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【インタビュー】しずおかの海PR大使 深海魚直送便 青山 沙織さん

2023(令和5)年1月

インタビュー:しずおかの海PR大使 深海魚直送便 青山 沙織さん

深海魚をきっかけに、若い世代が住み続けたくなる戸田(へだ)にしたい

駿河湾の深い海底を泳ぐ深海魚が直接家庭に届く。今まで誰も考えなかった意外なサービス“深海魚直送便”の発起人。

兵庫県で会社勤めをしていたが、元々深海魚に興味があり、沼津市戸田地区で深海魚を活用したまちおこしのスタッフを募集していると知り、地域おこし協力隊として2018年に戸田にやってきた。

“深海魚直送便”の中身は漁の時期や状況によって異なる。写真は食用ではない“ヘンテコ深海魚便”

1年目、2年目はイベントなどを開催して順調に活動していたが、2020年2月にコロナ禍で状況が一転。イベントは軒並み中止になり、深海魚の販売先である飲食店なども休業が相次ぎ、漁獲活動は打撃を受ける。

そんな時青山さんがひらめいたのが、水揚げされたばかりの深海魚をお客様に直接届けるサービスだ。「深海魚漁では、付加価値の高い魚と一緒に網にかかる売り物にならない魚や食べられない魚を廃棄していました。素人の私から見るとせっかく苦労して獲った貴重な魚がもったいない、なんとか活用できないかと以前から思っていたんです」。

夕方、港に水揚げされる魚をその場で仕分けて宅配便に。地域によっては翌朝届くというスピード感が大きな魅力。

周囲からは「猫も食べない魚が売れるわけがない」との声もあったが、青山さんはすぐ行動を起こす。SNSの発信やマスコミへのプレスリリースで、4月に“深海魚直送便”30箱を販売すると公表。するとすぐさま反応があり、5月中旬の漁の終了時期までに180箱以上が売れた。さらに次の漁シーズン※1には800箱余りが売れ、現在も問い合わせが絶えないという。

地域おこし協力隊の任期を終えた2021年3月、青山さんは魚介販売や魚介加工製造に本格的に取り組むために、戸田地区に居を構え定住を決めた。現在は“しんかいソーセージ”の商品化やエビを使用したカレーの開発を進め、県のMaOIプロジェクト※2のパートナーも務める。

「外への情報発信と併せて、地元の人に戸田の魅力を再認識してもらうこと、若い人たちに戸田に住み続けてもらうことが一番の願いです」。 深海魚の魅力も、青山さんの夢もまだまだこれから深掘りされていくのだろう。

※1 深海魚漁のシーズンは9月中旬から翌年5月中旬まで。それ以外の時期は禁漁となっている。
※2 マリンオープンイノベーションプロジェクト。海洋産業の振興と海洋環境の保全を両立する「Blue Economy(持続可能な海洋経済)」の世界的な拠点形成を目指すプロジェクト。

メヒカリ、ムツ、深海エビ、豚肉で作った“しんかいソーセージ”。“深海魚直送便”HPなどで購入できる。
青山さんも活用する深海魚の情報発信スペース“ヘダトロール”。深海魚の水槽や標本の展示も楽しめる。
“しずおかの海PR大使”としてMaOIのイベントに参加。深海魚に直接触れる体験に、子どもたちも大喜び。

プロフィール

青山 沙織 さん
兵庫県尼崎市出身。大学卒業後、神戸市役所・司法書士事務所・航空機メーカーに勤務。海外留学や無人島滞在も経験。もともとモノづくりが好きで、深海魚を活かしたオリジナルのモノづくりができればと戸田へ。広報活動や新商品開発など、多忙ながらも充実した日々を過ごしている。

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