静岡で輝く人 総合情報誌ふじのくに
南雲 仁志さん/御前崎の太陽と海に包まれて 自分のペースで挑戦を続ける
2025(令和7)年1月
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夢の“先延ばし”はしない
30代半ばまで東京の出版業界で働いていた南雲(なぐも)仁志さん。出身は埼玉県。幼い頃から両親と共に家庭菜園で野菜を育てるのが好きで、当時から農業に親しみを感じていたそうです。「だから定年後はのんびり田舎で農業をやりたいと漠然と考えていました」。そんな遠い未来の夢が急に現実味を帯びたのは、時間に追われる多忙な毎日に体調を崩して入院生活を経験した時でした。入院中に食生活の大切さを痛感すると同時に、「人生はいつどうなるか分からない、やりたいことは先延ばしせずに今やってみよう」と農業への転職を決意しました。
そして仕事の傍ら農業経営や新規就農の情報を集め、どこの地域でどんな農業を展開したいのかイメージを固め、静岡県御前崎市へ。複数の候補地の中で静岡県を選んだのは、富士山や駿河湾の美しい自然景観はもとより、就農希望者への支援制度が手厚かったから。「栽培技術・農地・売り先、この三つのサポートがそろっていないと新規就農は難しいと思い、しっかり下調べをしました。イチゴ栽培に決めたのは、静岡県が全国有数の産地で安定した経営が見込めるのと、子どもから大人まで多くの人に愛されている農産物だからです」。
2019年に御前崎市に移住し、1年間の研修期間を経て2021年に『南雲苺園』を開業。かねてより「農業を通して地域に貢献したい」という思いから、障害のある人たちと共にイチゴの定植作業を行うなど、農福連携にも取り組んでいます。
そして就農1年目に初挑戦となる、「静岡県いちご果実品評会」で入賞したことが、農業を続ける上で大きな励みになったと言います。
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ミツバチもイチゴづくりのお手伝い
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今春には専業農家として5年目を迎えます。サラリーマンの頃との大きな違いは、「全て自分の裁量で仕事ができること。時期や天候に左右されることはありますが、自分で考え、判断して進められるところが農業の魅力です。失敗も全て自分に返ってきますが、成功した時の喜びは大きい。収入にも反映されるのでやりがいになります」と農業への転職に満足されている様子です。
先輩農家や新規就農の仲間、地域の方々のサポートのおかげで現在も楽しく農業を続けることができていると語る南雲さんは、地域への恩返しとして、自分と同じように御前崎市で新規就農を望む人をサポートしたい、子どもたちの食育活動にも貢献したいと、これからの夢を描いています。
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プロフィール
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南雲 仁志さん
南雲苺園 代表
埼玉県出身。大学卒業後、東京都内の出版業界で十数年働くも入院を機に、夢だった独立就農を決意する。2019年秋に御前崎市に移住。1年間の農業研修を経て、2021年春にイチゴ農家として農業経営をスタート。オフタイムは地元の神社巡りを楽しんでいる。ミステリー小説と猫が好き。
編集後記
車いすラグビーの若山選手、1年位前に取材した時は「次は銅ではなく金メダルを持って来れるように頑張ります」と決意を述べていました。その後、パリパラリンピックで見事に有言実行!目標達成に向けて努力した若山選手の姿勢を見習って、私も有言実行できる人になりたいです。(麻)
読者の声 第58号アンケートより
合理化の波で、路線バスの空白地帯や減便がわが市でもあります。ライドシェアがこれからの私たちの生活にどのような形で適するのか、とても興味があります。(富士市 H.Kさん)
道の駅で「海老芋」を初めて見かけて購入しました。SNSで検索してレシピを探したら、この広報誌の記事が目に入りました。海老芋の姿を動画で見られてとても良かったです!(富山県 N.Aさん)