フカボリ

進んでいます!「農福連携」 共に歩む社会のために

2023年3月24日

「農福連携」をご存じですか?

農福連携とは、障害のある人が農業分野で活躍することにより、農業の現場における貴重な働き手になることが期待されると同時に、福祉の視点からは働く場の確保や工賃の向上などが期待される取り組みです。

県民だより令和5年4月号では、農福連携に取り組んで成功した農家と福祉事業所を取材しました。

紙面に載せきれなかった情報をこちらでご紹介します。

県民だより4月号の紙面の内容も併せてご覧ください。

県民だより令和5年4月号はこちらからhttps://www.pref.shizuoka.jp/kensei/pr/johoshi/kenmin/1052649/1052664/index.html

ひらまつファームとスマイルベリーの皆さん

目次

1 「ひらまつファーム」平松輝彦さんに聞きました

2 「スマイルベリー」豊田一朗さんに聞きました

3 農福連携を成功させるためには

1 「ひらまつファーム」平松輝彦さんに聞きました

「ひらまつファーム」 代表 平松 輝彦 さん

ーーひらまつファームさんとスマイルベリーさんで農福連携を開始したきっかけを教えてください

きっかけは人手不足です。夫婦2人では手が回らず売り上げも伸び悩み困っていたところ、西部農林事務所から農福連携の話を伺いました。

まず農福連携コーディネーター(農福連携技術支援者)に間に入ってもらい、どんな作業をお願いしたらよいか、またそれはいくらなのか(作業分解・工賃)など細かく設定しました。

それをもとにオールしずおかベストコミュニティを通じて県内の福祉事業所に向け公募を出し、スマイルベリーさんと複数の事業所が応募してきてくれました。

中でもスマイルベリーさんからは多くの利用者さんが来てくださって、私たちのことを信頼してくださっていると感じ嬉しかったです。今では二カ所の福祉事業所に作業委託しています。

※1 利用者・・・福祉事業所を利用する障害のある方たち

ーー農福連携を始めて良かったことは?

夫婦2人ですと、葉かき・収穫作業などが重なってもすべてに関与しなければならず、全体の作業が遅れ、収穫量や農産物の品質の確保ができない事態となっていました。

しかし、一つだけでもお任せできる作業があると、仕事の流れが変わってスムーズになります。 

また、作業をお願いすることは、事前にスケジューリングすることに繋がります。

これまで人手が足りなくて後回しにしてしまっていた作業も、スケジューリング通りに作業してもらえるようになり生育にも良い影響となっています。収穫量の増加にも繋がり、農福連携の導入は大変に助かっています。

ーーどれくらいの頻度で来てもらっていますか?

シーズンによって異なりますが、3月はほぼ毎日来てもらっています。ざっくりとした1か月の予定を示し、週ごとに週間天気予報など確認して細かい調整をしています。

複数の農作物を栽培しており、一年間安定して収穫できるようにしています。そのため、お願いする作業も一年中安定して用意できています。

ーー工賃についてはどうしていますか?

できるだけパートさんを雇っていたときの工賃に近づけられるようにしています。そのために収穫だけでなく、新たにマルチ(※2)を外す仕事をしてもらうなど、工賃を上げられるようにスマイルベリーさんと調整しています。

※2 マルチ・・・マルチシート、畝(うね)に敷く野菜や果物栽培に使用するシート

ーー農福連携で大事だと思うことはありますか?

お互いに気軽に話し合いできる関係を築くことが一番重要だと感じます。

私たちなら農業分野、そしてスマイルベリーさんなら福祉分野という、お互いの分野の情報が普通なら入りにくいのですが、それぞれの置かれている状況や問題点を打ち明け、改善に繋げられることができることは、ありがたいです。

ーー今後の展望はありますか?

廃棄に困っていたトマトを、スマイルベリーさんの加工場でドライトマトに加工して商品化することなど、新たな事業の機会も生まれました。

しかし、農業の規模を大きくすることで利用者さんの負担が増大する可能性もあるため、今後はスマイルベリーさんと話し合いながら、適切な方針を模索していきたいと考えています。

2 「スマイルベリー」豊田一朗さんに聞きました

NPO法人「スマイルベリー」 職業指導員(ジョブコーチ) 豊田 一朗 さん

ーーひらまつファームさんとの連携で、助かっていることはありますか?

LINEで気軽に連絡を取り合えることがありがたいです。平松さんが常に付きっきりというわけにはいかないため、作業について聞きたいときにすぐに聞くことができます。

また、一年を通して仕事を得ることができるのも、ありがたいと感じています。

ーー工場での作業など、さまざまなジャンルの仕事があると思いますが、スマイルベリーさんが農業に力を入れる理由は何でしょうか?

色々な理由はありますが、障害者の方たちが働くことを考えた場合、平松さんのお話でもあったように、農業は一年間通してさまざまな作業があるため、空きがなく仕事があることが魅力です。

ーー作業内容はどう決めていますか?

作業の概要を伝えてもらい、その中で今いる利用者さんたちがどういうことが出来るかの細かな調整を私がしています。そこでもし分からないことがあれば、平松さんに確認しています。

作業については、農薬散布などはプロの平松さんに任せ、私たちができることを打ち合わせて分担を決めています。

ーー利用者の方に対して、どのようなケアを心掛けていますか?

私は、利用者の方がストレスや悩みがないか、毎日目を見て、顔を見てコミュニケ-ションを取るようにしています。そうすると毎日見ているのでいつもと様子が違うなと変化が分かります。普段と様子が異なっていると感じたときに、話しかけると「こういうことがあって」と話してくれます。中には言わずに隠す人もいますけどね(笑)

また、変化に敏感な方も多いため、予定していた作業が変更になった場合は、事前にしっかり説明などをするようにしています。そうして利用者の皆さんが快適に作業できるよう、工夫しています。

3 農福連携を成功させるためには

安定したミニトマトの生産ために、人手が必要だったひらまつファームさんと、利用者の活動の場を求めていたスマイルベリーさんの農福連携は、コーディネーターのマッチングによって、お互いのニーズを理解し、良い関係を築きながら進んでいます。

そこには平松さんの農業の知識と技術、そして豊田さんの障害者の特性を仕事に活かす熱意と努力はもちろん、農業と福祉というまったく違う分野で、試行錯誤し相手を知ろうとする気持ちやお互いの役に立つにはどうしたらよいか…、そんな思いが日々の作業の改善にもつながり、双方にメリットの産まれる素晴らしい成果が生まれたのだと思います。

現在、人手不足に困っている農家の方、農業への参加を考えている福祉事業所の方、ぜひ一度オールしずおかベストコミュニティの農福連携コーディネイターまでご相談ください。

【ひらまつファーム】

所在地:浜松市浜北区

HP:https://fresh-yasai.com/

ミニトマト、とうもろこし、レタスなどの生産を行っており、夫婦2人だけではで仕事が回らなくなり農福連携の導入を考える。

【NPO法人 スマイルベリー】

障害者就労継続支援A型/B型事業所

所在地:浜松市浜北区

HP:https://www.smileberry-npo.com/

浜松市の本部の他に富士にも事業所がある。スイーツ、惣菜の自社ショップを運営し、ハーブや果樹の自然栽培もしている。また草刈り業務の請負なども手がけている。

【NPO法人 オールしずおかベストコミュニティ】

電話:054-251-3515

HP:https://www.all-shizuoka.or.jp/

農福連携ワンストップ窓口として、農家・農業法人と障害のある人・福祉事業所との連携を支援している。

問い合わせ

県広聴広報課 ☎054(221)2231 FAX 054(254)4032

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