美しいふじのくに 総合情報誌ふじのくに

【大瀬崎の神池】神秘に包まれた地上の神界

2022(令和4)年7月

上空から撮影した大瀬崎の神池。かつて海底から隆起した時は島だった。楽器の琵琶に似ていたため琵琶島と呼ばれていた。※ドローンなどの撮影には神社の許可が必要です。

国指定天然記念物

伊豆半島ジオパーク

伊豆七不思議

伊豆半島北西端から約1km海に突き出す沼津市の大瀬崎おせざき)。その先端にある大瀬神社の神池は神が宿る霊池といわれる。上空から眺めると、まるで天を映す鏡のようだ。

伝承によると大瀬崎は、白鳳13(684)年の大地震で海底から現れた島が始まりとされている。いにしえの人々はその島が、地震で海没した土佐国から神が引いてきた土地だと信じ、大切に祭ったという。そして神から授かったその池を、神池と名付けた。

伊豆七不思議の一つ。淡水であるためコイやフナなどが生息。池を調べたり、魚を捕ったりすると祟りがあるとされ、反対に魚を大切にすると財が付くとも。

直径約100mの池の海抜は約1m。海からの距離は近いところで20mしかなく、海が荒れると海水が流れ込む。それにもかかわらず池の水は淡水で、不思議なことに増水しても自然と元の水位に戻っていくそうだ。
さらに、伝説はこれだけにとどまらない。この池に、直線距離で37kmほど離れた富士山の湧水が流れ込んでいるいう説がある。沼津市原地区で田植えをすると、その影響を受けて池の水が濁るというのだ。しかし、池は神域。調べることができないため、いまだ神秘に包まれている。

池や本殿を守るように群生しているのはビャクシンの樹々だ。その数は約120本。国の天然記念物に指定されている。風雨によってねじれ曲がった姿は、自然の盆栽のようだ。
約30年間神社を見守る野村芳照宮司は、「樹の一本一本に神が宿っている。手を当てて、千年を超える生命の息吹を感じてほしい」と語った。
こうした手つかずの自然は、地域ぐるみで守られてきた。神池の昔話を演劇で親しみ、小学校では「大瀬学習」として大瀬崎の歴史・文化を尊ぶ。その子どもたちが親となり、子へ、孫へと語り継いでいく。大瀬崎の美しい景観を守るための取り組みこそ、奇跡を未来に伝える営みだ。

野村芳照宮司
参道に連なるビャクシン樹林。樹齢1300年を超える御神木、与謝野鉄幹の歌碑にも出合える。
引手力命(ひきてちからのみこと)を祭る海の守護神。漁民が描いた絵馬や漁船模型などが奉納されている。2006年、未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選に選定された。
伊豆半島ジオパークに認定されている大瀬崎。西岸では大瀬崎火山の溶岩の積み重なりや大瀬崎南火道の断面を観察することができる。

大瀬崎の魅力を動画でみる

アクセス

大瀬崎(おせざき)の神池

住所

静岡県沼津市西浦江梨

アクセス

JR沼津駅よりバス約80分
東名高速道路沼津ICより約50分

お問い合わせ先

大瀬神社社務所
TEL:055-942-2603

大瀬神社拝観時間

7:30頃~15:00頃(土日は16:30頃まで)

大瀬神社拝観料

中学生以上100円、小学生50円

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