Search

  • あなたと、県政。

さらなる健康長寿を目指す、静岡県の新たな取り組み

約9分で読めます

最新の調査で、静岡県の健康寿命は男女共に全国1位となった。「健康寿命」とは、年齢を重ねても健康上の問題がなく、元気で日常生活が送れる期間のこと。静岡県では健康寿命のさらなる延伸に向け、さまざまな取り組みを行っている。

静岡県の各地域の健康課題の傾向

県内では受診者約76万人のうち、男性44.9%、女性32.9%が高血圧を患っている。(令和5年度特定健診等データ分析)
その傾向を把握するために県が実施しているのが、特定健診(特定健康診査)のデータ分析だ。平成21年度から県内の国民健康保険や健康保険組合などの医療保険者と協力してデータを収集・分析している。分析結果は、グラフやマップにまとめ、地域ごとに県民が抱える健康課題の傾向を明確化し、生活習慣病対策に役立てている。

高血圧有病者

出典:令和5年度特定健診に係る健診等データ分析(県作成)
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/574/04_kenzentai05a.pdf

高血圧は主に脳血管疾患(脳卒中)につながる最大の要因であり、事実、静岡県は全国に比べて脳卒中による死亡者の数の割合が多い。 脳卒中は命に関わるだけでなく、機能障害など人によって日常生活に大きな影響を及ぼす後遺症を引き起こすため、発症リスクを減らすことが大きな課題となっている。

出典:国立がん研究センター多目的コホート研究(JPHC Study)
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3284.html

高血圧の要因ともなるメタボリックシンドロームについて

喫煙や運動不足、食べ過ぎなどの生活習慣が、メタボリックシンドロームになるリスクを高める。
特定健診は、メタボリックシンドロームを発見し、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防を目的としている。

特定健診データの分析(メタボリックシンドローム)

出典:令和5年度特定健診に係る健診等データ分析(県作成)
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/046/574/02_kekkagaiyou.pdf

健康課題解決の第一歩は早期発見|特定健診の重要性と県内の受診率

この解決に最も役立つのが、特定健診による早期発見だ。特定健診は、40歳から74歳の人を対象に、生活習慣病の予防を目的に行うもので、結果に応じて、医師や管理栄養士などの専門家から生活習慣の改善アドバイス(特定保健指導)を受けられる。

病気の予兆を早期発見し、重症化を未然に防ぐことで将来的の医療費や介護のリスクの削減につなげられるのだが、全保険者の受診率は56.7%となっている。

特に受診率が低いのは被扶養者や県内市町の国民健康保険加入者の40代・50代。仕事や家事などで忙しい人たちが未受診となる傾向があり、「定期的に通院している人は健診受診の必要がない」と考えているケースも多く、早期発見の妨げとなっている。

また県内の市町国保加入者の受診率は約40%にとどまっており、受診率の向上が課題となっている。

特定健診受診率向上に向けた県の新たな取り組み|PFSを活用したモデル事業

こうした状況から、静岡県は受診率向上に向け、県内では初めての取り組みとなる成果連動型民間委託契約方式 (PFS:Pay For Success、以下PFS)を活用した、トライアル事業に乗り出した。

PFSは、自治体が民間事業者に事業委託する際、あらかじめ具体的な受診率(成果指標)を設定し、その達成度に応じて報酬を支払う方式だ。民間事業者が持つノウハウや知見を生かし、より高い受診率の向上が期待できる。

6市町との協定書締結式の様子(2026年)

本事業では令和8〜10年度の3年間、伊東市・裾野市・富士市・磐田市・東伊豆町・吉田町と連携し、6市町は委託先が各市町の状況に応じて提案した施策を実施し、受診率向上に取り組んでいく。

今回、モデル市の一つである富士市の国保年金課の担当者、望月香織さんと小林麻帆さんにこの取り組みへの期待や今後の展望について話を伺った。

富士市国保年金課保健事業担当 望月香織さん
Q.現在の富士市の受診率は。

令和6年度は32.9%で、県内35市町中32位です。県平均の38.0%を5.1ポイント下回る結果でした。

Q.受診状況としては、どのような傾向がありますか。

男性と40代・50代の男女の受診率が低い傾向にあります。また県内他市町と比べて女性の受診率、60歳以上の生活習慣病で治療中の方の受診率が低いです。

Q.令和5年の特定健診データ分析結果は。

高血圧有病者は、全体では県平均を下回っています。年代別に見ると、65歳以上で県平均を下回る一方、40〜64歳では上回っています。この要因は、60歳以上の生活習慣病を治療している方の受診率が低いことが影響している可能性があります。
また、高血圧性疾患の一人あたり医療費は県平均と同等程度または高く、外来診療の高血圧症の医療費は、過去5年間、医療費全体の上位3位以内に入っています。
メタボリックシンドローム該当者と習慣的喫煙者は、全体的に県平均を上回っています。
糖尿病については、高血糖者の割合は県平均を下回り、また糖尿病の一人あたり医療費も下回っています。

富士市国保年金課保健事業担当 小林麻帆さん
Q.今回のトライアル事業では、具体的に何を行いますか。

対象者の年齢や属性に応じた受診勧奨のお知らせや、コールリコール(受診案内の連絡と未受診者への受診再勧奨)、SMS(ショートメッセージサービス)による勧奨、協力医療機関へのチラシの配布、特設ウェブサイトの開設を行います。すでに1回目の勧奨通知やSMSは実施し、ウェブサイトも開設しました。 今後は委託先の事業者がさらに分析を進め、より効率的かつ効果的な受診勧奨や環境整備について提案を受ける予定です。

富士市で作成しているチラシやハガキ

Q.これまで富士市が行ってきた施策との違いは。

これまでは予算の制約もあり、対象者の属性に応じた受診勧奨はがきを作ることはできず、コールリコールも対象者一人ひとりに対して複数回行えませんでした。
SMSによる勧奨や特設ウェブサイトの開設は、市単独での実施は難しく、本事業により実現できました。
今後は詳細な受診状況や、新たな視点による分析結果を踏まえ、受診率向上につながることを期待しています。

Q.本事業の成果として、どの程度の受診率アップを目指しますか。

まずは現状の32.9%から4ポイントアップして、富士市としても目標を達成し、その上で県の平均値に追いつきたいです。

特定健診受診率向上に向けた県の新たな取り組み|特定健診を促進するさまざまな活動

静岡県では毎年6月、歯科検診も含めた健診促進キャンペーンを実施しており、静岡駅や商業施設などで幅広い世代に向けてPRを行っている。

マスコットキャラクターのコーケンくん(静岡県国民健康保険)、ふじっぴー(静岡県)、ちゃっぴー(静岡県民の生きがいと健康づくり)による健診促進キャンペーンの様子

また、令和8年9月から令和9年1月末まで、テレビCMやイベント、JR東海の電車内中づり広告など、多彩な媒体を活用し特定健診の受診を促進していく予定だ。

健康寿命のさらなる延伸を目指す静岡県の展望

静岡県は、引き続き医療保険者への健診結果データの提供を依頼し、特定健診データの分析を行う考えだ。県・市町・民間が連携して健康づくりを進めていける体制を築き、さらなる健康長寿県を目指していく。

この記事をシェアする

FacebookXCopy Link

みなさまのご意見
お聞かせください

アンケートに御協力いただくと
今号でご紹介した「#しずおか、セレクト。」を
抽選でプレゼント

いたします。

最新号を読んでアンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様に
遠州織物「なめらかコットンハンカチ」をプレゼントします。
一層充実したサイトを目指して、皆さまからのご意見をお待ちしています。

応募締切:2026年9月30日(水)まで

アンケートに回答する

Recommend

記事一覧へ
テキストのコピーはできません。