県政セレクション 総合情報誌ふじのくに
インド・グジャラート州との友好協定を締結 経済や人材交流の新たな躍進へ
2025(令和7)年3月
全国に先駆けて、地域が主体となった地域外交を展開し続けている静岡県。
昨年、静岡県訪問団はインド・グジャラート州を訪問し、
本県にとって4カ所目となる友好協定を結んだ。
インド経済の成長力と本県が持つ場の力などを掛け合わせ、
相互の課題を解決し、発展に向けて共に歩んでいく。

独自に展開・深化する静岡県の「地域外交」
本県が目指す地域外交は、「世界で輝く」「世界とつながる」「世界から選ばれる」の三つを柱とする。より実効性のある地域外交を展開するために、中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジア・インド、米国の6カ国・地域を重点国・地域に位置付け、独自の戦略で交流している。
①「世界で輝く」では、韓国、モンゴル、台湾との高校生交流事業など次世代の国際交流を担う若者を育む事業や、静岡県のブランド力・文化力の強化に取り組んでいる。
②「世界とつながる」では、海外との連携による経済発展を目指し、観光誘客、富士山静岡空港の海外路線の充実、県産品の輸出拡大などに取り組む。
③「世界から選ばれる」では、留学生や外国人材、外資系企業など海外の活力を取り込む事業を展開。多くの県内企業が人手不足に直面する中、県は外国人材と県内企業とのマッチング支援に力を入れている。
友好協定や覚書を交わし、新たな交流の第一歩へ
地域外交基本方針の重点国の一つであるインドは、14億人超という世界最大の人口を抱え、約半数が30歳以下でITや技術・科学分野の大卒者数が世界トップクラス。急速な経済成長を続けており、世界第5位の経済規模を誇る。グジャラート州はインド国内で最も工業化が進み、本県が強みとする自動車や医薬品製造などの産業が発展している。県内企業も進出し、優秀な人材の採用も見込まれることから、グジャラート州を中心にインドの活力を取り込み、本県の活性化につなげたいと考えている。
昨年12月、鈴木知事は、グジャラート州政府やグジャラート大学などを訪問した。最も注目を集めたのが友好協定の締結だ。知事は、州都ガンディナガルでブペンドラ・パテル州首相と面会。経済面での交流に加え、教育や観光、文化など幅広い分野での連携を盛り込んだ友好協定書を交わし、「長い歴史を経てグジャラート州と友好協定を結ぶことができた。これから幅広い分野で交流を深め、未来に向けて共に歩みたい」と意気込みを語った。パテル州首相も、「グジャラート州は日本と歴史的、経済的、文化的につながりが深い。友好関係が双方の発展につながると信じている」と歓迎した。本県が友好協定を締結した海外の自治体は、中国・浙江省、モンゴル・ドルノゴビ県、韓国・忠清南道(読み方:チュンチョンナムド)に続く4カ所目となった。
さらに、州立大学であるグジャラート大学と覚書を調印した。同校はグジャラート州最古の大学で、インド教育省が発表する「インド大学ランキング」で上位100位に入る優秀な総合大学だ。スタートアップ支援に力を入れており、アイデア段階から製品化まで起業家へのサポートプログラムが充実している。また、2024年に外国語学部を開設し、日本語コースを設置したところである。学生と県内企業とのマッチングやスタートアップ支援の取り組みで連携するため、経済産業分野での協力に関する覚書を結んだ。


加えて、現地関係者との幅広い人脈を築くため、ネットワーク構築会「静岡とグジャラートをつなぐ」を開催。州政府や現地経済界、インドに進出する県内企業の幹部など総勢約60人が出席し、訪問団との親交を深めた。知事は、「今回、グジャラート州と友好協定を締結した。これは交流の第一歩であり、今日をスタートラインとして交流を深めたい。皆さんにも協力をお願いしたい」と呼びかけた。


この他、知事はスズキ株式会社の四輪生産会社であるスズキ・モーター・グジャラート社、13万人を収容する世界最大級のナレンドラ・モディ・スタジアムや高速鉄道駅建設現場など、10カ所を精力的に訪問した。

経済を軸に幅広く交流し、世界で存在感のある静岡県へ
今回の訪印では、グジャラート州との友好協定締結、グジャラート大学との覚書調印など、両地域の交流促進に向けた大きな成果を挙げることができた。また、現地関係者とのネットワークも構築した。 今後は、IT分野をはじめとするインド人材と県内企業とのマッチング、インドのスタートアップと県内企業とのコラボレーション、県内企業のインド進出などを視野に取り組み、人口減少や少子高齢化に伴って鈍化している県内経済を活性化していく。
友好協定に基づく事業は経済、教育、観光、文化などと多岐にわたる。教育機関や民間団体にも交流を広げ、県民一人一人が参加し、世界で存在感のある静岡県を目指していく。
インド・グジャラート州の紹介

概要
インド西端の州で人口約6,000万人(2011年インド国勢調査結果)。最大都市はアーメダバード。インド建国の父マハトマ・ガンディーや現インド首相ナレンドラ・モディ氏の出身州。州首相はブペンドラ・パテル氏(2021年~)。


経済
工業生産高・輸出額はインド全州で最高。アーメダバード~ムンバイを結ぶインド初の高速鉄道を建設中。医薬品製造のシェアは33%を占め国内1位。スズキのインド拠点の一つ「スズキ・モーター・グジャラート」があり、県内企業も多く進出。

食・文化
インド国内の約8割、グジャラート州内の約9割を占めるヒンドゥー教徒は基本的に牛肉を食さない。加えてグジャラート州はベジタリアンが多く、州民の約6割を占める。禁酒法が適用されており公共の場での飲酒が禁じられているため、基本的に酒類を提供するレストランなどは存在しない。アーメダバード旧市街は「アフマダバードの歴史都市」として世界文化遺産に登録されている(2017年)。名物料理はグジャラート・ターリ(定食)。
「インターナショナル・カイト・フェスティバル(国際たこ揚げ大会)」が毎年開催され、世界中のたこ愛好家が集う。
