人づくり 富づくり 総合情報誌ふじのくに

食文化をテーマに静岡を体験する ふじのくにガストロノミーツーリズム

2023(令和5)年3月

海にも山にも恵まれた静岡県は、起伏に富んだ地形から多様性にあふれた食材が生産されている。 それらの食材の背景となる歴史や、培われてきた食文化に触れる、そこでしかできない体験と食を組み合わせた新しい旅の形が「ふじのくにガストロノミーツーリズム」だ。

静岡の食と旅を結びつけ、新たな価値を生み出す

ガストロノミーツーリズムはその土地の気候風土が生んだ食材、習慣、伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的とした旅のこと。
日本各地でさまざまな取り組みが盛んに行われており、世界的にも広がりを見せるのには理由がある。地域の食と観光をつなぐことで、農業・漁業といった生産者から、加工食品や地酒、土産物等のメーカー、小売業者や飲食店、宿泊施設、旅行会社などのサービス業、学術機関、メディアなどの情報に携わる業種まで、多くの産業を取り込みながら地域の活性化や持続可能な発展が期待されることだ。

本県でも「ふじのくにガストロノミーツーリズム」としてさまざまな産業と連携し、静岡の食と旅を結び付け、新たな価値を創出。国内だけでなく広く海外にもPRして誘客を図る。訪れた人が食を楽しみ、生産者や料理人と交流を図り、ここでしか味わえない体験を通して、新しい静岡の魅力を感じてもらえる旅を提案していく。

また今年は、「東アジア文化都市2023静岡県」と連携した企画も考案中。中国、韓国との食の交流事業が計画され、各国の食材や味、食文化の違いなどにも焦点を当てて紹介していく。これを機に静岡の食文化への興味が高まることで、インバウンド需要の向上が期待される。

食体験の質向上に向けて、生産者と料理人の連携を強化

日本一高い富士山や日本一深い駿河湾をはじめとする多様な自然風土や温暖な気候、豊富な水に恵まれた静岡県は、全国トップの439品目もの多彩な農林水産物を生産し、その品質も極めて高く、「食材の王国」と呼ばれている。

県では、こうした場の力を生かし、地域の食の魅力を高めるため、県産食材の素晴らしさを伝える担い手となる料理人等である「ふじのくに食の都づくり仕事人」の表彰や、全国や海外に誇りうる価値や特長を備えた農林水産物である「しずおか食セレクション」の認定、本県農林水産物の魅力を生かした新しい加工品である「ふじのくに新商品セレクション」の表彰などを通じて、食の都づくりに取り組んできた。
今後、食の都づくりの取り組みを発展させ、県産食材を積極的に活用した料理等の提供に加えて、食材の特長や歴史、生産者の思いなども一体的に発信していくことが、食体験の質向上、ひいては「ふじのくにガストロノミーツーリズム」の魅力へと昇華されるはずだ。

その実現に向けて、仕事人の店舗等で実施する、県産食材の魅力を体験できるレストランフェアの開催や、地域独自の食材や食文化の魅力を発信するモデル的取り組みなど、生産者と料理店が連携できる基盤づくりを進めている。

文化施設を活用したふじのくにガストロノミーツーリズムの実施

静岡県の文化施設では、それぞれがガストロノミーツーリズムへの取り組みを行っている。
ふじのくに地球環境史ミュージアムでは、静岡県の豊かな食材の背景にある生物多様性や自然について紹介。地域に根ざした食材や自然環境の保全について考える機会を提供している。料理人を招聘したガストロノミーツーリズムイベントなども独自に行い、機運醸成の役割も果たしている。
また舞台芸術公園では、SPACの演劇とその日のテーマに沿った食を組み合わせたイベントを開催し、食から演劇へ、演劇から食へと参加者の関心を広げている。
この他、静岡県立美術館・茶の都ミュージアム等でもイベントを実施している。

ふじのくに地球環境史ミュージアム・佐藤館長と三國清三氏などの有名料理人が、ウナギ・海老芋など静岡の食材をテーマに対談し、料理人がその食材の調理を実演。
SPACのオリジナル劇とそば打ちパフォーマンスを組み合わせた舞台を鑑賞後、蕎麦ランチを楽しむ。

一元化したプラットフォームを構築

静岡県は、2022年度に食や食文化・観光の専門家で組織するガストロノミーツーリズム有識者委員会を設置し、今後の推進方針を策定するとともに、食文化の深掘りを図るため、著名なシェフや文化人を講師としたガストロノミーツーリズム研究会を重ねてきた。
また、食、観光、マーケティングの専門家をコーディネーターに任命。地域資源を掘り起こし、食の情報をストーリー化するなど戦略的な情報発信を行っている。

2023年度は、引き続きガストロノミーツーリズム研究会やコーディネーターの設置、情報発信を行うとともに、生産者や料理人、観光事業者、有識者などからなる「ガストロノミーツーリズム協議会」を発足させ、産官学民のネットワークを構築していく。
また、食や食文化・観光情報を一元的にまとめた「食の情報センター(仮)」を設置し、ガストロノミーツーリズム協議会と合わせて、ふじのくにガストロノミーツーリズムのプラットフォームとして運営していく。
その運営の方向性としては、第一に、食文化に関する体系的な情報の充実。二つ目に次世代の中核人材の育成。三つ目に食体験の質の向上、差別化が挙げられる。情報と、人材とそこから生み出す食の体験を向上させる狙いだ。

旬が織りなす 美味をめぐる旅を。「美味ららら」〜ふじのくにガストロノミーツーリズムへの扉を開くサイトがオープン〜

日本一多彩な食材を誇る静岡県は、いつ訪れても旬の食材を楽しむことができる。
「ららら」と鼻歌を歌いながら、静岡の美味しさをその土地の物語や風景と共に巡っていただきたいといった思いから、「美味ららら」という言葉が生まれた。サイトでは、静岡の美味しさを体感できる四つのモデルコースを紹介している。

「美味ららら」公式サイトはこちら

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