しずおか絶景 総合情報誌ふじのくに

【伊東市吉田 一碧湖】碧水に紅葉

大池は周囲約2km、水深6.2m。西の奥に浮かぶ経島(きょうじま)と赤い鳥居は、旅人を襲う池の主の赤牛を、地元吉田の光栄寺日広上人が法華経で封じ込めたという伝説にちなむ

与謝野晶子が愛した「伊豆の瞳」

日本百景にも選ばれた一碧湖は伊豆半島の湖で、
「伊豆の瞳」とも呼ばれる景観美を誇る。散策の他、ボートや釣りに興じる人も多い。
秋には紅葉の名所となる自然豊かな湖のほとりを歩いてみた。

 一碧湖は約10万年前に活動した伊豆東部火山群の中に生まれた火口湖で、大池と沼池からなるひょうたん型の双子の湖。周囲は約4.5㎞にわたって遊歩道が整備され、起伏の少ない道を約1時間半で一周することができる。鏡のように凪(な)いだ湖面に天城山など周囲の緑が映し出されることから「伊豆の瞳」とも呼ばれる。これからのシーズンは、真っ赤に染まった樹木が湖面を美しく彩る「逆さ紅葉」を楽しめる。この湖にはさまざま生物が生息し、生態系のバランスが整った自然の宝庫として知られている。透明な湖を泳ぐのは、オイカワ、トウヨシノボリ、ヘラブナ、ライギョの他、ブルーギルも。バス釣りも盛んで、県内外から多くの太公望が訪れる。水辺ではカルガモ、アオサギ、カワセミ、トンボの姿も見られる。樹木や野草は250種を数え、絶滅危惧種に指定されているチョウジソウは県内で唯一自生しているという。
 昭和5年、元朝日新聞特派員の嶋谷亮輔氏が大池のほとりに「抛書(ほうしょ)山荘」を建てたのを機に、文化人が保養に訪れるようになった。歌人の与謝野寛(鉄幹)・晶子夫妻もこの地を愛し、400首以上の短歌を残している。
 今回一緒に歩きながらガイドをしてくださったのはネイチャーガイドの皆さん。一碧湖の歴史から魚、植物、野鳥の種類まで楽しく学ぶことができた。ホームページやガイドブックに載っていない逸話を聞きながら、秋の湖畔を散策する休日はこの上ないぜいたくだ。

空の青と木々の緑を水面(みなも)に映す一碧湖。昭和30年代にはハネムーンで伊東温泉を訪れた新婚カップルがボート遊びを楽しむ姿も多く見られた
抛書山荘の前に立つ与謝野寛(鉄幹)[左端]と晶子[左から2人目]
沼池では40種類以上のチョウ、27種類のトンボも観察できる
一碧湖の自然や歴史を案内してくれたネイチャーガイドの皆さん
伊東自然歴史案内人会 http://ito-guide.on.arena.ne.jp
伊豆野鳥愛好会 事務局 渡辺 0557-54-4088

アクセス

一碧湖[いっぺきこ]

住所

静岡県伊東市吉田815-360

アクセス

東名高速沼津ICから車で約70分
JR伊東駅からバスで約30分

お問い合わせ先

0557-37-6105(伊東市観光案内所)

周囲は約4.5kmの遊歩道が整備された美しい湖。伊豆東部火山群に属するこの湖では、散策、ハイキング、野鳥観察、釣り、ボート遊びなどが楽しめる。近くには「池田20世紀美術館」など観光スポットも多数点在。

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