フカボリ
空から災害支援をサポート!「災害対策用ドローン整備事業」をフカボリ!
2024年3月27日
近年、農業や測量、空撮など活用の場が増えているドローン。筆者もドローンでの撮影を体験したことがありますが、普段とは違った目線で人にはたどり着けない場所のことを知れることは魅力です。そんなドローンを災害対策に活用する取り組みが静岡県危機管理部で行われていると知り、ふじのくにメディアチャンネル学生特派員の伊藤直樹が取材をしてきました。
目次
1 「災害対策用ドローン整備事業」とは?
近年、ドローンの技術開発と普及により、測量分野・農業・物資輸送など、さまざまな取り組みが官民ともに進んでいます。
災害を専門に扱っている静岡県危機管理部でも、ドローンを活用しています。
災害対策本部の運営、防災訓練の実施など、静岡県内の防災、災害対応を担当する危機管理部危機対策課では、災害時の救援救助や状況把握のためのドローン活用を目指し、令和5年度からドローン機体の配備や操縦者の育成を行っています。
Qドローンにはどのような役割がありますか?
伊藤さん:ドローンの主な役割は、「情報収集」と「物資輸送」の二つです。
情報収集については、令和5年度から事業を進めています。被災現場に職員が行き、ドローンにより状況を動画・静止画として撮影して、県や各市町の災害対策本部などに送ります。情報をすぐに共有することで、被災地の情報を把握して、次の救援救助活動につなげることを目指しています。
物資輸送については、令和6年度から実施する体制を整えていきます。
令和5年度に整備された情報収集用の14機のドローンに加えて、物資輸送ができる大型のドローンを新たに4機導入します。このドローンは、賀茂・東部・中部・西部の県内4か所の「地域局」に配備され、孤立した地域などに物資を運ぶことなどに使われます。
Q.令和6年度に配備されるドローンはどのような機体?
伊藤さん:令和6年度に購入する物資輸送用のドローンは、約10kgの物資を運べます。
飛行が難しい場面や山沿いの現場など目的地が見えない地点までドローンを飛ばす場面など、高度な技術が必要になる場合は今後協定を締結して民間業者に操縦を委託することを考えています。
Q.ドローンはどのような流れで活用される?
伊藤さん:災害発生時に、静岡県の災害対策本部や各市町の災害対策本部が設置され、甚大な被害が発生する恐れがあった場合、各市町に「市町支援機動班」が出動します。「市町支援機動班」は3人で1班となって災害の規模が大きい市町の災害対応の支援を行い、情報収集のためのツールとして、ドローンが活用されます。そのために、15班ある「市町支援機動班」には各班1人ずつドローンを操縦できる職員が配置されています。
2 災害対策でドローンを活用するメリット!
八木さん:従来のヘリコプターだと、夜間の飛行ができなかったり、離発着のできる場所が限られてしまったりという課題がありました。ドローンは機体がコンパクトで機動力が高いため、孤立した地域などの届けたい場所のすぐ近くまで物資を運びやすくなります。
伊藤さん:運べる重量が約10kgなので、あまりたくさんの物資は載せられません。そのため、医薬品などの軽量で緊急性が高い物資がメインになると思います。その他、輸送する物資としては、食料品や飲料水等を想定しています。
上空からの状況把握や孤立地への物資輸送など、人がたどり着けない場所での活動が行えるドローン。陸路の移動や有人機の飛行が制限される場面でも、迅速にかつ臨機応変に対応できるドローンへの期待が高まっています。
3 今後のドローン整備
能登半島地震や大分県での豪雨災害など、全国ではドローンが災害時の物資輸送や情報収集で効果を発揮した事例があるそうです。
伊藤さん:静岡県でも緊急時のドローンの活用が円滑にできるように調整していきますが、県内市町でもドローンを活用する体制を整えていくことが重要です。そのため、災害時におけるドローンの活用のメリットについて、県内市町に周知することなどにより、ドローンの整備や、民間業者とのドローンを用いた災害時の支援協定を結んでもらえるよう、働きかけたいと思っています。また、技術革新が目覚ましいので、情報収集をしてさらに活用できることはないか検討していきます。
全国で活用事例が報告されている災害対策ドローン。機材の購入や操縦者の育成が進められている一方で、悪天候時や遠方からの操縦など、高度な技術が必要となる場合には民間業者のサポートも必要となります。
現状操縦できるのは県の職員のみであるため、民間業者との業務提携なども今後進められていくそうです。
また、将来的には各市町などにも同様の事業を行っていただけるよう、各市町や民間業者と連携しながら、静岡県全体で災害対策を行うことを目指しています。
4 担当課から県民の皆さんへのメッセージ
伊藤さん:ドローンの整備など、県としての「公助」の準備は引き続き行っていきますが、住民の皆さんによる備蓄や避難経路の確認などの「自助」の取り組みや、日頃から近所付き合いなど地域のコミュニティをしっかり構築して、いざというときに助け合える「共助」の取り組みも重要です。災害はいつ発生するか分からないので、日頃から準備していただきたいと思います。
<取材を終えて>
今回の取材では、辿りつけない場所に荷物を届けたり、上空から災害の状況を把握したりと、災害時の救助や状況把握にドローンを活用しようと取り組みが進んでいることが分かりました。本来、ドローンの活用が必要となる災害が起こらないことが一番ですが、災害の備えとしては、日頃から備蓄の確認や、近所と助け合える関係性を築いておくことが一番大切なのだと実感しました。
県民だより4月号の紙面の内容や令和6年度当初予算概要も併せてご覧ください。
→県民だより4月号(3月31日公開予定)
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