フカボリ

めざすは世界大会の誘致!フェンシングを通した交流拠点 F3 BASE

2024年11月11日

 みなさんこんにちは!メディアチャンネル特派員の藤井です。今回は、静岡県沼津市にあるF3 BASE(読み:エフスリーベース)というフェンシングの施設をフカボリします。F3 BASEを取材したいと思ったのは、今夏パリで開催されたオリンピックで、フェンシングの試合に熱狂したことがきっかけ。TVのニュースで県内に日本代表選手の合宿施設があるということを知り、どんな施設なのだろう、と興味を持ち取材をさせていただきました。

 今回、お話を伺ったのは、沼津市職員の長良さん。岐阜県出身の長良さんはフェンシング・サーブルの選手としてシドニー、アテネの2大会オリンピックに出場、その後、国内外のさまざまなチームでのコーチを経て、現在は沼津市役所の職員として「スポーツを通したまちづくり」に携わっています。長良さんが沼津市職員として働くきっかけになったのは、トップ選手の育つ環境づくりや沼津市のフェンシングを象徴する世界レベルの選手輩出、裾野の拡大など、フェンシングを通したまちづくりを推進するためだそう。

▲沼津駅北口ロータリーからすぐ見えるF3 BASE(ショッピングモールBiVi沼津 3階)

目次

1.F3 BASEってどんな施設なの?

2.地域とのつながり

3.今後の展望・フェンシング普及への想い

1.F3 BASEってどんな施設なの?

 みなさんは、F3 BASEの名前の由来をご存じでしょうか。フルーレ、エペ、サーブルという3種目あるフェンシングの競技数と「F」から始まる3つの単語、「Fencing」、「Friendship」、「Fitness」を掛け合わせ、“Fencingを通じて交流を深め、健康的な心や体を育むことができる施設”となるように、という願いを込めて、F3 BASEと名付けられたそうです。

 F3 BASEのグランドオープンは2021年6月ですが、施設の整備が始まったのはその2年前の2019年。当時、沼津市は2020東京オリンピック・パラリンピック競技種目の事前合宿先の誘致を目指していました。調整をしていた競技団体の一つにフェンシングがあり、沼津市長と日本フェンシング協会の太田会長との会談をきっかけとして話が進み、「フェンシングによる街づくり」に向けた整備が始まりました。オリンピックや全日本選手権などに向け、東京一極集中の強化ではなく、沼津という地方都市に拠点を置くことで、選手の強化に加えて競技の普及・発展を目指しています。

 F3 BASEは沼津駅北口から徒歩5分の好立地にあり、毎日アスルクラロフェンシングアカデミーの練習、毎週日曜日は県協会による強化練習会で利用されているそうです。大学の長期休みシーズンでは全国各地の大学の合宿に利用され、また一般の方でフェンシングを初めて習いたい人向けの教室開催などといった利用がされています。

 F3BASEでは6面のピスト(フェンシング競技台)に加え、奥にはトレーニングルーム、ミーティングルームといった設備を備えています。練習試合の様子を録画できる最新の設備も導入しており、選手の動きを分析し、さらなる強化につなげているそうです。

▲F3 BASEの充実した練習施設

 最近は、習い事としてフェンシング教室へ通う小学生も増えてきたそうです。長良さんは、子どもたちを教える際、もともとの施設の硬いコンクリートの床(写真青色)では練習時に体に負担がかかるという点に着目し、ピスト(フェンシングの競技台)(写真銀色)の下に体操競技用のマット(写真白色と緑色)を敷いていると話してくれました。この柔らかい床は、日本代表の合宿でも、ケガが少ないと評価されているそうです。

▲ピストの下の写真(銀色はピスト、白色と緑色は体操用マット、青色はコンクリート床)

 入り口付近にはオリンピック選手たちのサイン、寄贈されたユニフォーム類なども展示されていました。(コロナ禍前は一般の方が展示物を見ることができましたが、コロナ禍以降、感染予防の観点から、一般の人の入場ができなくなっているそうです。将来的には一般の人が入場できるように検討中だそうです。)

▲F3 BASE入り口に展示される選手のユニフォーム(宇野選手)マスク・シューズ(見延選手)、グローブ(加納選手)、バッグ(山田選手)

2.地域とのつながり

F3BASEオープンから3年が経ちました。オープンから今までの変化やフェンシング普及に向けての想いを伺いました。ここからは質問とその回答を順番に紹介していきます。

質問)F3 BASEを沼津市に作ったことで生まれた効果をどのように感じていますか?

長良さん)駅前の好立地を生かした合宿・大会の誘致促進に加え、市民へ効果的にプロモーションができていると感じています。また、F3 BASEを管理・運営する「フェンシングのまち沼津推進協議会」と沼津市が連携して市民へとフェンシングを普及させていくことは、スポーツにおける官民連携の良いロールモデルになるのではないかと思います。

質問)実際に利用されている方・日本代表選手からはどんな声が上がっているのでしょうか。

長良さん)日本代表選手の合宿でF3 BASEにあってよかったものとして、ビデオシステム、トレーニング器具、フェンシング道具、洗濯機があるところが評価されているほか、床が柔らかいため怪我が少ないとの意見があります。また、一般向けのフェンシング教室参加者からは、教室への感想として、思ったより動きがハードで驚いた、こんなに汗をかくイメージなかったなど、イメージとのギャップに驚きつつも楽しかったと感想をもらっています。

質問)フェンシングの大会や合宿誘致は、どのようにして行っているのでしょうか。

長良さん)フェンシングの大会誘致については、県フェンシング協会とタッグを組んで取り組んでいます。合宿誘致については、官民連携のフェンシングのまち沼津推進協議会で相談を受け付けています。

質問)大会や合宿誘致にあたり、ライバルとなる自治体はあるのでしょうか。

長良さん)F3 BASEは、施設のできた2020年当初は国内で最大規模の練習施設でした。しかし今は、宮城県仙台市にF3BASEと同じくらいの規模の練習施設が作られました。また、宮城県の気仙沼市では廃校を利用しフェンシング場が作られています。

▲取材中の写真(右:長良さん、左:特派員)

質問)沼津市でフェンシングを広めるためにしている活動を教えてください。

長良さん)沼津市の学校でキャリア教育として夢を追うことの啓発活動等を行っています。また、地域の祭りで子ども向けの(※)スマートフェンシングの企画を行い、フェンシングへの認知・普及活動を進めています。

(※)スマートフェンシング:誰でも安全にどこでもできるフェンシング。スポンジの剣の先にセンサーがついており、エプロン型の有効面を突くとポイントが入ったことがタブレットでわかり、勝敗が決まる。主に子ども向けの普及活動に利用されている。

質問)平成30年と比べて沼津市小中学生の競技人口が2.5倍に増加したそうですが、それに伴い、指導者も増加しているのでしょうか?

長良さん)いいえ、そうではないのです。フェンシングの裾野を広げることで、受け皿となる指導者が不足しているという課題があります。フェンシング指導者の担い手への支援、また、スマートフェンシング指導者講習を開くことなどを今行っている最中です。

質問)沼津市のフェンシングへの熱量や盛り上がり感はどのように感じられますか。

長良さん)沼津市では令和5年、令和6年に全日本フェンシング選手権大会が開催されるなど熱量は高いと感じています。さらにパリオリンピックのメダルラッシュによって大きく盛り上がっていると認識しています。

3.今後の展望・フェンシング普及への想い

最後に、F3 BASEおよび沼津市のフェンシング普及活動について、今後の展望やフェンシング普及への想いを伺いました。

長良さん)「今後の夢は、世界規模の大会をキラメッセぬまづや香陵アリーナ(沼津市総合体育館)に誘致を行うことです。また将来、(F3 BASEで練習を積んだ)沼津市出身の選手たちが活躍していく姿を、地元沼津市の人たちや、生涯スポーツとして楽しむ人たちに見てもらいたいです。さらに、市民の身近なスポーツとして普及を進めていきます。」

ー取材を終えてー

取材を通し、F3BASEは選手のために常に変化している施設だと感じました。例えば、床を柔らかくし選手のケガを防ぐこと、また練習のためのビデオシステムを導入したことなどです。今後、沼津市のキラメッセぬまづや香陵アリーナ(沼津市総合体育館)等で開催されるフェンシングの大会に行ってみたいと思いました。長良さん、沢山の質問に答えていただき、誠にありがとうございました。

F3 BASE 

ウェブページURL  https://www.city.numazu.shizuoka.jp/fencing/base/index.htm

施設住所 沼津市大手町1-1-5 BiVi沼津3階

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―――問い合わせ―――――――
県広聴広報課 電話054(221)2231 FAX054(254)4032

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