フカボリ
人々を癒やす森林。木材に生まれ変わり、さらにパワーアップ!?
2023年9月28日
木でできている建物ってなぜか落ち着きますよね。木でできた家具にウッドデッキ。深呼吸をするとほんのりと木の香りがする。将来はそんな家に住みたいな~と思っている広聴広報課の職員が、金融機関では珍しい木造で建てられた静清信用金庫の店舗をフカボリます。
県民だより10月号の2面では、静岡県の木材を使うことの意義を特集しているので、ぜひそちらもご覧ください。
→県民だより令和5年10月号(10月1日公開予定)
目次
1.金融機関なのに木造・・・?
観光地などまちの景観を守るために木造など街並みになじんだデザインのコンビニエンスストア。最近よく見かけますよね。その他、カフェなどでも木造の建物はよく見かけるけれど、木造の金融機関・・・。あまりイメージがわきません。なんと、全国でも珍しい木造の信用金庫がこの静岡県にあるんです!
清水区の下野・高部地区。豊かな自然と便利な交通がある閑静な住宅街が広がります。この地区にある静清信用金庫の下野/高部支店。令和2年にリニューアルオープンし、静岡県産の木材を40%使用した建物に生まれ変わりました。環境に優しい木造づくりで「日本家屋」をイメージしているそうです。
県は、県産材を効果的に使用し、模範となるような優れた施設を「ふじのくに木使い建築施設」として表彰していますが、静清信用金庫の下野/高部支店も令和4年度に受賞しました。
そんな優れた店舗について、木造で建てられた背景を知ってみたくなり、下野/高部支店の職員さんにいろいろと教えてもらいました。
-なぜ木材を使用したのでしょうか?-
当初は、従来通り鉄骨造りを予定していましたが、「せいしんSDGs宣言」をして、一般的にもSDGsに対する意識が高くなってきた時期に、木造建築がフォーカスされ始めたことから、当庫としてもSDGsにマッチしていると考えました。
2.建物の秘密を解き明かす!
-設計などはスムーズに行きましたか?-
他の店舗は鉄骨造りが主体であったので、まさに手探り状態で、各方面からさまざまな情報収集を行いました。特に金融機関店舗で木造は珍しいので苦労しました。
鉄骨であればある程度の空間確保が可能ですが、木造で柱のない大空間(ロビーから営業室)を確保するのに、構造計算や桁組等が大変でした。
「支点桁(してんけた)トラス」という建築技法を採用して、柱のない広い空間を作り出したそう。建築技法については○○構造と言われても???な筆者ですが、ロビーも営業室も遮るものがない大きな空間が広がっているのがわかります。天井にある長い木の柱が何本も配置されているのが印象的です。
-ココはこだわったという所はありますか?-
店舗正面に設置されているルーバー(羽板)です。これは、直射日光を和らげる効果があります。
また、木造建築にふさわしい備品ということで、応接室のテーブルや椅子にもこだわりました。
畳の椅子も特注なんです。
以前他店で購入して好評を得ていたことから、新店舗でも導入ました。畳部分が蓋になっていて、中に物を入れられる構造です。ロビーとATMコーナーに配置しています。
畳が使われている椅子はあまり見たことがなかったのですが、畳ってなんかほっとする感じがしますよね。畳のにおいでしょうか。
3.お客さんや働く職員の反応はいかに!
-新店舗になってお客さんの反応はどうですか?-
来店されたお客さんからも以下のような好評価をいただいています。
・木の香りがして気持ちよい
・木のぬくもりが感じられる
・天井が高く梁(はり)も立派
・落ち着いた雰囲気で良い
・おしゃれなカフェのようで入りやすい
・金融機関らしくなくて利用しやすい
※梁:屋根などの重さを支えるため柱などを支点として水平に渡す構造部材のこと
-働く職員の方の声はどうですか?-
職員からも気の香りやぬくもりを感じ、仕事がしやすいという声が多いです。
・天井が高くて開放感があり、気持ちよく仕事ができる
・木の香りやぬくもりを感じ、落ち着いた雰囲気で仕事ができる
・おしゃれな雰囲気で自慢できる
・どの年代でも仕事がしやすい
・地域のランドマークとなり、お客様に説明しやすい
・他の金融機関との差別化がはかられる
なんだか私も、木造の建物で働きたくなってきました。
遠い外国から持ってきた木ではなく、静岡の木が使われていると思うと、より親近感もわくし、ほっとしますよね。
4.これからの展望は?
現時点で課題になっていることはないですが、今後は外観の色あせなどが懸念されます。今後定期的にメンテナンスをして対策をしていくつもりです。
さらに、他の店舗でもリニューアルや移転を控えており、その地域に寄り添った魅力ある店舗造りを目指していく中で、地域の歴史や特性、雰囲気、環境への配慮等の観点から、今後も木造を視野に入れていきたいと思っています。
今、考えること
今までなんとなく見ていた木製のもの。周りを見渡すと棚や柱など木材が使われているものがいくつか見つかります。皆さんの部屋にあるインテリアなどにも木材でできているものがあるのではないでしょうか。これもどこかで育った木を誰かが切って、運んで、加工してできていると思うとなんだか愛おしく思えてきませんか?
森林浴というように、森林自体も人を癒す効果がありますが、切られた木も素晴らしい木材に生まれ変わり、私たちに癒しを与える建物になっているんですね。
近所を歩きながら、あるいは旅先で、素敵な木造の店舗をめぐってみるのも楽しいかもしれません。
―――↓問い合わせ――――――――――――――
県広聴広報課 ☎054(221)2231