しあわせに暮らせる地域づくり 総合情報誌ふじのくに
結婚、妊娠・出産、子育てまで、切れ目のない少子化対策を
2024(令和6)年9月
2024年6月、厚生労働省が発表した「令和5年人口動態統計(概数)」によると、静岡県の合計特殊出生率は1.25と過去最低を更新した。このような少子化の進行には、経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなど、さまざまな要因が絡み合っている。
こうした状況を踏まえ、県は、「しずおかマリッジ」の運営や不妊治療費の助成、男性育児休業取得応手当の創設などを通じて、結婚から妊娠・出産、子育てまで、切れ目のない少子化対策の取り組みを進めている。
「結婚」を希望する人たちを、市町・企業と連携して支援
少子化の要因の一つは、婚姻数の減少である。
その対策として、県は市町とともに、2022年4月から「ふじのくに出会いサポートセンター(しずおかマリッジ)」を運営している。センターでは、結婚を希望する人たちを対象にスマートフォン・パソコンを利用したマッチング、結婚相談や婚活セミナー、婚活イベントの開催などを通じて、多様なニーズに応じた出会い支援に取り組んでいる。
開設から2年経過し、会員数は1,000人を超え、成婚件数は45件(2024年3月末時点)となった。成婚した利用者からは、「県や市町が運営する公的な結婚支援サービスということで、とても安心して利用できました。また、非常に安価であることも申し込みする後押しとなりました。」など好評を得ている。
少子化の進行は、労働力人口の減少、市場の縮小など、地域の経済に深刻な影響を与える社会的な課題であり、行政・企業・県民などが一体となって、地域全体で対策に取り組んでいる。
例として、ふじのくに出会いサポートセンターの取り組みに賛同し、「応援宣言」を表明した県商工会議所では、結婚・婚活を通じて経済活動や後継者問題などの解決につなげるパネルディスカッションを開催。センターの会員登録の促進や婚活イベントの協賛などを行い、双方で連携を図っている。
市町の主体的な取り組みや地域企業と連携した結婚支援を強化するため、2023年度から県は、センターに「結婚支援コンシェルジュ」という専門スタッフを配置。コンシェルジュとともに市町の婚活イベントの企画サポート、婚活セミナーの講師派遣、企業・団体などへの会員獲得のための協力要請などを働き掛けている。
しずおかマリッジ
多くの団体や企業から連携イベントの相談をいただいています。
婚活は、少子化問題はもちろん、後継者問題・人口流出問題などさまざまな社会問題の解決につながると考えています。
まずはご相談ください。
しずおかマリッジ詳細はこちらから
安心して「妊娠・出産」できる環境づくり
県は、子どもを持ちたいと希望する方が経済的理由で選択肢を狭めることがないよう、2024年度から「不妊治療費(先進医療)の助成制度」を開始した。これは2022年度より国が保険適用対象に定めた、生殖補助医療(体外受精・顕微授精)と併用して実施される先進医療費用の一部を県独自に助成する制度だ。
また、妊娠・出産に関する正しい知識の普及啓発、不妊症や不育症に悩む夫婦の相談支援などにも取り組んでいる。
引き続き、安心して「妊娠・出産」できる環境づくりのために、県は市町とも連携してさまざまな取り組みを進めていく。
静岡県不妊治療費(先進医療)助成制度のご案内
詳しい助成条件はこちらから
男性が子育てに参画しやすい職場の拡大
2022年度の県内企業の育児休業取得率は、女性の88.0%に対して男性は27.8%だった。(下図参照)男性の取得率は前年度(21.8%)から6.0ポイント増加し、男女の差が縮まったが、それでも女性の3分1以下にとどまっている(静岡県経済産業部「令和5年度静岡県雇用管理状況調査」)。
県は、2024年度から「男性育児休業取得応援手当」制度を開始した。この制度は、男性の育児休業の取得を支援するために、中小企業等の男性社員が育休を取得する際に、県独自の支援金を支給し、雇用保険からの支給分と社会保険料の免除分と合わせて、育休中も「手取り実質10割」を維持するというものだ。
また、育休の取得率を高めるためには、経済的な支援だけでなく、企業の経営者や管理監督者の意識改革が欠かせない。
県は子育て中の社員がいきいきと働けるように、仕事と家庭の両立を支援する上司(イクボス)を養成するセミナーを開催し、子育てしやすい職場環境づくりを進めている。
セミナーなどを通じて、イクボス(子育てを支援する上司)の推進が企業の業績にもたらすさまざまな効果(採用・人材活用・業績向上など)についての事例を発信し、イクボスの普及啓発に努めています
申込みはこちらから
PICK UP! 職場ぐるみで、社員の子育てを応援
TOKAIグループは、「仕事と子育ての両立」を目指して、出産時の出産祝金制度、復職後の短時間勤務を小学校3年生修了まで利用可能など、それぞれフェーズに合わせた細やかな支援を行っています。利用している社員からは、「育児をしながらキャリアアップも実現できる」「子どもと向き合う時間をつくれた」といった声がありました。
制度面の充実とともに、社員が制度を利用しやすい職場づくりも欠かせません。当グループは、上司から社員に支援制度の利用を促すなど、職場ぐるみで子育てを応援する社内文化を構築しています。
子育て中の社員もいきいきと働ける組織をつくっていくこと。それが、企業の持続的な成長の基盤となり、収益力向上につながっていくと、私たちは考えています。