フカボリ

知らず知らずのうちに野菜が取れる「しずおか健幸惣菜」の魅力

2024年2月16日

「栄養バランスを考えて食事を取りなさい」とよく言いますが、それでもおいしいものが食べたい!と考えてしまうのが人間というもの。そこでおいしい&ヘルシーな「しずおか健幸惣菜(けんこうそうざい)」というものがあると聞きつけました。さらに今回、静岡でおなじみの天神屋さんが初めて「しずおか健幸惣菜」としてお弁当を開発したのだとか!

しずおか健幸惣菜とそのお弁当についてメディチャン学生特派員が取材してきました。

目次

  1. 静岡県民は野菜不足&塩分摂りすぎ!?
  2. 天神屋さんに聞く「しずおか健幸惣菜」弁当の開発秘話
  3. ターゲットは健康無関心層 手に取ってもらうための工夫とは?
  4. しずおか健幸惣菜のこれから

1 静岡県民は野菜不足&塩分摂りすぎ!?

そもそもなぜしずおか健幸惣菜が生まれたのか、その背景を探ると静岡県民の食生活の課題が見えてきました。

県健康増進課 管理栄養士の内藤さんによると、県民の食生活には「野菜摂取量が少ない」「食塩摂取量が多い」という課題があり、特に若い世代の野菜不足が顕著なのだそう。また、若い女性の特徴として、全体のエネルギー摂取量が少ないゆえに野菜摂取量も少なくなってしまう傾向があると言います。

私の大学でも、菓子パン1つのみやサラダチキンのみで昼食を済ましてしまう人をよく見かけます。全体のカロリーは気にするけれど、栄養バランスには関心がないのが問題だと感じます。

また、働き盛り世代では、仕事で疲れ切った後、さらに家族の分の食事を用意するのが大変で、ついつい市販のお弁当やお惣菜に頼ってしまいがちです。

このような県民の食環境を改善するため、県健康増進課では「しずおか健幸惣菜」の取り組みを始めました。「しずおか健幸惣菜」とは、“組み合わせることで栄養バランスの取れた食事につながるおかず”のことで、エネルギー量、食塩相当量、野菜量などの基準を満たすものです。働き盛り世代健康無関心層をターゲットとしています。

2 天神屋さんに聞く 「しずおか健幸惣菜」弁当の開発秘話

そんな中、天神屋さんがしずおか健幸惣菜の取り組みに賛同し、静岡社会健康医学大学院大学の溝田准教授の助言のもと、お弁当を開発しました。

「しずおか健幸惣菜」弁当の中身

○十五穀米、白米
○お母さんのたっぷりひじきコロッケ
○切り干し大根のアラビアータ(しずおか健幸惣菜レシピ集に掲載しています)
○若鶏の粕漬け
○蓮根挟み揚げ
○焼き鮭
○その他、出し巻き玉子、豆カニカマサラダ、紅あずま甘露煮など

しずおか健幸惣菜レシピ集

天神屋商品開発部の中山さんと広報部の北川さんが、今回のお弁当開発に至った経緯やお弁当のこだわりポイントをお話してくれました。

―今回のお弁当の開発に至った経緯は?

中山さん「もともと静岡県が認定するブランド県産食材しずおか食セレクション「頂」を使ったお弁当をキリンビバレッジ×静岡ガス×天神屋で共同開発するという取り組みがありました。その際、県健康増進課と接点があり、しずおか健幸惣菜を紹介していただきました。今まで栄養士監修のお弁当など健康に特化したお弁当を商品化していますが、「しずおか健幸惣菜」に出会いバランスのとれた食事につながるおかずで出してみようと、今回の開発が決まりました。」

従来、天神屋ではかつ丼などがっつり系のメニューが多かったのですが、栄養士監修の「スマートミール」や「頂」弁当のような健康に特化したお弁当を出したとき、意外にも好評だったと北川さんは言います。今回のお弁当は「頂」弁当とのつながりがあるので、新たなお客さんがお弁当に興味を持っていただけるのでは、と話してくれました。

「頂」弁当について、過去のフカボリ記事に掲載しています!

―今回のしずおか健幸惣菜弁当のこだわりポイントは?

中山さん「ご飯ですね。十五穀米と白米の2種類を入れたのは、ご飯をしっかりかんで食べてほしいからです。日本のお米は嚙むことで粘りや甘味を楽しめるのに、近年ご飯を「かむ」ということをあんまりしないんです。ご飯をしっかりかめるということは、時間管理ができ、休憩が取れているということでもあると思います。冷めても美味しい天神屋のオリジナルブレンド米「天神米」の白米と、食感が楽しめる十五穀米をよくかんで味わってみてください。

ひじきコロッケにもこだわっています。健康に特化しすぎて、薄味になってしまうのは天神屋らしくないので、天神屋らしい甘じょっぱい味付けに仕上げました。」

天神屋 商品開発部 部長 中山さん

―しずおか健幸惣菜の基準である塩分量をクリアするのが難しかったそうですね。

中山さん「当初は炊き込みご飯を入れる予定でした。栄養士でもある内藤さんから“炊き込みご飯よりも白米の方が塩分が少なくて済み、その分をおかずの味付けに使ったらどうですか”とアドバイスをもらいました。」

北川さん「天神屋のお弁当ではソースやしょうゆなど調味料を小袋で付けることが多かったのですが、最近では小袋を使わず、素材の味を生かしたお弁当という方向に変わりつつあります。」

―今回のお弁当をどのように広報していきたいですか?

北川さん「今回のお弁当は、店舗の店員さんたちも早く食べたいと興味を持ってくれています。
店員さん自身が食べて、自分たちでお客様に広報してくれると期待しています。」

―しずおか健幸惣菜を定期的に販売する「しずおか健幸惣菜パートナー」の登録も目指していくとのことですが、今後どのように取り組んでいきたいですか?

中山さん「希望は地産地消です。ただ県産の食材はコストがかかってしまうことが課題です。静岡の食材は東京での需要が多く、県外に流れてしまっています。そうすると東京から逆に引っ張ってくる必要があります。地元のものを使えなくても、“静岡にはこういう食材があるよね”というイメージを頭に入れて開発していけたらと思います。」

3 ターゲットは健康無関心層 手に取ってもらうための工夫とは?

今回のお弁当開発には、静岡社会健康医学大学院大学の溝田准教授の協力がありました。ナッジ(行動科学)やヘルスコミュニケーションを専門とする溝田先生がどのように開発に関わったのか、伺いました。

―ナッジとはどういうもの?どんな場面で使われますか?

溝田先生「人間が持つ“思考・行動のクセのようなもの(バイアス)”を利用して、意識しない程度にそっと背中を後押しするような形で行動を促すことです。たとえば、普通のエスカレーターの隣に、ピアノの音が鳴る階段を用意すると、運動のためと思うわけではなく、ただ面白いからという理由で人は自然と階段を選ぶようになります。」

―今回のお弁当のターゲットは健康無関心層ですが、開発にあたって意識したことは?

溝田先生「以前、海外で行われた実験で、ヘルシーなサンドイッチを多く買ってもらうため、3パターン(価格を安くする/「健康に良い」というメッセージをつける/価格を安くする+「健康に良い」というメッセージをつける)で比較したところ、「価格を安くする」が一番売れたんです。

実験を行う側からしたら「安い+健康に良い」をアピールするのが一番良さそうと考えられましたが、実験では「安い+健康に良い」は2番目に多く売れていました。これは、健康に関心がない人(健康無関心層)に健康になれることをアピールしても響かない、むしろ「健康的な食事」と言うと「美味しくなさそう」というイメージを持たれてしまい敬遠される、と考えられます。今回は、健康に関心がない方たちに買ってほしいので、安い、おいしいをアピールしたいと考えました。

また、今回は天神屋さんでの開発なので、天神屋さんの顧客を野菜たっぷりのお弁当のほうに動かしたいと考えました。天神屋さんに買いに来るお客さんは“濃くて甘じょっぱくてお腹いっぱいに食べられるお弁当”を求めてお店に来るので、そういう方たちに自然とこちらのお弁当を手に取ってもらうために、野菜たっぷりで塩分控えめでも「がっつりとした食べ応え」であるものにしていただくよう天神屋さんにお願いしました。」

―具体的にナッジをどのようにお弁当に取り入れましたか?

溝田先生「ポイントを3つに定めて開発に臨みました。

①野菜たっぷりだけど、それを全面に出しすぎずにおいしさを強調する、野菜嫌いでも思わず食べてしまうようなお弁当

②塩分控えめ、カロリー控えめでも食べ応えがあって味付けはしっかり

特徴がすぐ分かり、覚えやすくて楽しいお弁当の商品名

私自身も野菜が嫌いなので(笑)、いかにして野菜を隠すかが重要でした。生野菜をそのままたっぷりではなく、揚げ物にしたり、お肉と一緒にしたりして野菜を取り入れました。トマトもそのまま生で使うのではなく、アラビアータにすることで野菜嫌いな人でも食べられるのではないかなと思います。健康に悪そうなイメージのマヨネーズを使っているおかずもあります。」

③の商品名については試食会の際に話し合いのもと、「叶え~る弁当~しっかり味つけで食べごたえあるけど野菜たっぷりカロリー塩分25%以上カットすべて叶えるお弁当~」に決定したのだそう。

短い名称+それを説明するための副題という構成で、インパクトがあってつい人に話したくなる名称になったと北川さんが話してくれました。

しずおか健幸惣菜弁当試食会の様子

4 しずおか健幸惣菜のこれから

しずおか健幸惣菜の取り組みにはまだ課題もあると県健康増進課の内藤さんや太田さんは話します。

野菜はコストがかかる、継続して売れるかは未知数という理由で、事業者側からは敬遠されてしまうこともあったのだそう。県としては、意識しなくてもバランスの良い食事がとれる食環境にするために多くの事業者の協力してほしいので、まだまだ道のりは長いと語ります。

―しずおか健幸惣菜の今後の展望は?

太田さん「しずおか健幸惣菜をより多くの県民の方に、食べていただきたいと考えているため、今回の天神屋さんの申し出は大変ありがたいです。積極的に広報し、他の企業にも広まっていくといいなと考えています。」

静岡県健康局ではしずおか健幸惣菜だけでなく、県民の野菜摂取量の増加を目的として「野菜マシマシプロジェクト」も行っているのだそう。

▼野菜マシマシプロジェクト
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/kenkozukuri/kenkodukuritorikumi/1052251.html
こちらにもぜひ注目していただきたいです!

<取材を終えて>

“健康に良い”をコンセプトにした商品を健康無関心層に買ってもらうために、あえてヘルシーさを隠すという、全く新しい考え方に驚かされました。お弁当が発売されるのが楽しみです!

ご紹介したお弁当は2024年2月13日(火)から天神屋の店舗で販売されています。みなさんもぜひ食べてみてください!

【ふじのくに食の都づくり貢献賞を受賞しました!】

地域の食材を活用した商品開発や販売を行うことで、静岡県産農林水産物の消費拡大に寄与した、企業・高校等のコラボ企画商品を開発・販売し、「食の都しずおか」の魅力向上に寄与したことなどが評価され、株式会社天神屋がふじのくに食の都づくり貢献賞を受賞しました。

ふじのくに「食の都」表彰式での様子
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