を自転車選手の育成、スポーツ振興、地域交流の拠点とすべく、(一社)静岡県自転車競技連盟や地元市、関係団体と共にさまざまな取り組みを進めている。
この6月に第2期がスタートした「アスリートの卵」育成プロジェクトの練習風景をレポートする。

未来の自転車アスリート育成プロジェクトが始動

木々に囲まれ、芝生が広がる伊豆MTB(マウンテンバイク)コースに、小学4年生から6年生、今春卒業した中学生も加わった約20人が集合。ペダルに乗ってバランスを保つスタンディング、指定された位置で車輪を止めるスピードコントロールといった練習を繰り返し行う。

「楽しく自転車スキルを身に付けるのに、MTBは最適なんです」と説明するのは、静岡県自転車競技連盟の村松正之理事長。「誰もが楽しめる環境をつくることが最強の強化方法」をモットーに、子どもたちが自転車を楽しむことを何よりも大切にしている。「モチベーションは外から与えるものではありません。楽しいから成長できるし、長く続けられるんです。その上で、オリンピックを目指す子が現れたらうれしいですね」と目を細める。

自転車が豊かな人生を育む

指導するのは品川真寛(まさひろ)さん、古郡今日史(ふるこおりきよし)さん、山田将輝(まさき)さんの3人。品川さんはロードバイク選手として2004年に全日本選手権U23クラスで優勝。引退後は、小学5年生から始めていたMTBを再開し、2022年にMTB全日本選手権マスターズ40クラスで1位を獲得するなど、いまだスキルは衰えない。

「技術を習得することも大切ですが、ここでは他者と比較するのではなく、過去の自分の記録を超えられるかが重要です。また、学年も住んでいる場所も違う仲間や大人たちと出会うことでコミュニケーション能力を育み、豊かな人間に成長してもらえたらと思います」。そう話す品川さんの向こうでは、子どもたちが互いに教え合う姿を見ることができる。練習は3月まで続き、途中、合宿や競技会にも参加する予定だ。

今秋にはこの場所で、世界トップクラスの選手が集まるMTBの国際大会が開催される他、自転車を活用した健康増進イベントやレクリエーション、講習会なども予定。大会のポスターを地元高校生が手掛けるなど、新たな地域交流や地域の活性化にもつながっている。自転車を楽しむ人の裾野が広がることで、静岡県の「スポーツの聖地づくり」がさらに加速していくことだろう。

練習会の仕上げに1周800メートルほどのコースを走る。コーチや仲間からの声援が聞こえる

吉川 陽 君(小学6年 沼津市)

他の習い事は続かなかったけど、MTBはとても楽しくて今年で2年目。去年よりもできることが増え、県外の大会にも出場できるようになりました。

水田 海仁 君(小学6年 三島市)

お父さんの影響やオリンピックを見てMTBに興味を持ち、今年から参加しました。練習するほどうまくなるのを感じます。夢は全日本選手権で優勝すること!

サイクルスポーツの聖地実現に向けて

東京2020オリンピック・パラリンピックの自転車競技の開催を契機に、国内外のサイクリストの憧れを呼ぶ聖地“ふじのくに”実現のため、「競技振興」「サイクルツーリズム」「裾野拡大・安全」「走行空間整備」の四つの分野ごとに目標を定め、官民一体となって施策を推進している。

目指す姿

サイクリストの憧れを呼ぶ聖地“ふじのくに”の実現

聖地とは

国内外から多くのサイクリスト、自転車競技者が訪れ、交流する地域。住民の多くが自転車に親しみ、
サイクリストを理解し、温かくもてなす地域社会

競技振興

国際大会の開催など、自転車競技のアジア中心地への成長と、自転車アスリート育成体制の構築

裾野拡大・安全

ヘルメットの着用促進など、安全・快適に誰もが自転車に親しむ地域社会の形成

サイクルツーリズム

展示会での情報発信など、国際的なサイクルツーリズムの目的地創造

走行空間整備

矢羽根型路面表示の整備など、良好な自転車走行空間の形成

自転車トレーニングヴィレッジ構想

東京2020オリンピック・パラリンピックの自転車競技会場となった日本サイクルスポーツセンターを、サイクルスポーツの聖地実現の拠点として、エリート選手から初心者までが集う「自転車トレーニングヴィレッジ」とすることを掲げる。

Ⓒフォート・キシモト

パラスポーツ振興に向けて

ふじのくにパラスポーツ
推進コンソーシアム設立準備会発足
記念シンポジウム開催

パラスポーツのチカラで静岡を元気に! を合言葉に、多様性を受け入れ、生き生きと健康に暮らせる共生社会を目指して、官民連携の「ふじのくにパラスポーツ推進コンソーシアム」を、8月をめどに設立予定。6月23日には準備会発足を記念し、静岡市内でシンポジウムを開催。室伏広治スポーツ庁長官や日本パラリンピック委員会の河合純一委員長、パラサイクリングの藤井美穂選手らが出演。300人を超える参加者が集まった。

コンソーシアム会員募集中応募はこちらから

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