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静岡における演劇とは?SHIZUOKAせかい演劇祭2026に行ってきました

2026年6月22日

皆さんこんにちは。学生特派員の長瀬です。

皆さんは、「SHIZUOKAせかい演劇祭」をご存じでしょうか?4月25日から5月6日に開催されたSHIZUOKAせかい演劇祭2026にお邪魔してきました。そして今回はSPAC(公益財団法人静岡県舞台芸術センター)専務理事渋谷浩史さんにお話を伺いました。

この記事では、どうして静岡にSPACがあるのか、どうしてSHIZUOKAせかい演劇祭が世界に重きをおいているのか。

そんな静岡における演劇の謎が少し分かるかもしれません。ぜひ、演劇に興味をお持ちの方も、そうでない方も読んでみてください。

目次

1.静岡におけるSPACとは
2.SHIZUOKAせかい演劇
3.ストレンジシード静岡2026
4.将来の静岡における演劇
5.まとめ

1.静岡におけるSPACとは

皆さんはSPACをご存知でしょうか。静岡県民の皆さんには、中高校生の時に学校行事で観劇された方も多いと思います。そんな私たちの身近にあるSPAC。改めてSPACの魅力や真価を深掘りしていきます。

SPACのここが凄い① 質の高く、世界的に評価を受ける世界観

SPACの作品には、海外の名作とされる演目を日本独自の文化や舞台、世界観に落とし込んだ演出が多くあります。海外の方がよく知る題材がまた違った世界観で上演される、神秘的であり現実世界とはちがう幻想的な世界で登場人物がいきる、そんな新鮮さが世界を感嘆させ、高い評価を受けています。

SPACのここが凄い② 世界でも引っ張りだこのSPAC

SPACは世界的なアビニョン演劇祭で活躍し、2017年には「演劇界の金メダル」と称される同演劇祭のオープニングを務めました。そして、SPACの作品は世界各国から多くの招待を受け海外公演を行ってきました。現在、世界から招待される日本の劇団の中でSPACは随一です。

SPACのここが凄い③ 日本で有数!専用劇場を持つ劇団

SPACは、日本国内では珍しく公共劇場を専用で使用しています。日本では皆さんもご存知のような宝塚歌劇団や劇団四季などの大きな劇団は自ら劇場を所持していますが、それ以外の劇団では大変珍しいことです。専用の劇場を持っていることが、SPACの世界的な評価を支えています。

SPAC創設のはじまり

以上のように改めて見ても多くの魅力があるSPAC。そんな絶大な実力をもつSPACですが、なぜ静岡にSPACがあるのでしょうか。

SPACは、当時の県知事である斎藤知事が「もっと静岡県を全国、全世界にアピールするにはどうしたらよいのか」という問いから始まりました。そんな問いを渡された当時の県の総務部長は、政治や経済だけでなく文化の振興が必要だと考え、世界に名を馳せる演出家・鈴木忠志氏に意見を求めたのです。「日本のほとんどの自治体には公共ホールがあるが、文化会館とは名ばかり、単なる貸し施設である。地方が本当の舞台芸術を軸とした文化振興をするなら、本格的な専門劇場をつくる必要がある。」そうした鈴木忠志氏の意見を聞いた静岡県は、県を挙げて舞台芸術を軸とした文化振興に繰り出しました。

そして創設されたのがSPACでした。

このように多くの芸術人が、静岡県を全国、全世界に発信したいという思いに向かってSPACは作られました。SPACはさまざまな思いが体現された劇団だと考えられます。県の文化振興基本計画では重点施策として「世界に輝くしずおかの文化芸術の創造」を位置づけ、SPACの世界的な活動を柱としています。SPACは、静岡の文化芸術を世界に発信するため、芸術性の高い演劇を創造し続けています。静岡県の存在感を世界に示すためには、世界的にも認められる芸術性の高さと世界を感嘆させる新鮮さがきっと必要だったはずです。そんな奇跡が重なりあって、今のSPACがあるといえるでしょう。

SPACの作品の特徴とは

現在、エンタメ性が高いミュージカル、芸術性が高い伝統芸能など幅広い作品が混在しています。SPACはどこに位置づけられるのでしょうか。

先程も述べた通り、SPACでは神話や名作を元にした作品が演じられており芸術性が高いです。そのため、内容について知識を必要とする可能性があります。そして日本の芸能的特徴を併せ持つため、独自の世界観を持ち解釈を観客に委ねる作品が多いとされます。

2.SHIZUOKAせかい演劇祭

SHIZUOKAせかい演劇祭は例年4月~5月のGWの時期に、静岡芸術劇場、静岡県舞台芸術公園、駿府城公園等で開催されています。今年のSHIZUOKAせかい演劇祭は4月25日から5月6日に行われました。社会の姿を映し私たちに問いかけてくるような作品、自分の可能性や視野を広げてくれる作品など多彩な「せかい」をみせる作品が静岡に集結しましたが、私は今回、シンガポールの劇団作品「マライの虎―ハリマオ」を観劇してきました。今回の観劇を通じて、観劇をより楽しむためのポイントと作品の感想についてご紹介します。

あらすじ

1943年、戦時中の日本で制作された同名のプロパガンダ映画をリメイクしようとシンガポールと日本の俳優が議論と試行錯誤を重ねて“演じ直すプロセス”を描いた、鋭くもコミカルな演劇作品。出自や言語、立場の違いがぶつかる瞬間を、劇作家アルフィン・サアットが軽やかな笑いに変換し、歴史や政治をめぐる多層的な問題を浮かびあがらせる。(パンフレットより)

観劇ポイント① プレトークは絶対聞くべし

この作品は、1943年のプロパガンダ映画をリメイクするというストーリーのため、その映画の内容を事前に知った上で観劇すると理解が深まる作品でした。ただ、私はこの同名のプロパガンダ映画を見たことがなかったため、作品内で内容を予測しながらの観劇になると思いました。しかし、観劇前にプレトークがあり、観劇に必要な知識

や舞台になった時代や歴史背景など(この場合だと同名のプロパガンダ映画のあらすじなど)を説明していただけたため、すんなりと演劇の世界に入り込むことができました。

観劇ポイント② 舞台装置を確認すべし

舞台装置では、日本語字幕以外にも英語字幕などがあり、世界中の観客が誰でも楽しめる工夫が多く施されていました。観劇前に、舞台の様子や舞台装置をよく観察しておくと、物語が進んでいく中で「この装置はここに使うのか」と納得できたり、演者の動き一つ一つを集中して追えたりできるのでおすすめです。

観劇ポイント③ パンフレットを見るべし

パンフレットには、観劇ポイント①と同様、知っておいたほうがいい内容や演者が見てほしいポイントなどが書かれている場合が多いです。パンフレットを事前に読むと物語がこれから発展する中でポイントになる場面が予習できるため、どんな物語なのか知りたい方におすすめです。一方で「いきあたりばったりで物語を追いかけたい!」という方は観劇後に読むのがおすすめです。自分が気になった場面・セリフなどの謎が解明したり、奥が深まったりするはずです。

―観劇してー

この作品は、戦時中に上映された映画をリメイクする中で、登場人物が自分の演技に葛藤する様子が描かれているため、観劇前は理解するのが難しいかもしれないと思っていましたが、たびたびコメディー要素が含まれ、難しいテーマの中でも観客席からの笑いが起こり、とても飽きの来ない作品でした。初対面の外国人との微妙な距離感やどこがタブーか分からない中を探りながら話し合う様子、一度やってみようと喧嘩に仲裁に入る様子など、とにかく目の前のリアルな世界に目が離せませんでした。

登場人物を演じていく中で、その人の人柄を考慮した言葉遣いや行動に変化が見られ、映画の演技とは次第に離れていく様子がありました。その様子から歴史の伝え方の違いを感じ、その人を演じた先にある物事の感じ方が多様であることに気づかされ、演劇の素晴らしさを感じました。

3.ストレンジシード静岡2026

5月3日から5日までの3日間は、「ストレンジシード静岡2026」が開催されました。これは、「ストリートシアターフェス」とも呼ばれるもので、静岡市役所周辺と駿府城公園が劇場となり、さまざまなパフォーマーが独自の感性で作品を展開していました。多彩なパフォーマンスが各所で行われているため、何を見て、何を感じるかも観客次第…。まさに作品のバイキングです。ここでは、おすすめの楽しみ方と今回観劇して印象深かった作品をご紹介します。

観劇ポイント

このイベントは、同じ時間に多くの場所で作品が上演されているため、観劇の計画を立てることが重要です。開催場所の距離や時間を確認し、自分が観たい作品を効率よく巡ることで、多くの作品と出会えます。もちろん成り行き任せでも大丈夫。自分の感性に従って、さまざまな作品の世界観を感じてみることができました。そして、このストレンジシードは観劇無料の作品を多く含まれてるため、ふらっと気軽にパフォーマンスを楽しむことが可能でした。

▲タイムテーブルをチェック
▲付箋を貼ってわかりやすく

また、ストレンジシードとSHIZUOKAせかい演劇祭の作品には「鑑賞あんしんシート」が用意されています。ネタバレを含む場合もありますが、苦手な描写やテーマがあるなど不安な方もこちらを事前に確認すれば無理なく観劇できます。

▲鑑賞あんしんシート

印象的なイベント 作品『ベンチ』ゼロコ

あらすじ:セリフのないパフォーマンスで、ベンチを舞台に生まれる物語

街角にたたずむ1つのベンチを舞台に、偶然居合わせた人々とその場で起こる出来事を拾いながら繰り広げられる、セリフのないパフォーマンスです。

交流の中で物語が生まれ、

見慣れた世界がほんの少しだけ違って見える、

そんなひとときをお届けします。(パンフレットより)

―観劇してー

この作品は、いつも見慣れた駿府城公園の一角から演者によりさまざまな世界が繰り広げられました。観客を巻き込む演出が多く、客席と演者の一体感が生まれ、たびたび笑いが起こる面白い空間でした。また言葉にとらわれない作品のため、外国籍の方やお子様でも直感的に世界観を感じやすいと思います。舞台袖もなく、舞台と普段の生活圏の境界があいまいなため、起こるハプニングや人の笑い声、鳥の鳴き声などすべてが舞台装置になっておりより引き込まれました。

▲何の変哲もない景色
▲さまざまな世界が広がる
▲演者が登場する

4.将来の静岡における演劇

今回、インタビューさせていただきましたSPAC渋谷専務理事に観劇の魅力と今後の静岡における演劇の展望を聞いてみました。

観劇の魅力

演劇は、生身の俳優が3Dの現実として舞台に現れ、小さな別世界が目の前に広がります。時間の経過も忘れて没頭し、五感すべてで演劇を楽しむことができます。セリフ、身体表現、音楽、舞台、美術、照明、空間アートが詰まった世界、それが演劇が総合芸術といわれるゆえんです。演劇は舞台となる世界が目の前に広がり、その時代や場所に行くことができます。演劇の背景知識を持って別世界に行くことでイマーシブ(没入感のある)に観劇できます。

舞台芸術は舞台上のエネルギー集合体であり、客席に向かってエネルギーを放出しています。それを浴びることで何かの力を与えてくれることでしょう。

SPACの目指す静岡の姿とは

SPACはより県民の身近に、より国内外の注目を集め、より県全体が豊かになるために、多くの活動を構築し広げています。目指す姿は音楽の都、ウィーン。演劇の都として名を広げ、国内外から人が集まり、演劇人が育っていく。そんな静岡から世界への演劇の広がりを目指しています。

そのため、皆さんに演劇の世界や魅力を知ってもらうためSHIZUOKAせかい演劇祭の開催や、演劇を活用し教育に貢献するため中高生鑑賞事業などを行っています。また、高度な演劇人材育成のため演劇アカデミーを運営し、清水南高校芸術科演劇専攻を全面支援するなど全国でも類を見ない育成事業を行っています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

5.まとめ

このように、静岡には演劇を通して世界とつながる場、自分に別世界を見せてくれる機会が多くあることが分かりました。観劇は敷居が高い、あるいは少しハードルが高いと思う方も少なくありません。しかし、私たちは演劇に囲まれています。演劇は日常のスパイスとして私たちの生活に彩りを与えてくれるはずです。この記事が、皆さんが演劇の世界に入り込むきっかけになったらうれしいです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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