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農業とスポーツを掛け合わせた「アグリスポーツ」!!伊豆伊東高校の生徒の想いに迫る!
2025年3月6日
近年、農業とスポーツを組み合わせた新たな取り組みが注目を集めています。その名も「アグリスポーツ」。農作業を通じて体を動かし、自然と触れ合いながら健康増進や地域活性化を目指すこの活動は、全国各地で広がりつつあります。
そんな中、静岡県立伊豆伊東高校では、生徒たちが主体となって「アグリスポーツ」の普及に力を注いでいます。彼らは農業の魅力を発信しながら、スポーツを通じて地域とつながる新たなスタイルを生み出そうとしています。
この記事では、伊豆伊東高校の生徒たちが抱く想いや具体的な活動内容に迫り、彼らの挑戦がどのように未来へつながっていくのかを探ります。
目次
1.「アグリスポーツ」って一体何?
2.なぜこのアイデアが浮かんだの??その背景に迫る!!
3.アグリスポーツの未来について聞いてみよう!!
1.「アグリスポーツ」って一体何?
アグリスポーツは、「農業に関連した要素を取り入れたスポーツや身体活動」のことを指します。具体的には以下のような形態があります。
・農作業の競技化:摘果作業で落ちた実を拾うスピードを競うなど、農作業をゲーム感覚で楽しめる。
・アウトドアスポーツとの融合:農村の自然環境を活かし、地域振興や観光促進に貢献。
・都市部との交流の場:都市住民が農業体験を通じて地域と関わる機会を提供。
・環境意識の向上:エコスポーツと組み合わせ、持続可能な社会づくりに寄与。
この取り組みには、農家の高齢化による人手不足解消や農村地域の活性化、健康促進や世代間交流といったさまざまな目的が込められています。
アグリスポーツの魅力
アグリスポーツには大きく3つの魅力があります。
・自然と触れ合う体験
緑豊かな環境で活動することで、ストレス解消やリラックス効果が期待できる。
・楽しみながら農業を学べる
ゲーム感覚で農作業を体験できるため、農業に親しみやすくなる。
・地域交流の場となる
観光客や地域住民が協力し合うことで、コミュニティの活性化につながる。
2. なぜこのアイデアが浮かんだの??その背景に迫る!!
アイデアのきっかけ
伊豆伊東高校の生徒たちは、東京の農業関連企業「CREATE AGRI」から特別授業を受ける機会がありました。その中で、農業の現状や課題について学び、「アグリスポーツ」という概念に出会いました。
「農作業をスポーツ大会のように楽しめる形にしたら、農家の支援や地域活性化につながるのでは?」
この発想から、家族連れ観光客をターゲットにした「アグリスポーツ大会」の企画が生まれました。
具体的な取り組み
○大会の形式
・摘果作業の落ちた実をどれだけ多く拾えるかを競う
・10kgピッタリ拾うなど、ルールを工夫してゲーム性を持たせる
・参加者は3,000円の参加料を支払い、地元温泉の無料券や採れたて野菜のプレゼントがもらえる
○実施例:鈴木園でのアグリスポーツ体験
・地元農家「鈴木園」の協力のもと、試験実施を実施。
・東京の農業関連企業、JA職員も参加し、好評を得た。
活動の進行状況
○5月:プロジェクト開始
○6月~7月:市役所・農家へのヒアリング
○8月:試験実施
○現在:計画シートを作成し、次回の試験実施を検討中
試験実施後、農家の方々から「助かる」「ありがたい」と感謝の言葉をもらい、生徒たちはこのプロジェクトの意義を再認識しました。さらに、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)のファイナリストに選ばれたことで、全国にこの取り組みを広めたいという想いが更に強くなったそうです。
―大変だったこととうれしかったことは何ですか?
大変だったことは、農家の方にアグリスポーツを理解してもらうことでした。基本的に自分の畑に他人が入ることについて抵抗がある方が多いので、試験実施を依頼する際も最初は断られたのですが、雑用でも何でもいいので手伝えることをさせてほしいという話から、今回試験実施した摘果作業につながりました。
その時に、雑用的な作業なら協力してくれる農家が多いことが分かったので、プランシート作成に大いに役立ちました。
うれしかったことは、試験実施のあとに、農家の方から「こんな大変な作業をしてもらってありがたい」という言葉を頂いたことです。次にうれしかったのは、ファイナリストに選出された瞬間です。
―全国の高校生からエントリーされた5,151プランからファイナリスト(ベスト10)に選出された時の率直な気持ちを教えてください。
正直、選ばれないのではと思っていたので、とてもうれしかったです。
全国にこの取り組みを広めたいという想いが強くなりました。

3. アグリスポーツの未来について聞いてみよう!!
―普及活動についてやっていることはありますか?
現在、YouTubeで「アグリスポーツ 伊豆伊東」と検索すると、試験実施の様子を取材された動画を見ることができます。他のメディアからの注目も集まっており、今後はSNSなどを活用し、更なる情報発信を行っていく予定です。
―将来の目標を教えてください。
このプロジェクトの最終的な目標は、「アグリスポーツを継承してくれる企業や団体を見つけること」です。昨年の先輩たちが提案した「ヤングケアラー支援の子ども食堂」がNPO法人に継承され、現在、試験実施を行いながら通常実施に向けて準備をしています。同じように、アグリスポーツも継続的な活動として発展させていきたいと考えています。
―興味を持った人へメッセージ
「大変な農作業でも、ゲーム感覚で取り組むことで楽しみながらできることを実感したので、多くの人に体験してもらいたいです。そのためには、この事業を継承してくれる企業が必要なので、是非とも事業継承してもらえるように応援よろしくお願いします!」


取材を終えて
伊豆伊東高校の生徒たちが挑戦する「アグリスポーツ」は、農業の新しい可能性を切り開くユニークな取り組みだと感じました。また、取材を通して印象的だったのは、生徒たちが農家との信頼関係を築くために何度も足を運び、試験的にイベントを開催し、課題に対して最後まで諦めなかったことが本当にすごいなと実感しました。その努力が実って、全国ファイナリストに選出されたのではないかと思いました。
さらに、彼らがこの活動を全国に広めたいという強い想いを持ち、SNSやメディアを活用して普及活動にも力を入れていこうとする姿勢にも感心しました。
伊豆伊東高校の生徒たちが取り組む「アグリスポーツ」は、単なる農業体験ではなく、農作業をスポーツとして楽しむ新しい形を生み出し、地域活性化にもつながる素晴らしいアイデアであると思います。
彼らの活動の背景には、農家の人手不足という深刻な課題があります。しかし、生徒たちはその課題を前向きに捉え、ゲーム性を加えることで農作業を楽しめるものへと変化させました。
彼らの活動がさらに広がり、地域活性化や農業の未来に貢献していくことを期待しています。
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