ふたを開け、ひとさじすくった瞬間に広がる柑橘（かんきつ）の爽やかな香り。マーマレードの良し悪しはフレッシュで濃厚な味わいや香り、透明度やしっかりとした食感で評価される。
ミカン農家の江南徳行（えなみのりゆき）さんが作るマーマレードは、本場である英国マーマレード世界大会で日本人初となる２度のダブルゴールドを受賞した。ふじのくに新商品セレクションに認定されたのは、沼津市戸田（へだ）のタチバナ、川根本町のユズ、浜松市浜名区の自園で取れたベルガモットを使ったマーマレードだ。
「県内産の知られざる柑橘類の魅力を掘り起こし、地元や県外の人に広く知ってほしい。それが私の使命」と語る江南さん。手に取り、いとおしそうに眺める果実はどれも個性豊か。マーマレード作りは、その柑橘の「らしさ」を見極め、良いところを濃縮して、不要なものを取り除き、バランスよくまとめていく作業だという。大量生産できない繊細な味わいが瓶に詰められる。

奥さまと2人でミカン農家を始めるまで、江南さんは自動車メーカーのシステムエンジニアだった。「世の中にないものを作り出すことの楽しさは、マーマレードも同じ」と目を輝かせる

農園では果実として出荷するミカンの他に、ジャムやマーマレード作りに必要なベルガモットやレモン、ラズベリー、ブルーベリーなどを栽培している

スルガエレガント、グリーンレモン、サマーオレンジなど、季節ごとに収穫できる柑橘で手作りする。多い時で15種類以上にもなる。購入は公式ウェブサイトから

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