しあわせに暮らせる地域づくり 総合情報誌ふじのくに

世界を見据え、地域社会に貢献できるグローバル人材を育てる

2024(令和6)年10月

グローバル化の進展により、経済・産業・学術・文化などさまざまな分野で地域が直接世界とつながり影響しあう今の時代を生き抜くには、広い視野を持ち、異文化を理解するグローバルな視点が必要不可欠だ。
県はグローバルな視点と地域への関心を併せ持ち、国際社会や地域に貢献できる人材の育成を重点施策として掲げている。
施策の実現に向け取り組んでいるのが、「県立ふじのくに国際高等学校」と「ふじのくにグローバル人材育成事業」だ。

世界レベルの探究教育プログラムを導入 「ふじのくに国際高等学校」

2024年4月、島田市金谷に「ふじのくに国際高等学校」が開校した。設置場所は3月に閉校した金谷高校の校地である。少子化などの影響で生徒数が減り、県立高校の規模が縮小する中、金谷高校 (全日制)、藤枝東高校(定時制)、島田商業高校(定時制)の3校を再編。学校の在り方を一から見つめ直し、ふじのくに国際高校として新たに出発した。

同校では、生徒一人一人の価値観や学習スタイルを尊重し、多部制の定時制課程を設置。生徒自身が時間割や登下校の時間を決める「フレックスハイスクール」だ。制服がなく、 校則もシンプルで、アルバイトもOK。朝から夕方まで皆で一緒に学ぶ、従来の高校生活のイメージとはまったく異なる。与えられるのではなく、自ら選んで決める「自由」がある。そして「探究的な学び」と「国際バカロレア」の理念を生かしたカリキュラム作りを行い、グローバル人材の育成を目指している。

静岡県立ふじのくに国際高等学校
【学校所在地】島田市金谷根岸町35
【生徒数】93人
詳細は、学校ホームページへ

地域や企業と連携した探究的な学び

自ら課題を見いだし解決の道筋を探る探究的な学びを通して、これからの時代に必要とされる、課題発見・解決能力、自己表現能力、コミュニケーション能力を養うことを目指している。

地域や企業と連携した探究的な学びでは、例えば、地域の魅力発信プロジェクトとしてさまざまな分野の専門家を招き、その魅力や探究の面白さを講話してもらう。その後、グループで地域の商店や事業所などを取材して発表することで、興味関心の発見や他者との協働、社会の価値発見・創造に向かう姿勢を育む。

世界が注目する国際バカロレア教育

「国際バカロレア」とは、スイス・ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する教育プログラムだ。国際的な視野で行動するための能力を養うとともに、試験で一定以上のスコアを取ると、国内外の主要大学への入学が有利になる。同校では、2026年から「国際バカロレア」の教育を受けられるように、国際バカロレア機構との調整の下、教員の研修や施設整備などの準備を進めている。 認定された公立高校は国内に10校程度しかなく、導入が決定となれば県内の公立校では初となる。

自分らしさを尊重し、価値を認め合える安心安全な場を生徒と先生で築き上げていきたいです。探究的な学びと国際バカロレア教育が、生徒の心に灯をともすきっかけとなるはずです。社会と自分のつながりに気付き、自分の強みや魅力を自覚することで、自分の長所を社会にどう生かせるか、俯瞰(ふかん)できるようになると思います。そういった学びの姿勢を通常の授業にも波及させ、学校の文化につなげていきたいと考えています。

静岡県立ふじのくに国際高等学校
眺野 大輔 校長

ふじのくに国際高等学校 生徒の声 

「みんな違うからこそ自分らしくいられる」

自由な校風に魅かれて入学を決めました。制服が苦手だったので、服装が自由なことや、 時間割を自由に組めることも魅力的でした。私は将来、テレビ番組や動画配信など映像制作に関わる仕事がしたいので、午後は授業を入れず、映像制作の勉強をするなど、自分のための時間に使っています。学校生活は毎日が楽しい。自分と違う価値観を持っている子たちがいて、みんな違うからこそ面白いし、自分は自分でいていいと思えるようになりました。いつか自分が作った映像作品を世界に向けて発信したい。そのためにも苦手な英語を克服したいです。

時間割の各モデルはこちら

工藤 そらさん(1年生)

静岡の未来を創る高校生のための留学支援 「ふじのくにグローバル人材育成事業」

本事業は、グローバル人材育成や探究推進の取り組みの強化に向け、高校生の留学を支援する地域に助成を行う国の事業に本県が応募し、全国わずか3県のうちの1県として選定されたものだ。県内の産学官で構成する「ふじのくにグローバル人材育成事業」運営協議会が、それぞれの知見を生かし連携しながら、県内高校などに通う生徒の探究活動を伴う留学を支援。国際的視野を持って地域の発展に貢献できる人材の育成を目指している。

自ら社会に変革を起こし、静岡の未来を創るグローバル人材を目指す!そんな高校生のための留学支援制度。留学生は、地域や社会が抱える課題などに関するテーマを自ら設定し、自由な発想と想像力を持って、課題解決や社会貢献につながる探究を行う。
また、留学前に静岡県の魅力や課題について学び、留学先で本県の良さを発信するとともに、帰国後には留学の魅力や留学で得た体験を周りに伝える活動を行うなどのミッションが与えられる。

第1期となる2024年度は、選考の結果、51人の留学生が決定。静岡そして日本の代表として、欧米やアジア諸国など世界各国に飛び立っている。

ふじのくにグローバル人材育成事業の詳細はこちら

第1期派遣留学生壮行会を実施(2024年6月22日)

ふじのくにグローバル人材育成事業 留学生の体験談

「視野が広がり価値観が変わった!」

中学生の時から探究していたLGBTQ+(性的マイノリティ)について、理解をより深めるために、最もフレンドリーな国といわれるカナダのバンクーバーへ留学しました。語学学校の先生に話を聞いたり、街頭インタビューをしたり、いろいろなバックグラウンドを持つさまざまな人たちの考えに触れたりしたことで、視野が広がり、価値観が大きく変わりました。一つの目標にとらわれず、今をもっと自由に生きようと思えるようになりました。そして、自分を大切に思いやり、自分の個性をどうやって世界に表現していくかを考えなければいけないと気付かされました。

安田 こころさん
(県立静岡城北高等学校 3年生)

「ふじのくにグローバル人材育成事業」選べる四つのコース

国が定める三つのコースの他に、本県の特性を踏まえ、県内企業が求める人材や地域社会に貢献できる人材の育成を目指し、「ふじのくに地域探究コース」を設定している。(下図参照)

地域独自の「ふじのくに地域探究コース」
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「ふじのくに」担当宛

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