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【インタビュー】消防士・山岳ランナー 望月 将悟さん

2022(令和4)年7月

インタビュー:消防士・山岳ランナー 望月 将悟 さん

南アルプスに入ると、「地元に帰ってきた」とパワーが湧いてきます

日本海の富山湾から太平洋の駿河湾へ。約415kmもの距離を北アルプスから中央アルプス、南アルプスへと駆け抜ける「トランスジャパンアルプスレースTJAR)」。この、山岳の鉄人30人だけが出場できる日本一過酷なレースを、4連覇しているのが望月将悟さんだ。

2010年、初めて挑んだ「TJAR」は、ボロボロ状態での初優勝。何度となく気持ちを折られたが、最後はふるさとが味方してくれた。

2018年は、ゴールの大浜海岸まで無補給で見事に完走した。

「南アルプスに入ってから、どんどんパワーが湧いてきました。僕は、南アルプスの麓の井川で生まれ育ったから、地元に帰ってきてほっとしたんですね」

「富士登山競走」や「富士登山駅伝」、さらには、イタリアの「トルデジアン」、フランスの「レシャップベル」など、山岳レースにこだわる。「人やタイムと勝負するレースも刺激はありますが、予測不能な自然を相手にいかにやりくりできるか、そこに面白みがある」と話す。「勝敗だけを目的にすると得られるものが少ないから」と、山頂で眺める星空や天の川、雲海から昇る朝日など、目に映る新鮮な景色も楽しんでいるそう。

仕事は静岡市消防局・山岳救助隊員。休みの日に市内の山々を巡ることは、山岳救助の仕事にも役立てている。

「景色なんて見られないでしょ、ってよく言われますが、見ないと楽しめないし、楽しくないと進めない。南アルプスは風が温かくて自然が多い“緑の山”。湧水も本当においしいですよ」

この夏は6度目の「TJAR」。自身のテーマは、「44歳の自分がどこまでやれるか」だ。さらに、望月さんには夢がある。

「井川という小さな集落で育った自分がどこまで通用するか、と挑戦してきた。ここまで頑張ることができたのは、地元の人や仲間など応援してくれる人たちがいたからです。山でもいっぱい練習させてもらったので、みんなが山に親しめるような恩返しがしたい」

日本一の山岳ランナーは、ふるさと愛にあふれている。

プロフィール

望月 将悟 さん
1977年静岡市井川生まれ。19歳で静岡市消防局に入局。20歳から登山、国体山岳競技やトレイルレースで頭角を現す。24歳で山岳救助隊員に。2015年の東京マラソンでは40ポンドの荷物を背負いフルマラソンのギネス記録を更新。17年に静岡市境を一周する企画を単独敢行。UTMFなど多数のレースに出場。

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