しあわせに暮らせる地域づくり 総合情報誌ふじのくに
移住・定住の促進
自分たちらしい生き方を求めて自然豊かな環境に移り、住まいも仕事も全く新しい暮らしをスタート
静岡県は今後さらに加速する人口減少問題の対策として、
魅力的な地域づくりに加え、移住・定住の促進施策に取り組んでいる。
令和4年度の本県への移住者数は過去最高になった。
注目すべきは20〜40代の移住者がその8割を占めていること。
実際に本県へ移住した岩村さんご夫妻に移住の経緯や今の暮らしを伺った。
「ここに来て1年経ちますが、毎朝違った表情を見せる山の景色にいつも感動する」と語るのは東京都出身で静岡県内に移住した岩村祐太郎さん。大好きな生き物との伸び伸びとした暮らし。仕事が朝早い分、早く帰宅して、料理を作りながら妻の美香さんを待ち、一緒に晩酌を楽しむ。
神奈川県出身の美香さんは、都会への憧れから17歳で上京。前職にやりがいを感じていたが、「暮らしの全てが仕事」という毎日の中で、30歳を迎えた時、「結婚して家族を持つ人生も捨てがたい」と考え直したという。二人は交際をきっかけに掛川市での全く新しい暮らしを始めた。
さらに、職場へのアクセスのしやすさと気兼ねなく生き物と暮らせる一軒家を求め、県の「ふじのくに空き家バンク」を利用して静岡市に引っ越し。リフォームにはテレワーク補助金も活用した。
休日は二人で伊豆へダイビングに出掛けることも。「二人では持て余すほどの部屋数があるので、ペット専用の部屋も確保しました。お庭でのバーベキューや養蜂、畑仕事など、やりたかったことを全力で楽しむ毎日。近所の方が気さくに声を掛けてくれて、教えてもらうことも多い」と目を輝かせる。
首都圏へのアクセスが良く、趣味を楽しみながら暮らすのにちょうどいいとされる本県は今、若い世代の移住先として関心が高まる。県は、官民連携で移住促進に取り組む「ふじのくにに住みかえる推進本部」を組織。東京に設置した移住相談センターを核に、市町や関係団体等とともに本県への移住実現を支援している。
岩村さんご夫妻の移住の経緯
東京で働く
祐太郎さんと美香さんは東京の同じ会社で出会う。お互い多忙な日々を送る中で、交際をきっかけに「二人で全く新しい暮らしを始めたい」と移住を考えた。
東京→静岡県に移住
東京より暖かい気候を求めて、ドライブで訪れていた掛川市に一旦移住し、2021年に入籍。祐太郎さんの勤務先が静岡市になり、通勤時間の負担軽減と、自然の中で暮らせる一軒家を求め、引っ越しを検討。2023年2月、「ふじのくに空き家バンク」制度を利用して、静岡市内の中山間地域(オクシズ)に引っ越した。
岩村さん宅で飼っているペットたち
静岡県への移住は年々関心が高まっている
若い世代の移住者が8割!
ふじのくに空き家バンク
空き家バンクとは、空き家の情報をホームページに掲載し、賃貸・購入希望者に向けて情報提供するもの。県は専門家による無料の「建物状況調査」や、登録物件への「移転費助成」を併せて実施し、広い空き家への住み替えを促進している。
ふじのくに空き家バンク
移住希望者のための県の相談窓口やサイトなど
多くの移住希望者の関心は、脱大都市圏だけではなく、新しい暮らし方や自分らしい生き方にも及ぶ。
県は多彩なライフスタイルが実現可能な“ふじのくに”への移住・定住促進のため、相談対応や情報発信を行っている。
“ふじのくにに住みかえる” 静岡県移住相談センター(東京有楽町)
専門の相談員がその人らしい「暮らし方」「働き方」ができる県内の地域や仕事を一緒に探し、新たな生活に向けた第一歩を応援している。「リタイア後ののんびりとした暮らしを考えての移住というより、若い世代がこれから望むライフスタイルを考えて相談に来る方が増えています。まずはできるだけ具体的に移住後の暮らしをイメージして整理し、候補地の選定や活用できる制度の案内をしています」
静岡県移住・定住情報サイト「ゆとりすと静岡」
移住を考え始めたら、まずチェックしてほしい静岡県の公式ウェブサイト。移住に向けた具体的なステップや地域情報の他、動画で先輩移住者の暮らしぶりも発信している。
移住相談会「静岡まるごと移住フェア」
移住に当たり生じる課題について、市町や関係団体が相談ブースを設けるとともに「静岡暮らし」の魅力を発信する、移住フェアを開催している。
テレワーカー向けオンライン交流会
東京圏在住のテレワーカーと本県に移住したテレワーカーなどとのオンライン交流会を実施。先輩移住者との交流により、移住を身近に感じてもらうきっかけを提供している。