フカボリ

世界の乾杯を変える「スパークリングティー bodhi(ボーディー)」。人と人とをつなぐお茶に。

2024年2月27日

今年度に開催された「2023グッドデザインしずおか」。中小企業等のデザインの戦略的な活用促進を目的に、県内で生み出されたデザインの優れた「モノ」や「コト」を「グッドデザインしずおか」として選定・顕彰し、今回で30回目を迎えました。50点を超える応募から特別賞を受賞した「スパークリングティー bodhi」。bodhiを開発した晩茶研究会メンバーの多々良高行さん、池田佳正さん、安間孝介さんにお聞きした、「bodhi」の魅力をご紹介します。
メディチャン学生特派員が取材してきました。

目次

  1. 「2023グッドデザインしずおか」特別賞を受賞
  2. ヒントは原点に。小さな疑問から誕生した「bodhi」
  3. お茶が広げる世界

1.「2023グッドデザインしずおか」特別賞を受賞

-この度は「2023グッドデザインしずおか」特別賞の受賞おめでとうございます。
まず、グッドデザインしずおかに応募した経緯を教えてください。

近年のお茶業界は、高齢化や後継者不足、お茶の売上低下などにより、生産者が茶園の管理を放棄した「放置茶園」の増加が問題視されています。私たちはそのような放置茶園を利用できないかという思いで後発酵茶の開発に取組み、試行錯誤の中で「bodhi」が誕生しました。

そして、グッドデザインしずおかについては、実は晩茶研究会のメンバーの安間さんが、瓦屋さんと共同開発した瓦製の急須を出品していたことから知りました(瓦製急須「粋月(すいげつ)」は2020年に金賞を受賞)。「bodhi」は地域課題を解決するというグッドデザインしずおかのコンセプトに合っていますし、多くの方に知っていただける機会になると思い、応募しました。

「2023グッドデザインしずおか」特別賞を受賞した「bodhi」。
「o」は日の丸をイメージし、日が登る=日本のお茶を世界にという思いが込められている

今回、幸運にも特別賞を受賞しましたが、グッドデザインしずおかはレベルが高い審査会でした。一次審査を通過した作品は、デザインとコンセプトの両方で素晴らしいものばかりでした。だからこそ、応募を迷っている方がいたらぜひチャレンジしてほしいですね。チャレンジすることで、商品を見直す機会ができ、より魅力的なものにできるチャンスになると思います。実際、私たちもコンセプトを整理した上でプロのデザイナーに依頼し、新たなデザインで応募しました。地域課題を解決するのはもちろん、デザインにも作った人の思いや主張したいことをしっかりと落とし込んで伝えることが大切だと感じます。また、特別賞を受賞して、いろいろなところで注目していただくことができました。グッドデザインしずおかの発信力や認知度を実感しました。

晩茶研究会メンバーの安間さん(写真左)と多々良さん(写真中央)

2. ヒントは原点に。小さな疑問から誕生した「bodhi」

-晩茶研究会の発足のきっかけを教えてください。

私たちはお茶生産者と茶商で、立場は違えど、お茶の消費低迷という共通の課題に日々直面しています。その中で「茶業者と消費者では、お茶のおいしさに対する考え方が違うのではないか」と疑問を持つようになりました。一度、原点に立ち返って、お茶のおいしさを再考してみようと考え、煎茶より歴史の古い晩茶を作ってみることにしたんです。

庶民の茶である晩茶は、煮る、炒る、蒸す、焼くなど様々な製法がありますが、共通しているのは、家庭にある道具で簡単に作れる自家用茶が起源であるという点です。そこで、まずは本業の傍ら、趣味の範囲で始めることにしました。

晩茶の原料になる茶葉。大きな葉と酸味のある香りが特徴

伝統製法の晩茶は手仕事が多く、量産には向かないため、取り組む茶業者は、ほとんどいません。しかしながら出来上がったものを一般の方に飲んでいただくと、本来のお茶を今の消費者も求めてるのかなと感じることが多かったですね。だからこそ、自信を持って取り組んでこられました。2022年に参加した「世界お茶まつり」でも、興味を持った多くの方に試飲してもらったり、若い女性の方にたくさん買ってもらったりと、これからの世代のお茶に対するニーズがわかりました。未開拓の市場があると実感しました。

-なぜスパークリングティーに目を付けたのでしょうか?

夏に晩茶を作るイベントを開催したのがきっかけです。お茶は1年中作れるので、イベントを考えていた時期に作れる晩茶を探したところ、四国地方の伝統的な乳酸発酵茶に挑戦してみようということになりました。夏の暑い時期に大きく成長した茶を摘み取り、茹でて揉んだ後に、桶に詰めて半月から1ヵ月ほど漬け込みます。茶葉が乳酸発酵し、爽やかな酸味を感じるお茶になります。それを、静岡でも作ってみようと思い立ちました。

最初はうまく行かず酸味の弱いお茶が出来上がりましたが、試行錯誤を重ねて、独自の製法を確立しました。そのお茶を世界緑茶コンテストに出品したところ、特別賞を受賞しました。受賞特典の展示会に出展した際に、スパークリングワイン業者の方から「スパークリングにしたほうがいい」と強く勧められました。ワインと同じで、酸味と炭酸は相性がいいとのことでした。そこでスパークリングティーにしてみようと決めました。

スパークリングティー bodhi

ーどのような人に飲んでほしいですか?

今、お酒は飲めるけどあえて飲まないという方が増えています。そのような人にも、一つの選択肢としてぜひ飲んでもらいたいですね。シードルのような香りがあり、お酒を飲んだような感じがするという方もいますから、妊娠中の方など、お酒が飲めない人も満足感が得られると思います。

また、アレンジも簡単にできるのでどんな方にも飲んでいただけます。シロップやフルーツを加えると甘みがついてより飲みやすくなるので、デザート感覚で楽しむこともできます。お酒が飲める人と飲めない人が一緒に楽しめる「bodhi」は、世界の乾杯を変えると確信しています。

:晩茶研究会メンバーの池田さん

ー「bodhi」にはどんな食べ物が合いますか?

どんな食べ物にも合いますよ。「bodhi」にはリンゴの風味がありますが、それがお互いのおいしさを引き立ててくれるんです。肉や魚はもちろん、スイーツにもぴったりです。特にスイーツだと酸味のあるチョコレートがおすすめです。合わせて食べると、酸味の広がりが味わえます。

3. 「お茶が広げる世界」

ー今後の展望や、挑戦したい取り組みはありますか?

 「bodhi」は一般の方の声を大切にして、お茶の原点に立ち返ることで生まれました。この考え方は今後も変わりません。海外での評価も高く、輸出も視野に入れていきたいと思っています。また、最初は放置茶園の解決をしたいという思いから始まったので、放置茶園を活用した商品を作り出したいです。

お茶には長い歴史がありますが、まだ新しいものが作れるんですよね。底が知れないというか、そういったところがすごく面白いです。これからも、お茶の可能性を広げていきたいです。

「bodhi」の原料となる茶葉が育つ茶園

取材を終えて

晩茶研究会の皆様の晩茶に対する熱い思いが伝わってくる取材でした。取材中に「bodhi」をいただき、お茶をワイングラスで飲む新鮮さ、強い酸味のある味わいに驚きが止まりませんでした。洗練されたデザインのボトルは、どんなシチュエーションにも華を添えてくれるでしょう。1人でゆったり、みんなでワイワイ飲むのも、お土産としてもぴったりな「bodhi」。ぜひ飲んでみてください。

「グッドデザインしずおか」に選出された作品は以下からご覧いただけます。
「グッドデザインしずおか」過去の受賞作品

https://www.pref.shizuoka.jp/design/gallery/index.html


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