ライフスタイル 総合情報誌ふじのくに

お産は家族みんなのもの実家のような“ここにいる”安心感になりたい

日の光を浴びて輝く茶畑に囲まれた助産院。静岡県産のスギやヒノキを柱や床に使い、木のやさしい香りに包まれる居心地のいい施設だ。助産師の高橋美穂さんは、ここで出産する、しないにかかわらず集まる地元のママたちから「美穂さん」と親しみを込めて呼ばれる。
高橋さんが助産師を目指したのは、看護師として働く中で、女性の悩みを聞き、寄り添う助産師に憧れたから。上京して学び直し、妊娠期から出産、産後、そして子育て期と、女性の生涯にずっとつながりを持てる開業助産師を目指した。
結婚を機に袋井市に移住。3人の娘の出産を経て、助産施設をオープン。「育児に困ったとき、ちょっとした悩みがあるとき、ここに来れば『大丈夫』と安心してもらえる居場所を作りたかった」と笑顔で話す。お茶畑助産院には同じ時期に生まれた赤ちゃんとママが集まり、どんなことに悩み、どう模索しているか、お互いに助け合うコミュニティーが生まれている。
「私たち助産師は、地域の医師や看護師、保健師などと連携しながら、いわば『ワンチーム』で女性に寄り添う存在です。『いつでもいるよ』と伝え、日常生活のことだけでなく、例えば災害発生時に妊婦さんや子育て中のママが慌てたり、不安になったりしないように、自分と家族を守るための知識や意識を啓蒙しています」。
開院から間もなく5年。暖かい日だまりのような場所になった助産院は、「若い助産師が育つ、学びの場になれば」と学生の実習を積極的に受け入れている。

近くの製茶工場からお茶の良い香りが辺りに漂う。日の当たるウッドデッキや小さな中庭が、訪れる人の心を癒やしてくれる。ママたちにとっては、ここに来るだけで元気になる力をもらえるそうだ
ここでひと月前に生まれた赤ちゃんとママが遊びに来た。赤ちゃんのこと、ママのこと、家族のことを気に掛ける高橋さん。「美穂さんに気軽に話を聞いてもらうことが大きな安心になります」とほほ笑むママ

プロフィール

高橋 美穂 さん

広島県出身。助産師、保健師、看護師。(一社)静岡県助産師会 助産所部会長。
2004年、結婚を機に東京から夫の地元である袋井市に移住。07年に出張助産院として開業した後、19年に施設内で分娩可能な助産施設「お茶畑助産院」を開院した。出産後も、赤ちゃんとお母さんが遊びに来て交流できる場を提供する。中東遠地区で活動する助産師のグループ「いのちの神秘を伝える助産師の会」代表を務める。施設の枠を超え、地域の助産師や子育て中の家族の交流会を開催している。

お茶畑助産院

住所

静岡県袋井市豊沢2158-3

編集後記

11月に磐田市の掛塚灯台の取材に行ってきました。夕暮れ時、遠州の海岸にたたずむ1基の灯台。海の安全のために尽くし、私財を投じた荒井信敬氏。人の思いを感じる取材となりました(美)

読者の声 第54号アンケートより

与謝野晶子と鉄幹が一碧湖で400首以上の短歌を残したとは知らず、大変興味深く読みました。(東京都H.Mさん)

牧之原に住んでいる、すてきな若者がチャレンジしていることに感動しました。がんばれ、と応援します。(牧之原市T.Hさん)

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